宇宙の銃器


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宇宙の銃器

 AD2045では宇宙空間でのテロリズムを処理するわけですが、そのためには宇
宙空間での戦闘について整理しておく必要があります。
 そこで、まずは銃器について考えておきましょう。


宇宙で銃は撃てるのか

 火薬式の銃では、酸素どころか空気自体の無い宇宙空間では、装薬が爆発し
ないだろうと考える人もいるかも知れませんが、実際にはおおむね動作するよ
うです。
 これは、火薬というものが燃料と酸素をあらかじめ混合しておいたものであ
るためです。燃料と酸素が同梱してあれば、ロケット同様に宇宙でも動作する
わけです。

 ただし、普通の銃器がそのまま撃てるかどうかという点では、一つ問題点が
あります。内部構造のしあげによっては、真空蒸着によって稼働部が動作しな
くなる恐れがあるのです。対策をほどこした上でも、宇宙ではジャムりやすく
なると考えてもいいのかも知れません。


宇宙で銃はどうはたらくか

 自由落下状態(いわゆる無重力)における宇宙船内で銃を撃ってみましょう。
この時、どのような結果が得られるのでしょうか。弾丸があたった部位で発生
する破壊効果については、地上と同様ですが……。

 まず、撃った側にも大きな影響があります。弾丸を撃ちだしたのに対応する
だけの反作用を、射手が受けるのです。地上であれば姿勢が崩れる程度で比較
的問題も少ないのでしょうけど、自由落下状態では恐るべき事になります。前
に向けて撃てば、反動でそのまま後ろに体が飛んでいってしまうのです。ちな
みにガス銃などは宇宙での移動用の道具として使用されています。
 壁にぶつかる程度であればまだましですが、尖った場所にぶつかると弾を受
けたのと大差ない打撃を受けます。それだけではありません。銃撃の反作用の
ベクトルが自分の重心を通っていればいいのですが、重心からずれていた場合
には体が回転してしまいます。いったん回転してしまえば、その人間は事実上
戦闘不能になることでしょう。

 銃弾を受けた側ですが、これも弾丸の運動量を受けて吹っ飛ばされます。重
心から外れた位置に弾丸を受けると、これも体が回転してしまうのです。さら
に真空中であれば、弾丸によって宇宙服が破損し、数分で修理できなければ窒
息死してしまいます。
 さらに弾丸が外れた場合には、乗員全員に危険が生じます。この時代の宇宙
船では高速移動時の隕石などの衝突に対する防御を充実させることは困難です
から、宇宙船自体の強度は低くなっています。弾丸があたればふつうは貫通し
てしまいます。与圧状態にある船室内であれば、圧力差で爆発的に破壊が広がっ
てしまうことも考えられます。宇宙船内での銃器の使用はかなり危険です。


既存の銃器の問題点と解決策

 それでは整理してみましょう。
・真空蒸着の可能性
・発射時の反作用が恐い
・打ち方を工夫しないと体が回転する
・貫通力がありすぎる

 これらに対する解決策としては、
・可動部を接触させない
・銃自体の無反動化
・発射速度を落とす
・威力を下げる
・低貫通力弾頭の使用
 などが必要になることでしょう。


宇宙戦闘用銃器とその戦術

・低速の無反動銃から軟弾頭を撃つ。
・できれば磁気ベアリングなどで可動部を浮かせた銃にする。
・壁を背にしたり磁力靴で体を固定したりして、体勢が崩れないようにする。

 ことになるでしょう。



短針銃

 短針銃とはいわゆるニードルガンのことです。これは磁力やピストンなどに
よって針を打ち出すという兵器で、携行弾数も多く、反動も少ないため、わず
かな宇宙服の穴が致命傷になりうる宇宙では非常に有用になります。
 需要があるのであれば短針銃が開発されている可能性は十分にあります。技
術的にはピストン式であればガスガンと難度は大差ないと思われます。



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