語り部で遊ぼう:ファイティングファンタジー


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語り部で遊ぼう:ファイティングファンタジー

ファイティングファンタジーとは、社会思想社教養文庫『火吹き山の魔法使い』にはじまる、ゲームブックの草分けシリーズです。
  また同名のTRPG用のルール『ファイティング・ファンタジー』が東京創元社より創元推理文庫の一環として出版されております。これは実は私sfが最初にプレイしたTRPGだったりします。
  当企画ではこのファイティングファンタジーシリーズを語り部によって遊ぶためのキャラクターの移植方法について考えてみたいと思います。
  以下では便宜上ファイティングファンタジーをFFと略記することもあります。
  ファイティングファンタジーでは、キャラクターの能力は技能点、体力点、運点の三つの要素から成り立っています。
  これらの数値をどうやって語り部のデータに変換する事にしましょうか。

技能点を考える

三つの能力値のうち、技術点の解釈は比較的簡単です。ファイティングファンタジーの技能点はキャラクターの器用さ、頭の良さ、腕の良さといった行動能力を示していますし、語り部の技能値もキャラクターの行動能力を示していますから、何を表現しているかという本質は同じものだと解釈して良いでしょう。
  数値的にはどうでしょうか。どちらのルールも行為判定には 2D6を使用しています。その使い方が異なるとはいえ、基本的には同系統の数値基準だと考えても良いでしょう。
  ただし問題が無いわけでは有りません。ファイティングファンタジーにおけキャラメイク時の技能点の差異はかなり広範囲でして、7〜12となっています。この5点の差を語り部にそのまま持ち込みますと大変苦しくなるでしょう。語り部で5点の差異といえば大変なもの……まったく勝ち目が無いといえるほどの差です。……むろんファイティングファンタジーのルールでも、この差異は十分に大きな影響を与えることは確かなのですが。このあたりのバランス調整はどうなっているんでしょうか……。
  FFのもともと持っているバランスの問題はとりあえず無視しておくことにします。『モンスター事典』に見るようなモンスターの強さの違いを技能点で表現していることを考えますと、無理に技能値の差を圧縮してしまわないほうが良いんじゃないかと思いまして。
  さて、変換表を考えてみましょう。
  『モンスター事典』を見ているとどうやら冒険者は一般人よりも優秀なようなので、一般人の技能点を6点としてみます。なんか線形対応だとイメージ的に変なので、『モンスター事典』のモンスターを眺めつつ決定してみました。


FF→語り部変換表 試案1

	技能点	例		語り部技能値
	5	ゴブリン	6
	6	オーク		7
	7			9
	8	オーガー	11
	9	巨人		13
	10	火炎魔神	15
	11			16
	12	魔神		17
	13			18
	14	蛇魔神		20
	15	風の精		22


  ただまあ、これでも破壊力と技能値との対応がうまく行っていないんですよね……。もう少し練ってみる必要があります。
  また、イメージ的なものをもとにすると技能値の差が異常に高くなってしまうのも問題かもしれません。
  しかし技能点12の冒険者って、同等のモンスターと同格だと考えると化け物みたいな強さだったんですね。いやはや、すさまじい。
  ……待てよ、よく考えると武器を持たない場合には技能値が下がったような気がしますから、そうはいかないのかな。まあ語り部では武器の威力は無視する事になっているので、あまり問題とはならないんですけどね。

体力点を考える

体力点とはヒットポイントの一種なのですが、ファイティングファンタジーにおいては、モンスターに比べてヒーローは異常に体力点があるようです。
  なにせ冒険者は14〜24点の体力点を持っているのに、オークなどでは5点、大型のモンスターでも10点台のものが多いのですから。
  体力点をどう扱うかは非常に難題です。なにせ語り部にはヒットポイントという概念は有りませんし、一番イメージ的に近い「余力」は最高技能値から自動的に出てきてしまいますから。
  攻撃を無効化するための技能(耐久力技能など)を体力点をもとにして作るのも良い手だとは思いましたけど、FFでは攻撃と防御は技能点で一括して行なっていたのでこれも没にしました。
  そこで、最終的には体力点から「頑健さ」という身体的特徴を算出する事にしてみました。
  これに合わせて技能点から技能値を算出する方法を変更してみましょう。


FF→語り部変換表 試案2

	技能点	例		語り部技能値
	5	ゴブリン	6
	6	オーク		7
	7			8
	8	オーガー	10
	9	巨人		12
	10	火炎魔神	13
	11			14
	12	魔神		15
	13			16
	14	蛇魔神		17
	15	風の精		18

	体力点	例		特徴
	1			ひ弱:4
	2、3			ひ弱:3
	4、5			ひ弱:2
	6、7			ひ弱:
	8〜10			無し
	11〜13			頑健:1
	14〜17			頑健:2
	18〜23			頑健:3
	24〜30			頑健:4
	31〜	金龍(成龍)	頑健:5


  かなり無理のある変換ですが……。

運点を考える

運点はヒーローポイントの一種です。使えば使うほど成功しにくくなるあたりが非常にシビアに出来ていると思います。
  語り部では運は技能でも特徴でも表現できますが、ファイティングファンタジーの運点の効果を表現するとなると、どちらが良いのでしょうか。
  控え目でいつでも使える特徴にしておくと、使えば使うほど成功しにくくなるというあたりが表現できませんが、どんなアクションにも有用な修正として利用できます。
  技能とすると、何点の技能であるかによって使い勝手が変わってきやすいので難しいですね。
  未完成ルールの「技能による特徴の付与」を使用すれば一番楽なんですが、今回はとりあえず特徴として実装してみます。
  運点は7〜12で、ヒーロー以外は持っていないので……。


FF→語り部変換表 試案3

	運点		特徴
	7、8、9	1
	10、11		2
	12		3

完成版変換表


	技能点	例		語り部最高技能値
	5	ゴブリン	6
	6	オーク		7
	7			8
	8	オーガー	10
	9	巨人		12
	10	火炎魔神	13
	11			14
	12	魔神		15
	13			16
	14	蛇魔神		17
	15	風の精		18

	体力点	例		特徴
	1			ひ弱:4
	2、3			ひ弱:3
	4、5			ひ弱:2
	6、7			ひ弱:
	8〜10			無し
	11〜13			頑健:1
	14〜17			頑健:2
	18〜23			頑健:3
	24〜30			頑健:4
	31〜	金龍(成龍)	頑健:5

	運点		特徴
	7、8、9	1
	10、11		2
	12		3


  とりあえずファイティングファンタジーの登場キャラクターのデータを語り部の数値データに変換する表はできました。
  あとは個性的な部分を特徴としてつけるなり、最高技能値以内で好きなように技能を取るなりすれば良いでしょう。

参考文献

創元推理文庫『ファイティング・ファンタジー』スティーブ・ジャクソン
  ISBN4-488-90105-0
  社会思想社教養文庫『モンスター事典』
  ISBN4-390-11188-4


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