RPGマガジン69号(1995/12/02発売) のルール解説・サマリーを読んでみましたら、天羅万象とは実に語り部に似た面のあるルールだと思えました。
世界観自体もなかなか興味深かったので、簡単に語り部へのコンバートなどを考えてみました。
・雑魚はいくら居ても雑魚
どこかで聞いた概念ですね。そう、コンセプト自体が語り部の「強いものはとことん強い」と似ているんですよね。
それを再現するためのルール的仕掛けにも結構似ている部分がありますが、まあコンセプトが似ているならば無理もないでしょう。
・数値の僅かな差も致命的
天羅における能力値の差異の恐さはかなりのものです。語り部同様に、わずかな数値的差でも圧倒的な強さの違いになるようにしているようです。
・強敵に打ち勝つためのロールプレイ
天羅では普通では勝てない強さの敵を出す事が推奨されているようです。普通では倒せない敵をどうするかと申しますと、ロールプレイを通じて「気合い」という一種のヒーローポイントを獲得・使用する事によって倒す事ができるようになります。
語り部では特徴を利用可能な状態に持っていくロールプレイが、強敵を倒すためには必要になりますね。
・因縁は自分で取れる
因縁をプレイ中に自分で付与できます。これによってキャラクターの過去を作成したり心情を表現したりできるようです。
これは語り部では「特徴」のプレイ中の取得が同様の効果を示していますね。
・ダメージは自分で選ぶ
受けたダメージが重傷だったかなどを天羅では選ぶ事ができます。語り部では選ぶのはダメージを与えた本人である事が多いのですが、受けた側が決めても良いはずです。
また受けたダメージに応じてプラスの修正がつきますが、これは語り部では旧版で提供されていた「代償行動」と似たような仕掛けですね。
・突き返し
これは旧版の語り部でいう「対応行動」による攻撃に相当する概念です。現在の版では削除されましたから、現行の語り部では単純に攻撃を無効化することしかできませんが。
天羅万象でも技能はありますが、これはそのまま語り部には移行できません。
なにせ天羅では能力値が非常に重要な役割を果たしていますから、技能値のみで判定する語り部にコンバートするためには能力値と技能の組み合わせとの対比を考える必要があるわけです。
本来は天羅のロール方法における期待値や分散を考慮すべきなのでしょうが、ここでは強さのイメージから簡単にコンバートしてみます。
……いろいろ考えてみましたら、天羅における技能は特徴としたほうがきれいだと思いましたので、特徴にしてみます。
天羅の能力値から語り部の技能値への基本換算表: 関連能力値 イメージ 技能値 2 一般人 8 3 一般人 9 4 強い一般人 10 5 11 6 初期PC弱 12 7 初期PC普通 13 8 初期PC強め 14 9 15 10 初期サムライ 16 11 初期サムライ 17
技能段階は語り部の「特徴」を利用して再現してみます。
天羅の技能段階と特徴の対照表 技能段階 特徴 初級 1 中級 2 上級 3 特級 4
因縁特徴変換表: 因縁 特徴 初級 1 中級 2 上級 3 特級 4
天羅万象のルール的側面でもっとも重要であろうと思われるのが「業システム」とよばれる経験値・ヒーローポイントとロールプレイ強制を絡めたルールシステムです。
これをある程度再現しない事には天羅らしい展開にならないのでしょうから、この「語り部で遊ぼう:天羅万象」でも何か考えてみたいところです。
成長システムと密接につながっている部分は語り部の方針では重要ではありませんし、上限に関する部分も語り部にそのまま移す必要はないので無視して、本質的と思われる部分を特殊な運用ルールで再現することを考えてみましょう。
・因縁に関るロールプレイをすると強くなる
・因縁に関るロールプレイをすると業が深まる
・業が深まると因縁を増やさねばならなくなる
・因縁を増やすと宿業が深まる(上限を越えると人間性が失われる)
・宿業を減らすには因縁を解決しなければならない
因縁を表現している特徴がどんどん増えていくあたりは、語り部では本来なんの強制もしていない部分です。好きなだけ不幸になっていいし、好きなだけ関係を追加してかまわない。それが語り部のやり方です。
ですから、強くなるために因縁を増やさなくてはならないというロールプレイ強制ルールは、とくに組み入れる必要はないでしょう。あえて言えば「因縁」らしい特徴を色々ととって悩みましょう、と書くくらいでしょうか。
因縁にどんなものがあるかは天羅万象のほうを参考にしてください。引き写すわけにも行きませんし。
問題は人間性の喪失の恐怖を描いた(と私が考えている)宿業のあたりをどうするかですね。単純に考えるならば宿業という特徴を作ってしまうというのが良いんでしょうか。
キャンペーン運営用のルールほ考えて因縁の増減を管理するとそれらしいのでしょうけど、取り合えず現在のところはパスしておきます。