第五話


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第五話

 かるらは机の上でタロットカードを右回しにかき混ぜた。…‥友恵は知らな
かったが、タロットには大アルカナと小アルカナという種類があるらしい。一
般にタロットカードと呼ばれているのは今かるらがかき混ぜていた…‥どうや
らこれにもやりかたなどがあるらしい、友恵が知るはずもないが…‥奇麗な絵
がかかれたカードのことのようだ。
 数分かけてタロットをシャッフルした後、かるらは一つにまとめたタロット
の山から四枚のカードを抜き出し、そのうちの三枚をちょうど三角形を描くよ
うにならべ、後の一枚はその脇に無造作に置いた。
「一番簡単な占い方だけどね。シンプルな分フレキシブルに、どんな問題にも
 対応出来るから…‥」
 そう、友恵に言いつつかるらはカードを裏返していった。
「ふうん、女教皇の正位置に法皇の正位置…それに太陽の正位置に正義の正位
 置か…‥」
 かるらは目の前に並べられたタロットカードを眺めながら、眉間にしわを寄
せている。
「…‥どうなん蒼井さん。なんか分かった?」
 始めて見るタロットでの占いの結果が早く知りたい、そんな様子の友恵がか
るらをせかした。
「女教皇は秘めた情熱…‥これが原因、法皇は発動せざる力…‥これが現在、
 そして太陽、解放を意味してるわね。正義は今私達が為すべきことを示して
 る」
「…‥で?」
「…‥正直に言って良い?」
「なに?」
 友恵はかるらの言葉を息を飲んで待った。
「…‥良く解んないんだな、これが」
 友恵は思わずのけぞりそうにになり、踏みこたえた。
「…‥委員長?」
「ごめんごめん、でも本当にそうなのよ。タロットが表している事を見るに、
 この…‥事件かな?は、まだ大半が隠れたままなのよ。ま、時が来れば明ら
 かになるわ。タロットもそう言ってるし」
 かるらは苦笑しつつそう告げた。太陽のカードは解放を表す。今はまだ見え
なくても、いずれ全貌は明らかになる。
「で、取り敢えずうちら、何したらええんかな?」
「正義、よ」
 友恵の疑問にかるらが答えた。
「私達が「正義」を成している限り、道は開けるわ。取り敢えず…‥」
 りーんごーんがーんごーん
 ヨーロッパの鐘の音を模したチャイムが校舎内に響き渡る。授業開始十分前
の予鈴である。
「授業、やな」


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