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エピソード作成

 エピソード作成とは語り部のキャラクターメイキングルールを把握するため の企画であった「キャラ化」から派生したストーリー作りを楽しむ特殊なオン ラインセッションです。  エピソードとは脚本形式(リプレイ形式)での会話中心の小説の呼称でして、 語り部通信倶楽部のメンバーはその会話形式の小説であるエピソードを作ると いう作業のことをエピソード作成と呼んでいます。

エピソードとは何か

 百聞は一件にしかず。まずエピソードの例を引用してみましょう。 「|」を 引用符として行頭に入れてあります。 |狭間06エピソード0『すべてはここから……』 |========================================== |  (某月某日、湊川 観楠の部屋にて) | | 朝   :「観楠……何も隠さんでもええのに」 | 観楠  :「な、何を言ってるんだ! 俺は知らん!!」 | 子供  :「父様ぁ! (なつく)」 | 観楠  :「!? お……いいや、あのね?」 | 朝   :「ほら、やっぱり」 | 観楠  :「知らんって、マジで! お嬢ちゃん、何処からきたのか | :な?」 | 朝   :「あ、そや! 名前は言えるかな?」 | 子供  :「えとね。かなみ なの」 | 観楠  :「はい!?」 | 子供  :「湊川 かなみってゆーのよ。父様とおなじ名前なの。ネ! | :父様」 | 観楠  :「………………………………」 | 朝   :「あきらめたら? もぉ……(笑)」 | 観楠  :「たまるかよっ! 大体、常識で考えりゃぁ判るだろーが | :よ、この異常さが!? って、何処へいくんだ、朝?」 | 朝   :「みんなにいいふらす!!(大笑)」 | | 朝、原付で走り去る。 | | 観楠  :「やめんか! 聞こえるかぁ!?  俺は絶対無関係だから |  :なぁぁぁ! |  : ……あ〜ぁ、行っちゃったよ……ねぇ、本っ当に俺が、 |  :お嬢ちゃんの、父親なのか?」 | かなみ :「何言ってるの、父様? かなみは父様の娘よ? 決まっ |  :てるじゃない」 | | 決まってねーよ……と心の中で叫びながら、これからどうなるのだろうか、 |と不安に思わずにいられない湊川観楠。しかし何よりも気になるのは、おそら |くは朝によって植え付けられるであろう、友人知人への誤解をいかにして解く |か、というコトだった。 | |$$  語り部通信の創刊号を読まれた方には懐かしいことと思います。95年6月号 に入っていたエピソード第0話を、現在の書式に従って書き直したものです。  ファイル名は今のファイルコードにあわせると HAP06_00.ETX になります。 狭間(HA)のプレイのまとめログ(P)のキャラ化(06)の0番目で、 ファイル形式 はsetextなので.EXTの拡張子がつくというしだいです。  これでエピソードがどんなものかはだいたい感覚としてつかめていただけだ でしょうか? 要素を列記してみますと、 ・脚本形式で書かれたリプレイ風の小説。 ・会話を中心として話が進む。 ・括弧書きによる情景や感情の表記。  などが重要なところでしょう。  このようなエピソードを作成していくのが、エピソード作成です。  では、次にエピソードが出来ていく手順について解説していきます。

エピソード作成の手順

 エピソード作成はだいたい以下のような手順によって行われています。 1.舞台となる世界を設定する。 2.語り部のルールでキャラクターを作る。(HA06ならキャラ化) 3.そのキャラクター使って話をでっち上げる。 4.マスターによる設定や難易度のチェック。 5.みんなでわいわい修正を入れる。 6.続きや前置きの話が出来てつながっていく。 7.それまでの話の流れを編集者がまとめて提示する。 8.再度それに修正やト書きを追加する。 9.いちおう完成する。  1.や3.の存在がオンラインセッション風というわけですが、全体の流れとし ては、どちらかといえばリレー小説にも近いかも知れません。ストーリーの共 同制作というTRPGの一面を強調して抜き出したような方法だと言えるでしょう。  リレー小説との比較については、作成手順について紹介した後でまとめてみ ることにします。  さて、上の1.〜8.の手順を、HA06(狭間世界でのキャラ化)を例としつつ順番 に解説していきます。  狭間世界とは「狭間さまよえるもの達」サプリメントによって提供されてい る現代オカルト物の世界設定で、キャラ化とはその狭間世界でプレイヤー自身 をモデルにしたキャラクターを作成するという企画のことです。エピソードは このHA06コードの設定のもとに誕生した遊び方です。の成り立ちについての詳 細は、ログをまとめたものをKJ951103.ETXとしてまとめてありますので、そち らをご覧くださいませ。

舞台となる世界の設定

 取り合えずどんな世界設定のもとで話を進めていくのかを考える必要があり ます。SF、ファンタジー、スペースオペラ、西部劇、学園物といったジャンル だけではなくて、できるだけ詳細な世界設定が必要になります。  どこに何があるのか(地理情報)、どんな人物がいるのか(人物情報)、何が許 されてなにが禁止され、なにが推奨されるのかといったものも含めて、世界設 定をまとめておく必要があります。  狭間のキャラ化では、世界設定は現代オカルトものの狭間世界。現代の地球 をベースにして、オカルティックな話が実は真実であるという味付けを加えた 世界設定です。  特に06コードでは架空の県である「吹利県吹利市」を舞台としていまして、 その地理的設定などはHAD9511.ETX に書かれています。その他いろいろな設定 が狭間百科事典(HA_ENCY.TXT)や人名録(HA_HUMAN.ETX)にあります。  また、06コードの登場人物のリストをいくつもの分類手法によってまとめた ものが、HAD06_01.ETXに納められています。これには各登場人物が他の登場人 物を呼ぶときの呼び方や、言葉遣いについてもリスト化されていて、実際にエ ピソードを書くときに役に立てられるようになっています。  あと、キャラクター達が出くわしやすい場所について設定しておくことも重 要です。部活が同じだとか、登場人物が隣近所に住んでいるとか、実は同じマ ンションの住人達が登場人物であるとかいったような、地縁が有るとエピソー ドが作りやすくなります。  HA06ではパン屋兼喫茶店の「ベーカリー楠」と、 草の根BBSの「弾き語り通 信倶楽部」が、キャラクター達が集まりやすい場所として設定されています。  箇条書きに整理しますと、 ・世界の基本法則 ・発生する事件がなにか ・地理情報と地図 ・その世界関係の用語を集めた百科事典 ・その世界にいる人物を集めた人名録 ・いろいろな観点からの人物リスト ・キャラクターの言葉遣いに関する情報 ・キャラクターが集まりやすい場所の設定  あたりになるでしょうか。  エピソード作成をはじめる時には、とりあえず舞台となる世界についての簡 単なキャッチフレーズ的なものを決めておくと、分かりやすいでしょう。  あとは普通にTRPGの舞台となる世界を設定するのと同じ事です。

キャラクターを作る

 語り部のルールに則って、普通にキャラクターを作ります。イメージを考え て、技能と特徴を決めるわけです。  この際に、最高技能値は統一しておくと良いでしょう。HA06では最高技能値 を13として、非常に優秀ではあるが異常なほどではないという程度にしてあり ます。自分自身をベースにして特異能力(オカルトな能力や変な能力が多い)を 技能値13で追加してキャラクターとしているんで、そのくらいが丁度良かった んですね。  キャラ化をもとにしてエピソードを作るのには、色々とメリットがあります から、最初はキャラ化からのエピソード作成を試してみるのが良いかもしれま せん。キャラ化については語り部通信95年6月号の特集などを参考にしてみて くださいませ。(サンプルを増補したキャラ化ガイドの作成も考えています)

話をでっち上げる

 HA06の場合についての「話のでっち上げかた」ガイドは、このアーカイブに 同梱されている「エピソードなんて怖くない!」(KJ951104.ETX)や「キャラ化 からのエピソード作成ワークブック」(KJ951105.ETX)で例示しつつ解説してい ますので、ここでは汎用的なことを書いておきます。  舞台と登場人物が用意できたところで、とりあえずそのキャラクターを登場 させた「エピソード」を書いてみます。題材については「エピソードなんて怖 くない!」にあるように、 ・登場シーン、出会いのシーンを書く ・他のキャラクターとからめて日常を書く  の他にも、 ・キャラクターに事件をぶつけてみる(あなたならどうする、というやつです) ・特徴を参考に、そのキャラクターのしたがることをさせてみる ・技能や特徴を参考に得意なことをさせてみる  といったことが考えられます。  ちなみにHA06の第0話は、キャラクター作成中に隠し子が居るのだろうとい うことになったところから、「その隠し子(自称)が尋ねてきたら」という題材 が出来て書かれました。詳しい話の流れはKJ951103.ETXのまとめログに書かれ ています。  さて、とりあえずどんな題材を話のネタにするかを考えたならば、あとは実 際に書くだけです。  書き方のフォーマットについてはHA06編集担当の月坂史葉氏による編集規約 (KAP_LAW.ETX)をご覧ください。 要するに台本形式のリプレイみたいな感じで 会話を書き連ねていくことによって、話を作っていくわけです。

設定や難易度のチェック

 さて、とりあえず会話形式での小説ができました。しかし、これでエピソー ドが完成というわけではありません。  エピソード作成が普通のリレー小説と違うのは、書きあがった後に大幅に手 を入れることが有るというところなのです。その手を入れるうちでもマスター サイドからのチェックについて簡単に述べてみます。 1.設定のチェック(世界設定に反していないか) 2.キャラクターの技能値や特徴に反していないかのチェック  (ルール面のチェック。 ここで最高技能値の制限内で技能や特徴を追加・改  変することが、語り部では推奨されている) 3.今までとの矛盾点の洗い出し(無ければ5.ヘ) 4.矛盾点の回避方法についての討論 (うまくいかなければ書き換えてもらうように要請する) 5.そのエピソードを採用するかどうかの決定  こんな手順になるでしょう。

みんなで修正を入れる

 ボード上に書き込みされたエピソード案に不満点がありましたら、適宜修正 案を出してみてくださいませ。具体的に、どのような修正を加えるかを明確に することが肝要です。できれば該当部分を書き換えたエピソード断片を書き込 みしておくと確実でしょう。  修正しないと、おそらくそのまま決定稿になってしまいます。  エピソードでは自分の持ちキャラ以外のキャラクターを自分のキャラクター と絡めることになりますから、 こうして他の人間(おおむね登場キャラクター の所有者)の手による修正を行なうことによって、 そのキャラクターらしい言 動に近づけていくことが大事です。

続きや前置きが書かれる

 これは修正を入れるという作業の発展形です。  書かれたエピソードの続きのエピソードやそれまでの経緯に関するエピソー ドなどを書いて、ボードに書き込みするのです。  エピソードは作成中には時系列にそって話が出来上がっていくわけではなく、 思いついたところが作ってだんだん繋げていくのです。  別のエピソードと繋げてみたりするのも良いと思います。この手で非常に長 いエピソードができてしまったこともありまして、語り部通信96年1月号収録 の「エピソード20『どっか行こっ!』」などはその典型例です。

編集者がまとめる

 これまで雑多にボード上に書き込みされてきたエピソードの断片を繋ぎあわ せて、ひとつの話として完結したものに仕上げる作業が編集です。  書き込みを切り張りしてまとめる作業はたやすいことではありませんが、エ ピソードを完成させるには必須の作業です。誰か一人を編集担当として、頑張っ てもらうことになるでしょう。

修正やト書きを追加

 編集しているうちに文脈が変だったり、設定が変更されていたり、状況が分 かりにくかったりすることが判明する場合があります。  その時には情景描写としてのト書きを入れてみたり、会話を幾つか増やして みたり、どうしても使えないエピソード断片を廃棄したりすることになります。  話の本質が変わらなければ、大幅リライトしても良いと思います。

いちおう完成

 以上のような作業が終われば、一応エピソードが完成した事になります。  とはいえ、その後も修正追加などを繰り返していくことによって話を続けて いっても良いでしょう。  また、編集作業にしても途中経過的なまとめとしてやってみて、それを元に さらにエピソードを追加修正していくために使えます。特に長いエピソードな どでは、途中で何度か取りまとめて編集してみないと、話の流れなどが掴めな くなる事もあります。

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