エピソード『野良猫』


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エピソード『野良猫』

紅雀院大学、中庭。昼頃。

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かさかさ
野枝実
「?」

  昼食のパンを持ったままぼーっとしていた野枝実は首を傾げて音のほうを見た。
野枝実
「……おや」

  出てきたのは、まだ小さい猫である。がりがりに近いほどやせている。
野枝実
「……」
「……」

  パンにつられて出てきたのだろう。が、野枝実が手を伸ばすと、一歩退く。
野枝実
「……ふうん」

  パンを千切る手元を、猫は見ている。が、手を止めて猫を見やると
「……(威嚇)」

  とことん可愛げの無い猫である。千切ったパンを片手に、野枝実はまた猫を見据えた。
「……(威嚇)」
野枝実
「……(笑) ……気に入った」

  ぽん、と投げたパンに猫は一度は逃げかけたが、すぐに戻ってきてパンをくわえ、今度は本当に逃げ出した。くすん、と笑うと、野枝実は残りのパンを食べ出した。

解説

野枝実の性格を表現するショートスケッチですね。


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