語り部マスタリングガイド:狭間キャラメイク篇


目次



語り部マスタリングガイド:狭間キャラメイク篇


マスタリングの方向性

 「語り部」は、プレイヤーが望むとおりのロールプレイの実現を支援するシ
ステムであり、そのためプレイにおいては、イマジネーションのぶつけ合い・
表現の掛け合いをうまく行うことがポイントとなります。ですから「語り部」
のゲームマスター(以下GM)に特に要求される重要なことは、プレイヤーの
キャラクター表現を妨げないようなセッションメイキングを心がけることです。
 「語り部」の場合、それはキャラクターメイキングの時点ですでに始まって
います。「語り部」では、プレイヤーが思い浮かべる自分のキャラクター(以
下PC)のイメージがそのまま技能値や特徴になるのですから。



キャラクターメイキングの手順


 それでは、「語り部」初心者さんと「狭間」をプレイする場合を想定して、
キャラクターメイキングの流れを以下に説明します。

1.「語り部とは?」をざっくりと説明します。

   「語り部」と言ったら何を指すのか、語り部の広い奥行きをつかんでも
  らう足がかりにします。
   まず基本判定システムの一種に付けられた名称であることを説明します。
  GURPS、ASURAシステム、ベーシックロールプレイ、アップルベーシック、
  などと同じレイヤーの存在である、と言うことですね。

   前節でも書きましたが、「語り部」はプレイヤーが想像するキャラクタ
  ーのイメージをそっくり表現できるシステムを目指して作られています。
  そのため「ルールレスセッションのようなプレイの進め方が推奨されてい
  る」と言うことなどを伝えて、プレイヤーの自由な表現がセッションを進
  める上で重要だ、と示しておくのもいいでしょう。

2.「狭間さまよえる者たち」とは何か、を説明します。

   固有の世界に依存しない「語り部」の世界観設定の一つ、として「狭間」
  が設定されていることを説明します。

   「狭間」を一言でジャンル名として表すと、「オカルトアクション」、
  「アングラアクション」などがあるでしょう。まずGMから一言でそのよ
  うに表現してみて、次にこのように提案してみましょう。

  『ではそのような表現から、あなたはどんな世界観を思い浮かべますか?』

   ここでの目的は、「狭間」に対してGMとプレイヤーが描くイメージの
  共通化を図ることです。
   デザイナーのsf氏は「ムーに書かれたことが全て現実に起こっている世
  界」と言う表現を使っていて、「狭間」を一言で表した名言と言ってもい
  いのですが、実際のプレイのためには当事者間でもっと明確な共通イメー
  ジが確立されなければうまくいきません。
   幸い世間には、数限りなく出版されている小説・コミック・アニメーシ
  ョン・映画など、様々な「参考文献」があります。それらを元に、セッシ
  ョンの全参加者が共通して知っている世界観を探しましょう。

   その結果導かれた世界観は、そのセッションでのバックボーンを成す共
  通イメージとなります。GMも用意してきたシナリオをその共通イメージ
  に従い思い切って変えるなど、プレイヤーとの世界観の共有を大切にして
  下さい。

3.舞台、PCの立場、その世界での異能者の扱われ方などを説明します。

   世界観の統一に続いて、セッションの雰囲気をプレイヤーがうかがい知
  るための重要な情報です。PCのストーリーへの絡み方を先に提示してお
  くことでPCイメージの作成につながる、とも言えるでしょう。
   「語り部」の場合、ここでシナリオの導入まで告知してしまうGMが伝
  統的に多いようですが、それも同じ理由に基づいていると言えます。

4.いよいよキャラクターイメージの作成にかかります。

   ここまで、ルールブックは不要でしょう。

   作られたイメージは、順に数値化していきます。そのとき初めて、チャ
  ート類くらいは登場させます。
   数値化の際には、ひな形キャラクター、他のシステムで言うところのテ
  ンプレートが参考になるでしょう。先述の共通イメージに対応する自作の
  ひな形を提示できるとより便利です(「帝都物語」世界なら加藤をキャラ
  化しておくなど)。

   なお、「技能値15=人間で最高」というくくりは、あまり適切なイメー
  ジ作りにつながらないようです。先述の統一世界観の中で、誰の何の能力
  なら何レベル、といった具体的な対比を示すことができればいいのではな
  いでしょうか。

5.PC間のバランス、サポート関係、各PCの細かい技能や特徴などを考慮・
 補足して、キャラクターメイキングが完了します。



コメント


 「語り部」は、「技能分割」という判定方法を採り入れることでプレイヤー
の裁量がより強く反映できるシステムになっています。ですからGMとプレイ
ヤーの間のイメージの相互提示を、一番大切にしたいところです。



謝辞


  デザイナー :  sf氏(古谷俊一氏)
  本書作成協力:  冒険帝国
           福井氏
           奥野氏
  作成    :  ごんべ(堀田拓司)
           1997年11月下旬



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