狭間から吹く風とともに:1997/12/25


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狭間から吹く風とともに:1997/12/25

狭間から吹く風とともにって?

 本メールマガジンは、創作TRPG語り部の世界設定のひとつ、現代オカルト物 である http://kataribe.com/HA/ 狭間さまよえるもの達  に関して、編集済みエピソードとちょっとした新聞記事ふうのシナリオフッ ク、追加設定や前日の情報についてまとめてお伝えするというものです。  記述方式は setext 形式で、対応ツールを利用することでより読みやすく、 利用しやすくなります。 http://www.age.ne.jp/x/sf/SETEXT/ setextについて  編集は sfこと古谷俊一、連絡先は sf@x.age.ne.jp です。  発送には、インターネットの本屋さん『まぐまぐ http://www.mag2.com/ 』を 利用させていただいております。前回の発行部数は135部でした。  また、語り部通信倶楽部やサイバラ電劇ネットのような草の根BBSなどでも 配布されております。ちなみに転載は自由、引用は出所を明らかにすれば問題 ありませんし、シナリオネタとして利用する分にはとくに断る必要はありませ ん。  登録・解除は http://kataribe.com/HA/maga/ 狭間から吹く風とともに  の案内ページからお願いします。 > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > ☆ キャラ化によるエピソード作成 ☆ あなた自身をモデルにした人物を > つかって、もうひとつの日常を遊んでみませんか?  > どんな話になるかはつぎのURLで!     http://kataribe.com/HA/06/P/ > 実際の進行は 語り部メーリングリスト <URL:http://kataribe.com/ML/> と > 草の根BBS語り部通信倶楽部にて開催中です。 ** 毎日何話も進行中!! ** > --------------------------------------------------------------------

最近の狭間の展開

http://kataribe.com/ML/ 語り部メーリングリスト  を中心に、狭間について先日にあった活動をお伝えするものです。  新着ページについては http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/kataribe/KATA_NEW.html 語り部関連ページ新着情報  もご利用くださいませ。  新型オンラインコミュニティシステムが完成したら、紹介には集約リンクな どもつく予定です。今回は23、24日のできごとです。

コード06『キャラからのエピソード作成』

http://kataribe.com/HA/06/ ・新規キャラクター『謎の占い師:菜園玲香』  今のところ万能超能力者系になりそうです。

コード14『霞ヶ池の影』

http://kataribe.com/HA/14/ ・エピソード『宴会はプレハブで』  「一番欲しいもの」のタイトルで、子供達がサンタに何をお願いしようかと 話しているシーンで、晃一が望むもものは……。母親、は無理ですわなぁ……。  「夜来」につづく「星下演舞」は、落ち込んでいる野枝実をなぐさめる友久 の話……だと思うんだが、その方法が稽古をつけるというのは……。 ・エピソード『深々と』  小説『孤独の定義』のつづき。くっつけてひとつのエピソードにしたほうが いいかな? 胃に穴を開けても酒を飲みにでかける紗耶の話です。 ・霞ヶ池の影の案内と現状  中崎さんにより『霞ヶ池の影』のこれまでの展開と、今後の展望、アクティ ブに活動しているキャラクターについての概説資料が作成されました。加筆し てWebにもおいといたほうが良いかな。

夕刊風都:1997年12月25日号

クリスマス会に桜舞う

 24日夜にクリスマス祭の開かれていた真鶴公園にて、二本の桜が狂い咲きし、 参加者に花を降らせた。気象台によれば今年の冬は例年よりもあたたかく、吹 利盆地の気温は日によっては四月の陽気になることもあったためだろうとのこ と。  ともあれ、イブの夜を楽しんでいた人々には自然がもたらした素晴らしいイ ベントになったようだ。

利用法

 この時期に桜が舞ったこと自体は、桜姫の祝福でしょうね。誰を祝福したか は不明ですが、まあイブの会に集まった若い人々、と考えるのが妥当でしょう。 このあたりを利用して冬の恋物語を絡めた話のクライマックスに、事件を持っ てくるというのはひとつの利用法になるかと思います。  吹利の気温が部分的に高くなっているのは、霞ヶ池の影響だと思われます。 古代の高温期の気象が、現在の気象に干渉しているというわけです。

エピソード622『夏睡魔』

登場人物

 平塚花澄(ひらつか・かすみ) :本屋の店員。周囲を春にする異能を持つ。  店長 :本屋瑞鶴の店長。花澄の兄。  譲羽(ゆずりは) :人形に宿る木霊。  小滝ユラ(こたき・ゆら) :グリーングラスの店員にして薬学部院生。  マヤ :ユラの飼い猫。  狭淵美樹(さぶち・みき) :書物中毒な医学生。

瑞鶴にて

 五時半。  花澄 :「……眠い」  店長 :「熱帯夜続きだからなあ」  花澄 :「あ、そうなの?」  ばこっ。  花澄 :「……だから何でそこで殴られないといけないの!?」  店長 :「お前みたいに年中温度調節が効いてる奴に、俺の苦しみ :は分からん」  花澄 :「だからって」  店長 :「要するに、お前が眠いのは自業自得ってことだ。今日は :もう終わりだろ。譲羽連れて帰ってさっさと寝ろ」  と、言われても。  花澄 :「ゆずの服、縫いおわってないし」  どこで遊んでいるのやら、このところ連日木霊は埃だらけになって帰って来 る。さすがに今日は、一緒に連れてきてしまったのだが。  花澄 :「お茶でも買って帰ろうかな」  譲羽 :『ユラさんのとこ、行くの?(わくわく)』  花澄 :「遊びに、じゃないのよ。すぐ帰るんだから」

目覚めの茶は……

 花澄 :「こんにちは」  ユラ :「こんにちは、花澄さん……」  花澄 :「……何だか眠そうですね」  ユラ :「このところ、夜眠れなくって(苦笑)」  花澄 :「暑くて、ですか?」  ユラ :「いえ、実験が……あのネズミ達のせいでっ!」  ユラ、思わず握り拳。  花澄 :「……ねずみ、ですか(一歩下がる)」  ユラ :「あ、いえまあ(汗) ……今日は、何か?」  花澄 :「あ、そうだ。目の醒めるお茶ってあります?」  ユラ :「目の醒める……ええと、ここら辺かな?」  計って袋に詰める手元を見ながら。  花澄 :「で、同じものを……もしよければ今、一杯頂けませんか?」  ユラ :「花澄さんも眠いくちですか?」  花澄 :「ええ、まあ(苦笑)」  ユラ :「じゃ、御一緒します。私も眠くって」  こぽこぽと眠気を誘う音と一緒に、香茶がカップに注がれる。  花澄 :「あ、おいし」  ユラ :「どうも……ああ、それにしても」  花澄 :「ねむい、ですねえ……」  そして、沈黙。  暫し後、微かな物音と一緒に。  マヤ :「……にゃあ(……何これ?)」  譲羽 :「ぢい(二人とも起きないの)」  壁際の席に座って、壁にもたれたまま眠っている花澄と、二つのカップを器 用に避けて、テーブルに突っ伏しているユラと。  マヤ :「にい(……駄目だわこれは)」  譲羽 :「ぢいぢい(退屈なのにぃ)」  マヤ :「にゃあ?(だってあんた起こせる?)」  譲羽 :「……ぢぃ(無理みたい)」  そしてゆっくりと西日が薄れてゆく中で。猫と木霊は揃って溜息をついた。

客、きたれど……

 そのころ、グリーングラスの店頭には来客が……ファンシーなグッズ類を横 目に、計り売りのカモミールティーとアップルティーの値札とにらめっこして いるのは、狭淵美樹である。  美樹 :(うむ、カモミール100グラムに、アップルティー200グラ :ム。これぐらいあれば、しばらくは持つでしょうし)  財布の中身との相談がまとまったらしい。しかし、レジには誰もいなかった りする。  美樹 :「(店の奥に向かって) すいませーん」  ……返事はありませんね。はい。  美樹 :「すいませーん?」  そう声をかけながら、店内へと入っていく美樹。そこでは……  美樹 :(女性二人……まさか……倒れている?)  美樹 :「失礼」  一言声をかけて、触れないように、二人の顔を覗き込む。  美樹 :(顔色は悪くないし……眠っておられるだけですね、これ :は……。しかし、よく寝ておられる……起こすのが気の毒 :ですね……ん? 確か、こちらの女性には見覚えが……)  マヤ :「にゃーぁ(だれ、あんた。客?)」  足元からの猫の鳴き声に気付く。  美樹 :「おや」  美樹は、しゃがみ込む。マヤの目をじーっと見つめる。見つめる。見つめつ づけている。  美樹 :(ここの店の猫かな……)  マヤ :「みゃ?」  3分間ほど経過したあと、マヤが目をそらして美樹の足元を通り抜けていく。 それを視線で追ってふりかえる。譲羽が、そこにいる。  譲羽 :「じぃ」  美樹 :「?」  譲羽 :「じいじいじい」  むろん、美樹に理解できようはずがない。何か訴えかけようとしているのは 判るのだが。  美樹 :「(これは……どうしましょうか?)」

眠れる森の美女たち

 譲羽をしばし見つめた後に、しばし考えて、立つ。壁にもたれて眠っている 花澄と、テーブルに突っ伏して眠っているユラとを等分に眺める。  美樹 :「(……夕方五時半か……これだけよく眠っていらっしゃ :るのを起こすには忍びないですねぇ。この気温なら風邪も :引かないでしょうし。 : 取りあえず、テーブルの上のカップだけは、片付けてさ :しあげた方がいいかもしれませんね……こちらの方が動か :れた時に、落ちて割れでもしたら気の毒ですし)」  そう考えて、テーブルの上の真っ白い陶器のティーカップに手を伸ばす。そ の拍子に、テーブルが、カタリと少しゆれる。  ユラ :「……ん?」  ユラがその物音に気付く。  美樹 :「(あらら、起こしてしまいましたか) あ、失礼」  ユラ :「え……あれ、お客さんですか、すみませんっ」  勢いよく立ち上がった弾みで、今まで座っていた椅子が後ろに倒れる。ばた ん、という音に、猫と木霊が飛び上がった。  ユラ :「あ、あ、すみません……あら?」  その視線が向かいの椅子のところで止まる。  ユラ :「熟睡してる……(苦笑)」  譲羽 :「ぢいぢいっ(かーすみっ!)」  美樹 :「すいません。起こしてしまうつもりはなかったんですけ :ども……申し訳ない」  譲羽 :「ぢいぢいぢいっ!(ゆずは起こしたいのっ!)」  ユラ :「駄目よゆずちゃん、花澄さんせっかく寝てるんだから…… :あの、それで……?」  美樹 :「あぁ、わたしは狭淵と申しまして……って、そうじゃあ :りませんね。ようするに、一応客なんだと思いますけど」  ユラ :「あっ、すみません」  美樹 :「そういうわけで、向こうのハーブティー、計り売りして :いただきたいんですけど」  ユラ :「はい」  協力者、無し。  しかしそこで諦めるほど譲羽もやわではない。後の二人がレジの方角へ移動 したのを見計らって、譲羽はぴょんと飛び上がり、花澄の耳元まで移動した。  譲羽 :「ぢいぃっ!」  花澄 :「!」  ……これで起きなければ、相当である。  花澄 :「あ、寝てたんだ……ええと、ユラさん……あ、」  どうも、まだ半分くらいは睡魔に取りつかれているらしい視線が止まった。  花澄 :「ええと、狭淵さん、ですよね?」  美樹 :「はぁ(……確かに見覚えがある、確かにあるんですが……)」  曖昧な返事を返しながら、必死にその顔を脳裏で検索している。活字になっ ていないと検索効率悪いぞっ!   花澄 :「何か兄……店長が、面白い本が入ったって言ってました :ので……またどうぞ、いらして下さい(ぺこり)」  美樹 :「それはどうも」  咄嗟に瑞鶴のことを言い出すあたり、店長が聞いたら感涙もの……かどうか。 言うだけ言うと、花澄はふらふらと立ち上がり、前進しはじめた。  美樹 :「(そうでした。この雰囲気は瑞鶴の店員さんではないで :すか)」  花澄 :「それじゃユラさん……」  ユラ :「え……あ、待って花澄さん、お茶忘れて……!」  ごつん。  花澄 :「……ったっ」  ユラ :「だ、大丈夫ですか?(汗)」  美樹 :「(何故、不透明な壁にぶつかるんでしょう……透明なガ :ラスの壁にぶつかるんでしたらよくあることですが……)」  ユラ :「花澄さん……あの、もう一杯、お茶、いかがです? 今 :度こそ完璧に目の醒めるお茶。あの、狭淵さんもよかった :らご一緒にどうぞ」  美樹 :「え、あ……よろしいんですか?」  ユラ :「ええ、さっきは失礼してしまいましたし」  首だけ振り向けてにこにこといいながら、花澄を助け起こそうとする。が……  マヤ :「ふみぃぃぃ……(ユラってば、それじゃ無理だって。自 :分でスカートの裾踏んでるじゃない)」  ユラ :「……あ……わたしったら!!(汗)」

ミントの香り

 どうにか三人がテーブルにつきなおし、ユラはガラスのポットにお茶をいれ 始める。  花澄 :「あれ、レモンのかおり……」  ユラ :「レモングラスなんです。味はミントがベースだから、今 :度こそしっかり起きられると思う(笑)」  さらっとした風が吹き込む。窓の外はほの青く暮れて、屋根の上にはちょう どレモンのような月。ちりちり、と、ガラスの風鈴が鳴る。  ユラ :「はい、どうぞ」  氷を入れたグラスに、うすみどりいろの香茶。風鈴に答えるようにグラスの 氷が鳴る。  美樹 :「や、これはどうも……あ、美味しいですね」  花澄 :「……ああ、ようやく目が醒めた……」  ユラ :「……よかったぁ。……あ、ところで花澄さん、お茶、持 :ちました?」  花澄 :「ええ、今度こそしっかり(苦笑)」  しばらくして。  日暮れた道に、ドアひとつぶんのやわらかな灯りがこぼれ出す。  ユラ :「どうも、ありがとうございました」  花澄 :「いえいえこちらこそ」  譲羽 :「ぢぃ。(ユラさんありがと)」  譲羽の手には、さっきユラが庭から摘んできたふうせんかずらの”風船”が みっつ。  美樹 :「風船草ですか……そういえば、なかなか珍しい薬草があ :るんですね。このお店は」  ユラ :「え、判りますか?」  美樹 :「ほんの少しですよ。実家が漢方医でしてね。わたしは家 :を継がなかったんで、ただの門前の小僧なんですけどね」  ユラ :「あ、そうなんですか」  美樹 :「あ、おいしいお茶、ごちそうさまでした」  ユラ :「狭淵さんも。これからもよろしかったら寄ってください :な」  美樹 :「えぇ、またぶらりと寄らせていただきますよ。それでは」  人影はそれぞれに別れていく。  昼間の暑さを吹き払うかのように風の立った、夕暮れ。

解説

 ハーブショップ"グリーングラス"での日常です。  のちの話を考えると、この話は狭淵美樹が小滝ユラに出会った話、と位置づ けるのが良いのかも知れませんね。悲恋というか、奇妙な緊張を伴う恋愛とい うか、そういうものに発展していきます。 > -【宣伝】----------------------------------------------------------- > ○ ○〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜○ _// > <[■]\ £_ )サイバラ電劇ネット( ____/>>>>>\ > −−−−−→/ ゜)○〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜○ /<<<<<<<<<< ◎ <<<\ > 〜y/ ̄~>> ̄~`\/^ 03-3721-2501(アナログ) <>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>▼ > / ) ||___ / 03-5483-7408(デジタル) VvVvV<<<<<<<<<<<<<<▼ > --------------------------------------------------------------------


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