歴史考証百科事典(encyclopedia)
- いんじうち
- 印字打ち《武術》
- 投石戦闘のこと。比較的飛距離もあり、大量に投げることが可能で、
コスト的にも優れた印字打ちは、戦国期の戦争において重要な役割を
果たしたという。当時の死傷者は、一番が鉄砲、二番が槍、三番が投
石であると言われるほどである。
- クラーレ
- curare《毒》
- もっとも有名な矢毒のひとつで、南アメリカにおいて狩猟・戦闘用
に多用された黒褐色の樹脂状の毒。外傷では毒として有効であるが経
口では害が無い(体内に傷があれば別ではありますが)ため、狩猟用に
非常に有用である。クラーレの名は鳥を殺すという意味の現地語ウー
ラリ(wourali)に由来する。
フジウツギ科(たとえばストリキノス・トキシフェーラ)もしくはツ
ヅラフジ科(たとえばコンドデンドロン・トメントースム)の一部の樹
皮から採取される。
有効成分はd-ツボクラリン。末梢神経と筋の接続部においてアセチ
ルコリンと拮抗、興奮伝達を阻害して骨格筋を麻痺させる。
微量なら筋弛緩剤や補助的な麻酔にも使用でき、合成物の塩化ツボ
クラリンは注射剤として外科手術、リューマチ、骨折などに筋弛緩剤
として使用されている(らしい)。
毒としての強度は難易度9程度。一般人なら身体が丈夫でもたいて
いは死ねます。
- こむそう
- 虚無僧《宗教》
- 普化宗の僧であり、剃髪せず僧衣もつけない半僧半俗の存在。幕府
によって諜報にも用いられたが、浪人対策としての面も多かったらし
い。一応元武士でなければならないと決まっていたが、のちには食い
詰めた町人などか勝手に虚無僧のなりをする事もあった。
「家康公の掟書」なる文書によって、幕府から公にその特権を保証
されていた。ただし明治時代になってからわかった事ですが、実際に
はこの文書は偽物であった。特権とは全国の往来自由と、芝居小屋や
相撲小屋の出入りが自由なこと、駅宿に泊まる事ができる事、托鉢に
は必ず喜捨をする必要があること、尺八の演奏権など。
虚無僧の服装などは幕府によって規定されており、市中托鉢の際に
は藍色または鼠色の無紋の服(材質は綿か絹)を着て、平ぐけの男帯を
まえに結び、腰には袋にいれた予備の尺八をつける。首には三衣袋を
かけて、背中には袈裟を掛け、頭には「天蓋」と呼ばれる深編笠をか
ぶり、足には五枚重ねの草履を履き、手には尺八を持つ。旅行時には
藍色の綿服、脚袢、甲掛、わらじ履き。よく時代劇で用いられる「明
暗」と書かれた[人喝:げ]箱は、江戸時代には存在しなかった。
もともとは梵論師[ぼろんじ]、ボロ、ボロボロ、薦僧[こもそう]な
どと称されていた乞食僧が原形らしい。
尺八
普化宗
- ざぶとん
- 座布団《家具》
- 座るときに敷く正方形の布。
現在では中に綿などを入れるが、江戸時代には役者か花魁くらいし
か綿入りの座布団は用いなかったという。
特に武家では座布団は自堕落なものとして蔑まれ、ほとんど使われ
ることはなかった。よって座布団を利用する戦闘技法が開発されたの
は明治後半あたりからであろうという。
- しゃくはち
- 尺八《楽器》
- 竹筒を利用した笛の一種。一尺八寸の長さだから尺八と呼ぶ。
日本には奈良時代以前に渡来して、雅楽などにも用いられた。ただ
し当時のものは一尺三寸五分ていど。
もともと一尺程度であった尺八が現在の長さになってのは、元禄時
代の大坂の悪党雁金文七なる尺八の名手が、喧嘩の得物とするために
作ったのが始まりだという。
江戸時代には尺八の演奏は虚無僧の特権であり、その本山の一月寺
の許可なしには芝居などでも尺八を使用できなかったという。
虚無僧
普化宗
- しろう
- 屍蝋《名詞》
- 蝋状に変化した死体がのこと。特有のいやな臭気がある。
屍脂、死蝋ともいう。生化学用語ではadipocere。
水分が多く空気の流通が悪い場所(水中や湿潤な土中)に置かれた死
体においては、腐敗が妨げられた状態で脂肪が分解して脂肪酸となり、
タンパク質の一部も細菌の作用などで脂肪酸に変化します。この脂肪
酸の一部ないし大部分(5〜97%)が水中のCaやMgと結合して鹸化すると、
屍蝋となる。なお金属石鹸となるので洗濯に使える石鹸ではない。
未完成の屍蝋は柔らかくチーズ状を呈し、完成したものは硬くて脆
く石膏様である。屍蝋の完成度と脂肪酸量・鹸化程度との間に相関関
係はない。
高温では屍蝋形成は早く、夏では2〜3週間で一部屍蝋化する。ふ
つうは水中死体で1〜2ヶ月、土中死体で数ヶ月たつと、皮下脂肪織
から屍蝋化がはじまる。全身が完全に屍蝋化するには水中死体なら半
年から一年、土中死体なら2〜3年程度かかる。
一般に太った人のほうが、また男性より女性のほうが屍蝋化しやす
い。おそらくは体脂肪率の問題かと思われます。
- とうせん・じゅつ
- 投銭術《武術》
- 江戸時代の遊び。五メートルばかり離れたところに打ち込まれた曲
がった釘に、穴空き銭を投げて引っ掛けるという、輪投げを難しくし
たようなもの。
印字打ち同様に戦闘にも用いることができる。
印字打ち
- なが・わきざし
- 長脇差《武器》
- 一尺七寸以上の通常の脇差よりも長い脇差のこと。幕府はたびたび
禁令を出して使用を禁じた。
刀の代用として江戸時代の町人(特にヤクザ)が使用していたのもこ
れである。別名ナガドス。
脇差
- ふけしゅう
- 普化宗《宗教》
- 禅宗の一派で、開祖は唐の普化禅師。尺八を吹く事を吹禅と称し、
読経の佐井に尺八の伴奏がつくなど尺八を重んじていたらしい。
本山は下総小金の一月寺。
尺八
虚無僧
- みいら
- 木乃伊《名詞》
- ミイラとはポルトガル語のmirraに由来することば。英語ではmummy
であり、どちらもギリシャ語のmyrra……没薬からきている。なお、
木乃伊はmummyの漢訳らしいので、これをミイラと読むのは宛て字な
のかも知れない。
人間もしくは動物の、乾燥した遺骸のことで、腐敗の進行が自然環
境の要因により遅れたり、人為的に妨げられる条件下で、死体の乾燥
が急速に進んだときに生成される。
気温が高いほど、湿度が低いほど、通気性がよいほど、栄養が悪い
ほど、ミイラ化しやすい。天然には子供では2週間ぐらいで完全にミ
イラ化する事もあるが、成人では最低3ヶ月ぐらいはかかる。なお、
外国では死後17日間でミイラ化した例の報告があり、日本でも25日で
完全にミイラ化した例が報告されている。
- むけん・の・かね
- 無間の鐘《呪具》
- 11世紀ごろ、遠江の無間山の寺、もしくは小夜の中山の観音寺で、
檀家から銅鏡の寄進をうけて梵鐘を作ろうとした時、どうしても溶け
ない銅鏡があった。松竹梅の浮き彫りになった鏡である。この鏡を母
子で代々伝えてきた百姓の女房が奉納したことを後悔したために、執
念が残ってしまっていたのである。
そのことが世に知られ、女は「その鏡を溶かしてつくった鐘を突き
破ったものは金銀財宝を授かる」と書き残して自害した。その後、多
くのものが突き破ろうとさんざん鐘をついたため、うるさくてかなわ
ぬと僧たちは釣り鐘を沼へと沈めてしまった。それ以来釣り鐘を見た
ものはいないという。
この梵鐘の代用として、金属製の器を打ち破ることにより財貨を得
るという、まじないが誕生した。ただし成果は良いことだけとは限ら
ないようで、放蕩のあげく反省もなくまじないを行った場合には、悲
惨な目が待っている。また、現世では富裕になれるが、来世には無間
地獄に落ちるという話もある。紀海音『傾城無間鐘』、浄瑠璃『ひら
かな盛衰記』などで登場するらしい。
この銅鏡の由来に因縁をつけてふくらませると、伝奇系のシナリオ
ネタとして色々と使えるかも知れません。また類感魔術として「無間
の鐘」というものを設定することも面白そうです。
名前が意味深ですが、本来の由来はたえまなく突かれる鐘、という
意味からでしょうか。無間には絶え間の無いことという意味がありま
すから。
参考:岩波文庫『怪談』ラフカディオ・ハーン、広辞苑
- わきざし
- 脇差《武器》
- 短めの刀。江戸幕府の禁令によれば長さは一尺五、六寸である。こ
れ未満のものは小脇差と、一尺七寸以上のものは長脇差と呼ぶようで
ある。
長脇差
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