キャンペーン07第17話『53日 神聖王国の使者(前編)』


目次



キャンペーン07第17話『53日 神聖王国の使者(前編)』

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 内容:語り部プレイオフ
 日時:1997年10月5日(日曜日) 午前10時より18時まで程度
 場所:いずみ氏宅(奈良県香芝市:最寄り駅は近鉄五位堂かJR下田)
 世界設定:プルートミア物語
 コード:キャンペーン7
 参考URL: http://www.age.ne.jp/x/sf/KATARIBE/PS/07/
 最高技能値:24程度
 必要物:弁当もしくは弁当代。
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参加者

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	sf	GM
	いずみ	シェネア・フェルス
	はやと	ホレス・ハムト・ソーン
	MM	ヒソール・ラルシュ・ソーン
	奥	ラセルカ・イアラ
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第一次シナリオメモ

 私sfがいずみ氏とMM氏とおしゃべりすることによって構築された、次回シナ
リオの概要であります。(プレイヤーにシナリオ作ってもらってるのな)

・4107年53日
・『○○の使者(仮題)』
・ホレスが外交使節の接待を命じられる。(ある意味で)大活躍。
・使節は二ヶ国以上。ニモトも? 
・使節の最高地位の人間は13歳の嬢ちゃん。ホレスを混乱させる。
「そんなに子供扱いしないで! あと一年で成人なのよ」
・ホレスには身近な事件(人間関係の問題)を与える。
・時の印章のナンバー3、接近戦、とくに肉弾戦を得意とす人間が、アフィ・
ユーロ側の護衛役?(奥さんのPC案)
・シェネアのショッピング。ヒソールも誘われる。何を買いに行くかは不明。
・ダナクス・ロントが絡んでくる。しかも(とりあえず)味方。
・誘拐事件、ホレス絶叫。
・技能値15から18くらいの偉ぶった護衛役
・シェラクまで絡んでくる……と大混乱必死。ヒソール対シェネア? 


第一次登場予定ガジェット

・時の知恵派と青の騎士団が出てくる(予定)
・ニモト人が出てくる(かも知れない)
・ヒソールの肉親とメレアの両親のニモト留学組
・ノーティス学院関係者(PCにも多いけど)
・光の古都の出身者
・技能値15から18くらいの偉ぶったやられ役数名
・ソーン家とユナファ家の過去のからみ
・紅蓮戦争の遺産(がやっかいごとを引き起こすかも)
・紫玉の天盃ネムシェルシェ(を出すかも知れない)
・いつもと逆にダナクス・ロントが味方にまわる? 


初期展開予定

 ソーン直轄領の首都アフィ・ユーロに、外交使節がやってくる。今回その接待
役を仰せつかったのは、国王相談役補佐にして超絶的な家事の力量を誇る空間場
工学導師、ホレス・ハムトであった……。
 シェネア・フェルスが過去から来たミアネ神殿にて補佐をすることを決め、ヒ
ソール宅を離れ……いつも一緒に居るのが当然だと思い始めていたメレア・エレ
スは自分の位置づけをどうして良いのか混乱する。

 それぞれがそれぞれの道を行こうとすることになる……そう思えた53日の寒空
のもとに、一人の男が帰ってきた。クロマ。時空の乱流に飲み込まれ姿を消した
ダナクス・ロントの一員にして闇のリーアの使い手。彼のねらうものははたして
なにか。そして同様のものをねらうのか、シェラク・イーロンも再びユーロの地
に姿をあらわす……。
 神聖王国ラセム=ティラムの使者にして13歳の巫女姫ラセナ、超国家ニモトの
正体不明の外交員、失われしユーロの聖宝たる『黒き金杯ハーラマイト』対『紫
玉の天盃ネムシェルシェ』……そして誘拐事件と偽の使者が巻き起こす混乱は神
聖王国の動乱へと突き進む。
 時と運命の守護者シザンのもたらす運命の糸は再び人々を招きよせ、対立と混
迷の中に忘れられたソーンの一支族の真実を示すことになる……。



展開


急なご招待

 PCたちはタレス暦4107年52日、珍しく平穏な日々を過ごしていた。日頃は、
毎日のように国家的・神話的重大事件に追われている彼らにとって、何事も
無いということのほうが珍しいのであった。
 そんな束の間の平和を楽しんでいた国王相談役補佐ホレス・ハムトは、王宮
にて明日やってくるという大使の歓待任務を急遽仰せつかった。使者の到来す
るのは超国家ニモトともう一国は神聖王国ラセム=ティラム。ラセム=ティラ
ムについては調査ができあがっていないほどの急なことであったらしいのだが、
ニモトの恐ろしさを知るホレスは、緊張のためかラセム=ティラムについては
気にもとめなかった。
 同時期に、ソーン王国連合の女王直属の諜報組織である時の印象の実行部隊
の長、ラセルカ・イアラは、副総帥より司令を受ける。二国の大使および随員
の警備を行えとのことである。この時ニモトとは何であるかについて訪ねなかっ
たのは、ある意味彼女の不幸のはじまりであったといえよう。もっとも、彼女
のクラスの人間であればニモトを東方の大国、商業呪術国家程度に認識してい
ること自体が珍しいので、副総帥が年を押す必要を感じなかったのも無理は無
かったのかも知れない。
 そして……この頃、ヒソールは例によって町でつかまえた女性と楽しいひと
ときを過ごし、シェネア(+メレアとマーナ)たちはミアネ神殿にて楽しくお茶
会をしていたのである。


混ぜるな危険

 53日当日。
 料理17を駆使して宴会料理の作成をしつつ、新たに取得した最高技能である
接待25によって指揮をしつつ準備を整えるホレス。これでみんな最高技能値が
25でそろったんですが……ますます変なやつになってますな。
 そしてホレスはその鋭敏なる舌によって料理の味見中に、素材に巧妙に毒物
が混入されていたことに気がつく。単独では効果を持たない毒物数種が、別々
の場所で購入した食材に仕込まれているのである。これらの毒物は適切に調理
したとき、すなわち混合されて加熱され、胃液と反応したあとで致命的な毒に
変化するという巧妙なものであった。
 準備に忙しく手のはなせないホレスは、そのころ起きだしてきたヒソールに
対して通信具を使用して調査を要請するが、ヒソールとしては特に受ける筋合
いも無い。結局、ヒソールが王妃経由で時の印章に捜索させることを決定した。
 王妃よりの勅命により捜査を命じられたラセルカであったが、会場警備のほ
うの仕事があるため、部下に調査させた。しかし、最終的に調査は失敗、毒を
混入させたのは女性であるということしか分からなかった。


二人の大使

 毒に汚染されていない食材を空間場工学を駆使して選定、残された食材だけ
で巧妙に料理を作り上げ、ホレスは宴会の準備をまにあわせるのに成功した。
 大使の到着ももうじきだという頃、会合地点の広場にて、ラセルカは完全な
隠形と闇のリーアにより姿を消して人々を監視していたのだが、突然肩を叩か
れ、驚愕する。柔和な笑みを浮かべた平凡な雰囲気の青年は、ニモトの大使の
オマウであると名乗った。一人で到来したのは、随員は必要ないからだという
ことである。驚きつつも、自らの隠形を完全に見破り、しかも気配ひとつ感じ
させなかったオマウの能力を認めてそれなりに納得してしまうラセルカであっ
た。
 そして……贅をつくした一行が到着する。神聖王国ラセム=ティラムの大使
一行である。そして……出迎えるホレスは、大使が未成年、わずか13歳の少女
であることに驚かされた。


神殿へ駆け込んだのは

 ヒソールが王妃に調査以来を告げに出かけたすぐあとに、シェネアたちは再
びミアネ神殿に出かけた。千年前のユーロ・イームより時空閉殻を利用してやっ
てきたこの神殿、もともとの唯一の住人だった水の地方神たるエリノア・フォー
レがミアネの大司祭であるため、しだいに権限を委譲されてアフィ・ユーロに
おけるミアネ信徒の活動拠点になりつつあったのである。ミアネの上級司祭に
して上級使徒たるシェネアは、呪力はともかく実務に長けているとはとうてい
言えないエリノアを補佐することを自分の役目と自らに任じたのである。
 そして日常業務――真実を見定めるものミアネの信徒にとっては、民事の裁
定や難事件の調査である――をこなしていたシェネアのもとに、疲れきった一
人の少女が案内されてきた。難事件らしい。話を聞いていくと、彼女は神聖王
国ラセム=ティラムの巫女姫――王女にして最高神官――であり、なぜか父王
よりソーン直轄領に大使としておもむくようにと命じられたのだという。そし
て、道中で随員は襲われ、散り散りになった中を逃げ出したという……。



闇の中の襲撃

 無事に歓迎の会を開いたホレスが、厨房でひとりデザートの仕上げに勤しん
でいたときに感じた違和感、それはかつて時空門のはてに引きずり込まれそう
になったときに身体に染み付いた、時空門を感得できる一種の慣れのようなも
のがもたらした警告であった。空間場工学により時空門を開き、転移してきた
人影、それはかつてホレスを時空門にまきこもうとした男、時空の狭間に消え
たはずの男、"誤解の導き手"の異名を持つダナクス・ロントの一員、クロマで
あった。
 驚愕するホレスに「デザートに仕込みたいものがある」と言うクロマ。しか
し当然ながらホレスが許そうはずも無い。拒絶して吠えるホレスを意に介した
様子もなく、余裕をもって奇妙な杯を傾けるクロマ。途端に杯からあふれだす
闇。ホレスは古伝承を思い出す。紫玉の天盃ネムシェルシェ、双子の戦争にて
サーム陣営が用いてより消えたはずの、ユーロの失われし聖宝のひとつ。
 闇に満たされ、夜目の利くものも、闇を見通す呪力を持ったものでさえも、
まったくものの見えなくなった迎賓館内。警備をしていたラセルカは素早く異
常に気づき、ホレスの居る厨房へと闇のなか慎重に足を進める。
 そのとき、ラセルカの後方、大使のいる席から気配がひとつ消えた。慌てて
そちらに向かう。毒を入れた人間が女性と調べてあったためか、途中でぶつかっ
た女性とおぼしき人間の手をつかまえ、猛烈な反撃をくらう。が、逃がさない
ことは楽に出来た。
 闇が流れ、視界が晴れたときに判明した事実、それはラセルカが手首をつか
まえていたのが神聖王国の(名目上の)大使である巫女姫ラセナであったこと、
誘拐されたのは(とくにホレスにとって)意外にも、ニモトの大使であったこと
であった……。


もう一つの挑戦者

 時の印章への調査依頼の仲介を済ませたヒソールは、のんびりと町を歩いて
いた。そこにあらわれたのは、シェラク。ルコンヤの大司祭である。以前の事
件で何度かで食わしたことがあるのだが、どちらも人生を楽しく過ごすことを
良しとし、実践している点で似通っているせいか、なにかと仲が良い。
 話をしていると、シェラクは神聖王国にてクロマと遭遇、紫玉の天盃ネムシェ
ルシェによる王国崩壊を狙うクロマにたいして、黒き金杯ハーラマイトをもち
いてそれを防ぐという、一種のゲームをしているらしい。
 そして、シェラクはこれから迎賓館に向かうという。神聖王国の国王が万一
のことを考え、逃がすために派遣してきた王女、その暗殺を反乱軍……王弟派
が試みようとしているというのである。とりあえず面白そうなのでついていく
ことにしたヒソール。
 ヒソールとシェラクは、闇に包まれつつある迎賓館に潜入する。黒き金杯の
結界により時分たちの周囲だけ闇をとりのけ、結界からは気配が出て行かない
ようにして潜入する。
 そしてホレスやラセルカがどたばたやっているのと同時期、潜入していた暗
殺者――毒使いのミリティアと遭遇する。近くに居たニモトの大使の介入もあ
り、ミリティアは捕獲された。そして話を聞いたニモトの大使は、一枚かむた
めに誘拐されたように偽装する
 ヒソールいわく「いやー誘拐犯になっちまったな」。はてさて、これからど
う事態は転がっていくのか……。というわけで、続く……。


追加データ


登場人物

ラセナ・ラセム《人名》
	 神聖王国ラセム=ティラム巫女姫。4107年初頭時点には13歳。自尊
	心が強い。
	 ラセム家伝来の異能により、ラセム=ティラムの守護神たるティラ
	ム神の力をその身にうけ、貯え、行使することができる。

ミリティア《人名》
	 毒使いの女。隠形も格闘能力も見事であったが……。

エリノア・フォーレ《人名》
	 水の地方神にしてミアネの大司祭。ユーロの主の孫娘。
	 3107年、当時のユーロ・イーム近辺を襲ったエトラ・ギ・ネーセの
	余波から逃れるため、時空閉殻により管理してい神殿ごと4107年まで
	避難した。

シェラク・イーロン《人名》
	 クラレシアの姉。ルコンヤの使徒かつルコンヤの大司祭である。
	出身地はロトス王国アレィナ。4107年初頭時点で26歳。
	 長いつややかな栗色の髪を、風になびかせて登場する神秘的な美女。
	しなやかな体つきをしている。
	 目立ちたがりのかっこつけで、無視されたり軽視されたりすること
	が大嫌い。クラレシアと比較されて来過ぎたため、屈折してしまって
	いる。刹那的なところがある。本当は寂しがり屋であるため、人の注
	意を引きたがる。
	 イーロン家のはみ出し者。本来有能な人物なのだが、なにかとクラ
	レシアと比べられてきたため、ひねくれてしまった。目立ちたがりな
	のは、劣等感から来ている。クラレシアが旅立ったのを、彼女の大人
	気ない態度のせいだと心無い人々から不当な非難を受けたため、切れ
	てしまい家出した。
	 口元に手を当てて笑う「私の名はシェラク。よろしくね(笑み)」。
	事態をさらに引っ掻きまわし、混乱させるのが趣味だが、別に陥れよ
	うとかいう悪意があってしているわけではない。妹に反感を抱いてい
	るが、本当は尊敬している。なにかとはぐらかすのが好きで、思わせ
	ぶりな口調で悩ませる。優しくされると戸惑ってしまうので、シーファ
	のような相手には強く当たることができない。妹に似た相手を苦手と
	する。
	 ルコンヤの神力を巧みに操り、隠密行動は第二の天性。光砂や飛空
	衣などの呪具も持つ。光および崩のリーアとシェラーム流剣術、ニミ
	シア式構成呪術などを組み合わせて活用する、神出鬼没のトリックス
	ター。

クロマ《人名》
	 もともとはコスティムという姓を持っていたが、里を出た際にその
	姓は捨てている。通称誤解の導き手。
	 4107年1日時点で35才。
	 短めの黒い髪を右の前髪だけ後ろにはね上げている。
	 陰湿で計略好き。本質的に野望家である。人々が戸惑って右往左往
	するのを眺めて酒を傾けるのが大好きであり、やり口が少々回りくど
	いために失敗することがある。
	 ルムルの里の封魔の民の出身だったが、野望ゆえに里にいることが
	できなくなり、家名を捨てて放浪の旅に出た。追っ手でもあったカス
	タールの両親をスィーム王国にて殺害、その後ダナクス・ロントに入
	り暗躍している。
	 封魔の民出身であるために魔獣合成や魔獣封身術に長けているばか
	りか、時空門系の空間場工学をもっとも得意としている。偽造や召喚
	術も非常に巧みである。用途に応じた魔獣封石多数を常に用意してあ
	る。
	 4107年10日近辺ではスィームの内乱を煽って分裂・崩壊させようと
	しており、そのために姫とカスタールを陰から支援していた。途中で
	時空の狭間に追放されたとはいえ、最終的には彼の計画は成功してい
	る。


登場ガジェット


とき・の・いんしょう【時の印章】《組織名》
	 平和維持と情報収集を主目的とするソーン家の諜報機関。
	→ソーン家
	 4106年にナディア・ソーンによって復興され、現在の本部はアフィ・
	ユーロ。
	支部には、ユーロ・イーム(セレン・シャイト他)、トゥーフ(ナー
	フェン・カフィル)、ファランス(ハラシャ・ミスト)、カセラ(ケ
	スタス・ローム)等がある。

しぎょくのてんはい・ネムシェルシェ【紫玉の天盃ネムシェルシェ】《呪具》
	 ユーロの失われし聖宝の一つ。大ユーロ帝国期の双子の内乱におい
	てサーム陣営による使用が確認されているが、以後の消息は不明。
	→ユーロの失われし聖宝
	 夜のとばりの降りんとする、まさにその瞬間を封じたといわれる玉
	石は深い紫紺。真の黒で書かれた閃光流描文字を内側にあしらわれた
	軽くねじれたすり鉢状の盃である。
	 ネムシェルシェとはマクワウィア語で影を導くものといった意味で
	あり、この天盃に一度満たされた水を飲ませると水盤に人の心の闇を
	写しだす。また、全天を闇で覆ってその下の全ての人間に対して、自
	分自身がもっとも嫌ってい過去の行為についての内省を強要すること
	が可能。その力を一人の人間に対して用いると、どちらが偽物である
	といえない分身を作り出して(正確には一人を二つの体に分割すると
	みたほうが良い)、その心のうちを再認識させることもできる。

くろききんはい・ハーラマイト【黒き金杯ハーラマイト】《呪具》
	 普段は単に優美でありながら丈夫な黄金の杯にみえるが。その力を
	発動させると真の闇色、まったく光を反射しない完全黒体となる。
	 基本能力は金杯の中心を焦点として回転楕円体の結界面を作り、内
	部から外部・外部から内部への事象の移動を制限するという一般的な
	隔離結界ただしその強度は高く、金杯の内部に結界面を維持してまま
	にできるため、便利な封印道具として活用できる。
	 もともと紫玉の天盃ネムシェルシェに対抗させるために作成された
	ため、人間精神において心理的な壁を作成して個我を強制的に確立し
	たり、人格を複数作成したり、不安定化された精神構造を補強するこ
	とも可能である。




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