エピソード001『正義の使者?』
- オスカー・ウェーバー
- 武装SS少尉。国防軍で戦功をあげるが負傷し、失意のうちに予備役入り。その後、親衛隊にスカウトされ、第13特別武装連隊に配属される。
- 親衛隊員(黒服)
- 諜報部の人らしい。
- オペレーター1、2
- 悪いタイミングでオペレーターしてた英国の兵隊さんたち。
- ちょび髭
- あの人ですね。
- 太めの男
- 贅沢大好きな、空軍の最高司令官です。
第三帝国首都ベルリン。
親衛隊本部の一室。
- 黒服
- 「……と、言うわけで、総統閣下は『あしか作戦』にとって敵レーダー網は脅威であると考えておられます。」
黒服が、スライドを操作して一通りの説明を終え、向き直る。部屋に明かりが灯った。
- オスカー
- 「…………戦略的に重要な任務だということはよく分かった」
- 黒服
- 「少尉の理解力は敬意に値します」
- オスカー
- 「……だからといって…………」
- 黒服
- 「はい?」
- オスカー
- 「なんでこんな方法なんだよ! おかしいだろ! よく考えろ!!」
- 黒服
- 「総統閣下は単純な作戦にこそ力があるとお考えです」
事も無げに黒服が言った。
- 黒服
- 「……それとも、拒否なさいますか? 総統命令を」
黒服の差し出した作戦指令書には、間違いなく総統アドルフ・ヒトラーのサインがある。
- オスカー
- 「う……万難を排して任務に当たります……」
- 黒服
- 「ジークハイル」
- オスカー
- 「ジークハイル」
誇り高き独逸軍人として、任務は放棄できないオスカー少尉あった。
英国軍のレーダー施設のひとつ。
ダンケルクでの敗走以来、独逸軍の攻勢に向けて、レーダー網は24時間体制で、空の警戒に当たっていた。
- オペレーター1
- 「近々、大規模な空爆があるらしいな」
- オペレーター2
- 「心配いらん。奴らにドーバーは越えられない。ロイヤル・ネイビーが目を光らせている限りはな」
- オペレーター1
- 「空爆されたら圧倒的に不利だぞ?」
- オペレーター2
- 「数だけ多くたって同じだ。奴らの護衛機は航続距離が短い。護衛機のつかない爆撃機なんか……」
と、その時。
- ???
- 「ふはははははは!」
何処からともなく響き渡る高笑い。
- オペレーター1
- 「な、なんだ!?」
- オペレーター2
- 「うわ、どうやって入った!?」
二人が思わず振り返ると、事務机の上に直立不動な怪しい人影が。
- ???
- 「天知る地知る人が知る! 総統閣下は貴様らの浅知恵などお見通しだ!!」(びしぃ)
ペプシマンを真っ黒にして、武装SSの野戦服と制帽をつけさせたような格好だが、なにしろ当時はペプシマンがいない。
- オペレーター1
- 「…………」
- オペレーター2
- 「…………」
絶句する二人。
- キャプテンSS
- 「愛と正義とファシズムの男! キャプテンSS参上! 食らえSSパンチ! アンド、SSキーック!」
- SE
- ドカッ バキッ
胡散臭いが威力のあるパンチとキックを食らい、あっさり沈む二人。
- キャプテンSS
- 「ふっ。正義は勝つ」
制帽の鍔を直しつつ、しばらく余韻にひたったあと、レーダーの制御装置の前に向かうキャップ。
- キャプテンSS
- 「いくぞ! SS破壊工作!!」
- SE
- かちゃかちゃかちゃ……
掛け声が派手だった割には効果音が地味である。
キャップは、制御装置の操作パネルを開け、なにやら配線をいじっている。
- キャプテンSS
- 「流石は総統閣下。『操作パネルの配線を入れ替え、英国のレーダー網を混乱に陥れよ』とはなかなか思いつくものではない」(うんうん)
馬鹿馬鹿しいから誰も思いつかないだけだと思うが、キャップは丁寧に作業を済ませると、次のレーダー施設へと向かった。
ちょび髭の小男がうきうきと、落ち着かない様子で室内を行ったり来たりしている。
- SE
- ガチャ
- 太めの男
- 「ジークハイル!」
- ちょび髭
- 「待ちかねたぞ。それでどうだ、戦況は?」
- 太めの男
- 「……それが……爆撃機は敵のレーダー網に捕捉され、満足な効果を上げられません。護衛機も航続距離が……」
- ちょび髭
- 「馬鹿な! 余の奇策によって、レーダー網はズタズタのはずではないか!」
自分で奇策言うな。と思いつつ、太めの男が続ける。
- 太めの男
- 「それが……大変申し上げ難いことですが…………」
- ちょび髭
- 「なんだ?」
- 太めの男
- 「英国軍はボタンの表示を貼りかえて使用している模様です」
ちょび髭は驚きの表情を浮かべ、天を仰いだ。
- ちょび髭
- 「何たることだ! 奴ら常識というものがないのか!」
1940年6月下旬より始まる、いわゆるバトルオブブリテンでは、英国のレーダー網によって独逸空軍は完全に捕捉され、優勢な空軍力を生かせないまま敗退する破目となった。
1940年6月頃、第三帝国及び英国本土
歴史の裏側では、こういう陰謀が進行していたのですよ(大嘘)
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