最初の語り部サプリメント、星間民族紛争について書いてみました。
語り部が汎用ルールとなったのは、もともとプルートミア物語専用ルールで
あったものをSFものの設定で利用できないかと考えたからだったんです。そし
て、汎用化の最初の試みがこの星間民族紛争だったのです。
一時期休眠していましたが、昔のオンラインセッションからリプレイや小説
を起こすなどして再度サプリメント化を行なっています。
制作 :sf 協力 :しゅぺる少尉
いわゆる「大破滅」、地球環境の大激変をも生き延びた人類であったが、そ
の生き延びるすべとして開発された「地球知性化計画」の破綻によって地球を
離れざるをえなくなった。これが、のちに「大追放」と呼ばれることになる事
件の真相である。
「大追放」によって地球を追われた人類は民族ごとに植民船を建造、宇宙へ
と散っていった。「大追放」の原因が科学技術の暴走にあったと曲解されたた
め、人類は科学技術を最大の敵、嫌悪すべき汚点と考えるようになっていた。
また、もともとは長い旅の安全策としてこうじられた「民族意識強化計画」
がさらなる不幸をまねいた。人類の居住に適した惑星が予想以上に多数存在し
たために居住星系の間隔が狭くなり、民族意識の解体が行われる以前に民族間
の接触が起こることとなってしまったのだ。そして、民族ごとに国家が分立し
憎しみ合う世界が誕生した。
そしてもうひとつ。科学技術を否定した人々が宇宙に乗り出せたのにも、居
住可能惑星が異常に多かったのにも理由があった。人類の植民領域には、俗に
「遺産」と称される先行科学文明遺跡が存在したのである。しかも、生産・管
理機能が生きたままの遺跡が。そこには完全に動作する宇宙船を始めとした、
各種の高度技術製品が存在し、しかもアルファベットや漢字が記されたものさ
えあった。「遺産」は、現在の人類にとって最大の謎となっている。
「遺産」が無ければ、民族ごとの社会が分化して再統合された後で宇宙に進
出するという過去に地球であったのと同じ過程をたどって、これほどまでには
紛争をおこさないで済んだのだろうが……。
残念ながらこれらの成り行きを知るものは、大追放のもともとの原因を作っ
ことと、現在でも科学技術を多用しているために、孤立し迫害されている日本
人のほかには、ほんの一握りの人間でしかない。
そして、今も宇宙は戦争と不幸に満たされたままなのである。
歴史解説と重複する部分もありますが、 以前書いたFAQから再編集してみま
した。
星間民族紛争という呼び名の通り、宇宙に植民した民族国家が互いに延々と
抗争を繰り広げている宇宙が舞台です。
人類は20世紀末の大規模な環境の激変などで、いったんは文明が崩壊寸前に
なりました。幸い人々の努力と幾つかの再生プロジェクト(隕石により国家そ
のものは消滅してしまったアメリカ合衆国による「ファウンデーション計画」
など)の甲斐あって何とか復興、新技術の助けを借りて地球規模の政府を構築
しようとしていました。(ここまでは「人類の黄昏」という世界の設定です)
しかし、復興した人類を支える技術のかなめが、人類を地球から追放します。
のちに「大追放」と呼ばれる事件です。この事件の実際の中身については、星
紛の時代には極一部の人間にしか伝わっていませんが、大追放が「科学技術」
がうみだしたものに原因があることは、人々の深層心理にまで焼き付けられて
います。(実際には大追放時にある目的で「焼き付けられた」ものなのですが)
このために、星紛世界では科学技術を扱おうなどと考える者は蔑まれ、排斥さ
れるばかりか、簡単に命を奪われかねないほどに「人類の敵」扱いされている
のです。魔女狩り状態というわけですね。
大追放の際に地球を脱出した宇宙船は、民族ごとに分けられていました。こ
れは世代間宇宙船の社会の安定性を増大させるための方策であり、同時に民族
意識の意図的な強化も行われました。この民族意識の強化こそが、のちの大規
模抗争を発生させる原因となったのです。
これは、公開の計画者達の予想をはるかに越える居住可能惑星が存在した事
から発生した問題でした。予定では十分な間隔をおいて植民して、民族意識が
薄れてから十分経ってから、ようやく他の植民者と接触することが可能になる
程度の密度であると考えられていたのです。
この予想を覆した最大の要因が、「遺産」です。人類に先行して存在し、人
類と同様な姿を持ち、優れた技術により各地の惑星を居住可能に改造した種族
の残した遺跡。航行可能な宇宙船や、単一タイプの製品を自動的に生産し続け
る自動生産装置……。これらが、いったんは科学技術を捨て去った人々が宇宙
へ飛び出す事を可能にしたのです。
こうして誕生した歪んだ宇宙国家。多くの場合ニュートン力学さえ理解して
いないものたちが操る超光速船。科学抹殺を誓う超能力教団などが、星紛の世
界でうごめいているのです。