エピソード1『じょしこうせい』


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エピソード1『じょしこうせい』


       『ベーカリー楠・アルバイト募集中要項』
          勤務時間 1. 8:30〜12:30
               2.13:00〜17:00
               3.17:00〜19:00

           給与は時間給です。
                高校生	:600
                大学以上:680
     	         昇1.賞2.
      	        交通費全額支給
 	   	  まずは電話にて確認を。委細面談。


 ぴぽぽぱぴぽぱぴぴぽ
 とぅるるるるるるるる、とぅるるるるるるるる、がちゃ

素子
「あ、すいませーん。アルバイト募集の広告見て、お電話 したんですけど……」
観楠
「ジョシコウセイ……(思わず照れ笑い)」
かなみ
「父様?」
観楠
「うをわっ!? か、かなみちゃん……(大焦)」
「なにへらへら笑てんねん?」
観楠
「朝まで……(何故、お前がいる!?) とにかく、俺はこ れから面接があるから、2人とも顔出さないよーに!(焦)」
「……女子高生がくるんやな」
観楠
「な……!?」
かなみ
「朝兄さま、ジョシコウセイって、誰なの?」
「それはやな、(小声で耳打ち)」
かなみ
「(赤面)……父様なんて大っ嫌い!!」
観楠
「な、なぜ?(目の幅涙)」

数日後……パン屋の前の素子。

素子
「ここ、だよね。うん、ここだ。それじゃあ……あー、緊 張しちゃう。あ、うーん、気を落ち着けて……ふぅー……すぅー……(深呼吸中) あーん、こういうの私苦手なのよぉ。……よしっ(拳を握る)」

キィ……(ドアを開ける……)

素子
「すいません。アルバイト募集の広告見てお電話した、浅 井と申しますが……」
かなみ
「あっ! 朝兄さま、ずるーい!」
「なに言うてんねん、これが作戦や」
かなみ
「あたし子供なのにぃ」
「勝負に子供も大人も……あ、観楠! 女子高生の子、来 たで!」
かなみ
「……(観楠をにらみつける)」
「……(笑いをこらえている)」
観楠
「え、あぁ? はいはい(焦) お待ちしておりました、私 が当店店長の湊川です(営業スマイル)。どうぞこちら へ……」

喫茶テーブルへ。
 隣のテーブルには……朝は興味津々、かなみが腹をたてて、様子をうかがっていた。

素子
「あのぉ〜こちらのの方たちは……」
観楠
「え?(うをわぁっ!) え、え〜とですね……(汗)」
「(大真面目) ココの従業員と……」
かなみ
「父様の娘で、湊川かなみと言います。どうぞよろしく
ムスっ)」
観楠
「い、いや……あのですね……(大焦) ち、ちょっとすいま せん……」

観楠、朝たちを連れて物陰へ

観楠
「朝っ……お前ってヤツはぁ!」
「まぁええやんか。それより、かなみちゃんエライ怒って んで(笑)」
観楠
「怒らせたのはお前だろーが! ……かなみちゃん、あの ね?」
かなみ
「父様っ!!」
観楠
「はいっ(直立不動)」
かなみ
「あのヒトに@@@@なコトや?? なこと、さらに☆ ☆☆☆で※※※※なコトするって、ホントなのっ!?」
観楠
「(爆発)……か、かなみちゃん……朝っ! お前一体なに をふきこんだぁ!(血の涙)」
かなみ
「父様っ! かなみに言えないことなのっ!?」
観楠
「あ、あとでちゃんと説明するからね(汗) 今はちょっと 静かにしといてね(汗)」

待つ少女、素子。

素子
(……娘さんが居るのよね。ってことは結婚してるよね、 やっぱ。ん? 店長さんって何歳かしら。まだ20代前半よね、たぶん。……でもかなみちゃんは5歳ぐらいよねえ。じゃ、16、7の時の子? そんなわけ……不可能じゃない わね。昔見たきんぱち先生かなんかでもあったもんねぇ。じゃ奥さんはどこにいるのかしら? 共働きなのかしら? それとも……離婚? それってありがちじゃない? 若い頃の過ちで子供が出来ちゃって、結婚して結局別れるってやつ? じゃあなんで店長が育ててるのかしら? 奥さんはかなみちゃんと離れて暮らす方がよかったのかしら? それともかなみちゃんが……)

いそいそと戻ってくる観楠。かなみと朝は再び隣のテーブルに戻り、面接の様子をうかがっている。

観楠
「……えーと、学生さん……ですよね。え? 履歴書?  そんなモノは必要ないですよ(笑) うちは『契約書にサイン』だけですから……」
「『契約書?』何のや、何の!(笑)」
観楠
「当然、『雇用契約書』に決まってっだろーが!」
素子
「(ひきっ)」
観楠
「あぁぁぁ(焦) すいませんっ! ちょっとした発作でし て……ははは(乾いた笑い)」
素子
「あの、ハンコとか親の同意書もいらないんですか?」
観楠
「(しまった!) ハンコはいりませんが、同意書の方は必 要ですね……(そーだよ、未成年なんだし)」
観楠
「さてと。仕事内容なんですけど、(3番だから)……『バッ クヤードの清掃・店内整理』をお願いしたいんですが、よろしいですか?」
素子
「清掃ですか……まあ、善処します(微苦笑) 店内整理は トレイなんかの整理の事ですよね。それなら大丈夫です、たぶん」
観楠
「とりあえずは、ベーカリーの裏側をみていただくコトに してますんで(笑) 後々、接客の方もお願いするかも知れませんが」
「なぁ、店にでて接客やってもらったほうがええんとちゃ う? むさ苦しいおっさんが応対するよりはずっと花がある」

遠くから茶々をいれてしまう朝だった。

観楠
「誰が『むさ苦しいおっさん』やねん! 外野は黙っ  てぇ!」
素子
「(ひききっ! ……大丈夫かしらこの人……)」
観楠
「……えっと、給与についてなんですが、『高校生は時給 ¥600』となってます。時間外の勤務……つまり残業時は 『半時間毎に¥600』となります。昇給は一年に一回、賞 与……ボーナスですね。コレは夏・冬の二回あります。さて、ココまでなにか質問はありますか?」
素子
「いえ、特に……」
観楠
「じゃあ一応、契約書を渡しておきますね。これでご両親 の了解をもらってください」

といって観楠は契約書を取りに席を立つ。
 そのとき、なにか視線を感じる素子だった。そばにかなみがやってきていた。

素子
「……?」
かなみ
(にらんでいる)
素子
(にこっ)(あいそ笑い)
かなみ
(にらんでいる)
素子
「(目線を落として) お嬢ちゃん、かわいいね。お名前 は?」
かなみ
(観楠の後ろに隠れる)
素子
「娘さんですか、店長さんの。かわいらしいですね、嫌わ れちゃったみたいですけど(微苦笑)」
観楠
「娘というか何というか……(苦笑)」
「娘やろ」
観楠
「頼むから、一般人を巻き込むのはやめてネ、お願い  やぁ〜(泣)」
三彦
「店長、さっきからおれらず〜っと話し聞いてるんやけ ど……ほんまにこの子、店長の子なん?」
朝&かなみ
「うん」
観楠
「い、いや違う、本当に違うって」
三彦
「目の見えない私がそんな事するでしょうか (観楠&か なみ以外一同爆笑)」
観楠
「ち〜がう!! 違うって!」
三彦
「わ〜た〜し〜は〜やって〜な〜い〜(さらに爆笑)」
素子
「……(状況解析不能)」
かなみ
「……違うの? お父様?」(じーーっっ……)
観楠
「え……い、や、その、ねぇ……」
三彦
「(刑事ドラマ風) さっさとはいて楽になんな(爆笑)」
「ほら、カツ丼だ(爆笑)」
観楠
「いや、本当にちが……!」
かなみ
(じーっ)
観楠
「ちが……ぅ……」
文雄
「しかし、考えて見ても、やっぱり……そうだよなぁ」
三彦
「うん、そうとしか……」
「そうそう」
かなみ
「考えなくても、そうなのっ!」
観楠
「ああ! もうみんな邪魔するなっ! 面接させてく  れぇ!」

かなみ、素子に近寄って行く。

かなみ
「……お姉ちゃん」
素子
「ん、なに? かなみちゃん」
かなみ
「聞きたい事があるの」
素子
「なに? なんでも答えてあげるよ」
かなみ
「父様と♂♀♂♀なコトや→←↑↓で◇◆◇◆なコトしちゃ うのっ!?」
素子
「にゃっ!?(顔面トマト状態)」
三彦
「(立ち上がる) なにぃ!? 店長っ……!!」
「ク、クルシイ……ナントカシテ……(大ウケ)」
かなみ
「どうなのっ!? お姉ちゃん、父様っ!?」
素子
「え、え? ええぇっと……(さらに赤面)」
観楠
「……かなみ、いい加減にしなさい」
かなみ
「だって、だって!! ……ひっく……」
観楠
「(溜息)……朝」
「? あ、あぁ?」
観楠
「かなみを、頼む……(シリアス)」
「あ、うん……(やりすぎたか?)なぁ、観……」
観楠
「(ギロリッ)」
「……すまん(……しかしやはり父親!(笑))。いこ、かな み」
かなみ
「ひっく……ぐすっ……」

朝とかなみ奥へ

観楠
「(吐息)どうもお見苦しいところを……すみません」
素子
「あ、いえあの……私、嫌われちゃいました?」
観楠
「いえ、そんなことは……多分ヤキモチでしょう。きっと あなたが私をとってしまう、と思ったみたいですね」
三彦
「それはないよなぁ!(きっぱり)」
美樹
「僕も……そう思う」
文雄
「……彼はなかなか自信過剰なところがあるようだな」
「“観楠があなたを食ってしまう”というのは十分あり得 る」

言うだけ言って奥に引っ込んでしまう朝。

観楠
「俺のコノ手が真っ赤に燃えるゾ、こら!(……既に古い な) それとも、新調したガスガンの試射台にされたい  かっ!!(怒)」
観楠
「(もぅ……うるせーよ周りがよぉ……) さて、と(営業 スマイル) 先程お話しさせていただいた内容でよろしけ れば、明日からでもお願いしたいんですが……丁度『月初め』ですしね。あ、『月初め』ってゆーのは、給与計算上の話ですんで……ウチは16日始まりの翌月15日締めですから。振り込みは20日です。あ、あと……ロッカーと、制服は用意しときますんで……」
素子
「はい、解りました。じゃ明日から来ますね。それと…… かなみちゃんって好きな物なにかあります?」
観楠
「は?」
素子
「理由はどうあれ泣かしちゃったみたいですから……ごめ んなさいと一緒に……それにやっぱり仲良くなりたいですから。(てへっ) あ、物で釣ろうとかそういうんじゃないですからね」
観楠
「(なんて優しい子なんだっ! じぃぃぃぃぃぃぃん)  あぁ、いえ。悪いのは朝……かなみと一緒にいたあいつですんで……まぁ気になさらないで下さい(笑)」

と、その時、店の扉が開く(カラ、カラン)。
 現れたのは、年の頃20を過ぎたかどうかという感じの男。
 長身痩躯で、吹けば倒れてしまうような「もやし」な感じ。
 少し猫背な格好は、まるでそうしないとどこかに頭をぶつけてしまうと、常に警戒しているようにも見える。
 おまけに着ている服なんかは皺くちゃで、だらしないったらありゃしない。
 小脇には、スケッチブックなどお絵描き道具を抱えているなど、怪しさ爆発、無限大。
 傍目など気にしないであろうところなど、質が悪そうだった。
 おまけに……
 男は入ってくるなり、お気楽な調子で意味不明なことを口走った。

大輔
「まいど〜(お気楽に(^^;) いやぁ、今朝から文ちゃん
文雄)がつかまらないんだけど、こっちに来てますか ねぇ……って、なんで浅井ちゃんがいるんだわ!?(動揺)」
観楠
「では、明日からよろしくお願いいたします。あ、と…… お連れさんが来られたみたいなので、私はコレで……どうぞ、ごゆっくり」

観楠、席を外す。

観楠
「かなみちゃんの好きなモノかぁ……そういえば、あの子 はなにが好きなんだっけ? って……俺が知るわけ、ナイ、か(吐息) さてと、もう一仕事、頑張るかぁ!」
素子
「あ、師匠。一人でお茶ですかぁ(他意は無い(^^;)」
大輔
「いやぁ。なんて言うか、うちの文ちゃん捜してここに寄っ てみたんで、お茶は……してこうかなぁ。(^^;あ奴めも見つからんしなぁ……」
大輔
「で、なんでまたここへ?」
素子
「バイトの面接に来たんです。もう終わりましたけど」
大輔
「あっ、ここでバイトするの? え、バイト雑誌かなんか 見て、決めたんかいな……?」
素子
「いえ、はってあった張り紙を見て……あ、今度うちの会 誌に描いて下さいよぉ。師匠が描いてくれたらそれだけで売り上げがのびますから(笑)」
大輔
「それは褒めすぎ、おだてすぎ。(^^; でも、嬉しいから 何か描かせてもらおかな。(^^;」
素子
「さあ、明日からはったらくぞぉ。そしたらサターン買っ てコピックの512色セット買ってペンタマシンにLDプレーヤーにビデオもう一台にそれからそれから……」
大輔
「……おいおい。(^^; 気持ちは分かるけど、何年ここで 働くつもりなんかいな(^^; ……って独り暮らしの時、生活きりつめてパソコン買って、ビデオ買って、LDまで買ったんだけどね、私も」
素子
「(不意に) あ、師匠。高村さんならそこに居ますよ」

と言われて振り向くと、パンを口一杯に頬張っている彼の姿が。(^^;

文雄
「やほ。あいかわらずタイミングが悪いのう、大ちゃんや。 んで、何の用だね」

片手にレーズン入り食パン一斤をつかんだまま、手を振ってみせる。食パンはどうやら第一夕飯(家に帰ってまた夕飯を食べるので第一夕飯なのだ)であるらしい。

大輔
「……ああ、ここにいたのな。書店に行ったかとも思った んで、近辺すべて回ってみたんだが」

と、それなりに慌てた感じで、文ちゃんの方に近づいてくと。

大輔
「いやぁ毎度のことで悪いんだが……徹夜が続くと、どう もハイになるみたいで、いつもの悪いクセが……な?(`^;それにしてもよく食べるのな、君って人は(^^; いったい何斤目だ、それで?」



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