『ベーカリー楠・アルバイト募集中要項』
勤務時間 1. 8:30〜12:30
2.13:00〜17:00
3.17:00〜19:00
給与は時間給です。
高校生 :600
大学以上:680
昇1.賞2.
交通費全額支給
まずは電話にて確認を。委細面談。
ぴぽぽぱぴぽぱぴぴぽ
とぅるるるるるるるる、とぅるるるるるるるる、がちゃ
- 素子
- 「あ、すいませーん。アルバイト募集の広告見て、お電話
したんですけど……」
- 観楠
- 「ジョシコウセイ……(思わず照れ笑い)」
- かなみ
- 「父様?」
- 観楠
- 「うをわっ!? か、かなみちゃん……(大焦)」
- 朝
- 「なにへらへら笑てんねん?」
- 観楠
- 「朝まで……(何故、お前がいる!?) とにかく、俺はこ
れから面接があるから、2人とも顔出さないよーに!(焦)」
- 朝
- 「……女子高生がくるんやな」
- 観楠
- 「な……!?」
- かなみ
- 「朝兄さま、ジョシコウセイって、誰なの?」
- 朝
- 「それはやな、(小声で耳打ち)」
- かなみ
- 「(赤面)……父様なんて大っ嫌い!!」
- 観楠
- 「な、なぜ?(目の幅涙)」
数日後……パン屋の前の素子。
- 素子
- 「ここ、だよね。うん、ここだ。それじゃあ……あー、緊
張しちゃう。あ、うーん、気を落ち着けて……ふぅー……すぅー……(深呼吸中) あーん、こういうの私苦手なのよぉ。……よしっ(拳を握る)」
キィ……(ドアを開ける……)
- 素子
- 「すいません。アルバイト募集の広告見てお電話した、浅
井と申しますが……」
- かなみ
- 「あっ! 朝兄さま、ずるーい!」
- 朝
- 「なに言うてんねん、これが作戦や」
- かなみ
- 「あたし子供なのにぃ」
- 朝
- 「勝負に子供も大人も……あ、観楠! 女子高生の子、来
たで!」
- かなみ
- 「……(観楠をにらみつける)」
- 朝
- 「……(笑いをこらえている)」
- 観楠
- 「え、あぁ? はいはい(焦) お待ちしておりました、私
が当店店長の湊川です(営業スマイル)。どうぞこちら へ……」
喫茶テーブルへ。
隣のテーブルには……朝は興味津々、かなみが腹をたてて、様子をうかがっていた。
- 素子
- 「あのぉ〜こちらのの方たちは……」
- 観楠
- 「え?(うをわぁっ!) え、え〜とですね……(汗)」
- 朝
- 「(大真面目) ココの従業員と……」
- かなみ
- 「父様の娘で、湊川かなみと言います。どうぞよろしく
ムスっ)」
- 観楠
- 「い、いや……あのですね……(大焦) ち、ちょっとすいま
せん……」
観楠、朝たちを連れて物陰へ
- 観楠
- 「朝っ……お前ってヤツはぁ!」
- 朝
- 「まぁええやんか。それより、かなみちゃんエライ怒って
んで(笑)」
- 観楠
- 「怒らせたのはお前だろーが! ……かなみちゃん、あの
ね?」
- かなみ
- 「父様っ!!」
- 観楠
- 「はいっ(直立不動)」
- かなみ
- 「あのヒトに@@@@なコトや?? なこと、さらに☆
☆☆☆で※※※※なコトするって、ホントなのっ!?」
- 観楠
- 「(爆発)……か、かなみちゃん……朝っ! お前一体なに
をふきこんだぁ!(血の涙)」
- かなみ
- 「父様っ! かなみに言えないことなのっ!?」
- 観楠
- 「あ、あとでちゃんと説明するからね(汗) 今はちょっと
静かにしといてね(汗)」
待つ少女、素子。
- 素子
- (……娘さんが居るのよね。ってことは結婚してるよね、
やっぱ。ん? 店長さんって何歳かしら。まだ20代前半よね、たぶん。……でもかなみちゃんは5歳ぐらいよねえ。じゃ、16、7の時の子? そんなわけ……不可能じゃない わね。昔見たきんぱち先生かなんかでもあったもんねぇ。じゃ奥さんはどこにいるのかしら? 共働きなのかしら? それとも……離婚? それってありがちじゃない? 若い頃の過ちで子供が出来ちゃって、結婚して結局別れるってやつ? じゃあなんで店長が育ててるのかしら? 奥さんはかなみちゃんと離れて暮らす方がよかったのかしら? それともかなみちゃんが……)
いそいそと戻ってくる観楠。かなみと朝は再び隣のテーブルに戻り、面接の様子をうかがっている。
- 観楠
- 「……えーと、学生さん……ですよね。え? 履歴書?
そんなモノは必要ないですよ(笑) うちは『契約書にサイン』だけですから……」
- 朝
- 「『契約書?』何のや、何の!(笑)」
- 観楠
- 「当然、『雇用契約書』に決まってっだろーが!」
- 素子
- 「(ひきっ)」
- 観楠
- 「あぁぁぁ(焦) すいませんっ! ちょっとした発作でし
て……ははは(乾いた笑い)」
- 素子
- 「あの、ハンコとか親の同意書もいらないんですか?」
- 観楠
- 「(しまった!) ハンコはいりませんが、同意書の方は必
要ですね……(そーだよ、未成年なんだし)」
- 観楠
- 「さてと。仕事内容なんですけど、(3番だから)……『バッ
クヤードの清掃・店内整理』をお願いしたいんですが、よろしいですか?」
- 素子
- 「清掃ですか……まあ、善処します(微苦笑) 店内整理は
トレイなんかの整理の事ですよね。それなら大丈夫です、たぶん」
- 観楠
- 「とりあえずは、ベーカリーの裏側をみていただくコトに
してますんで(笑) 後々、接客の方もお願いするかも知れませんが」
- 朝
- 「なぁ、店にでて接客やってもらったほうがええんとちゃ
う? むさ苦しいおっさんが応対するよりはずっと花がある」
遠くから茶々をいれてしまう朝だった。
- 観楠
- 「誰が『むさ苦しいおっさん』やねん! 外野は黙っ
てぇ!」
- 素子
- 「(ひききっ! ……大丈夫かしらこの人……)」
- 観楠
- 「……えっと、給与についてなんですが、『高校生は時給
¥600』となってます。時間外の勤務……つまり残業時は 『半時間毎に¥600』となります。昇給は一年に一回、賞 与……ボーナスですね。コレは夏・冬の二回あります。さて、ココまでなにか質問はありますか?」
- 素子
- 「いえ、特に……」
- 観楠
- 「じゃあ一応、契約書を渡しておきますね。これでご両親
の了解をもらってください」
といって観楠は契約書を取りに席を立つ。
そのとき、なにか視線を感じる素子だった。そばにかなみがやってきていた。
- 素子
- 「……?」
- かなみ
- (にらんでいる)
- 素子
- (にこっ)(あいそ笑い)
- かなみ
- (にらんでいる)
- 素子
- 「(目線を落として) お嬢ちゃん、かわいいね。お名前
は?」
- かなみ
- (観楠の後ろに隠れる)
- 素子
- 「娘さんですか、店長さんの。かわいらしいですね、嫌わ
れちゃったみたいですけど(微苦笑)」
- 観楠
- 「娘というか何というか……(苦笑)」
- 朝
- 「娘やろ」
- 観楠
- 「頼むから、一般人を巻き込むのはやめてネ、お願い
やぁ〜(泣)」
- 三彦
- 「店長、さっきからおれらず〜っと話し聞いてるんやけ
ど……ほんまにこの子、店長の子なん?」
- 朝&かなみ
- 「うん」
- 観楠
- 「い、いや違う、本当に違うって」
- 三彦
- 「目の見えない私がそんな事するでしょうか (観楠&か
なみ以外一同爆笑)」
- 観楠
- 「ち〜がう!! 違うって!」
- 三彦
- 「わ〜た〜し〜は〜やって〜な〜い〜(さらに爆笑)」
- 素子
- 「……(状況解析不能)」
- かなみ
- 「……違うの? お父様?」(じーーっっ……)
- 観楠
- 「え……い、や、その、ねぇ……」
- 三彦
- 「(刑事ドラマ風) さっさとはいて楽になんな(爆笑)」
- 朝
- 「ほら、カツ丼だ(爆笑)」
- 観楠
- 「いや、本当にちが……!」
- かなみ
- (じーっ)
- 観楠
- 「ちが……ぅ……」
- 文雄
- 「しかし、考えて見ても、やっぱり……そうだよなぁ」
- 三彦
- 「うん、そうとしか……」
- 朝
- 「そうそう」
- かなみ
- 「考えなくても、そうなのっ!」
- 観楠
- 「ああ! もうみんな邪魔するなっ! 面接させてく
れぇ!」
かなみ、素子に近寄って行く。
- かなみ
- 「……お姉ちゃん」
- 素子
- 「ん、なに? かなみちゃん」
- かなみ
- 「聞きたい事があるの」
- 素子
- 「なに? なんでも答えてあげるよ」
- かなみ
- 「父様と♂♀♂♀なコトや→←↑↓で◇◆◇◆なコトしちゃ
うのっ!?」
- 素子
- 「にゃっ!?(顔面トマト状態)」
- 三彦
- 「(立ち上がる) なにぃ!? 店長っ……!!」
- 朝
- 「ク、クルシイ……ナントカシテ……(大ウケ)」
- かなみ
- 「どうなのっ!? お姉ちゃん、父様っ!?」
- 素子
- 「え、え? ええぇっと……(さらに赤面)」
- 観楠
- 「……かなみ、いい加減にしなさい」
- かなみ
- 「だって、だって!! ……ひっく……」
- 観楠
- 「(溜息)……朝」
- 朝
- 「? あ、あぁ?」
- 観楠
- 「かなみを、頼む……(シリアス)」
- 朝
- 「あ、うん……(やりすぎたか?)なぁ、観……」
- 観楠
- 「(ギロリッ)」
- 朝
- 「……すまん(……しかしやはり父親!(笑))。いこ、かな
み」
- かなみ
- 「ひっく……ぐすっ……」
朝とかなみ奥へ
- 観楠
- 「(吐息)どうもお見苦しいところを……すみません」
- 素子
- 「あ、いえあの……私、嫌われちゃいました?」
- 観楠
- 「いえ、そんなことは……多分ヤキモチでしょう。きっと
あなたが私をとってしまう、と思ったみたいですね」
- 三彦
- 「それはないよなぁ!(きっぱり)」
- 美樹
- 「僕も……そう思う」
- 文雄
- 「……彼はなかなか自信過剰なところがあるようだな」
- 朝
- 「“観楠があなたを食ってしまう”というのは十分あり得
る」
言うだけ言って奥に引っ込んでしまう朝。
- 観楠
- 「俺のコノ手が真っ赤に燃えるゾ、こら!(……既に古い
な) それとも、新調したガスガンの試射台にされたい かっ!!(怒)」
- 観楠
- 「(もぅ……うるせーよ周りがよぉ……) さて、と(営業
スマイル) 先程お話しさせていただいた内容でよろしけ れば、明日からでもお願いしたいんですが……丁度『月初め』ですしね。あ、『月初め』ってゆーのは、給与計算上の話ですんで……ウチは16日始まりの翌月15日締めですから。振り込みは20日です。あ、あと……ロッカーと、制服は用意しときますんで……」
- 素子
- 「はい、解りました。じゃ明日から来ますね。それと……
かなみちゃんって好きな物なにかあります?」
- 観楠
- 「は?」
- 素子
- 「理由はどうあれ泣かしちゃったみたいですから……ごめ
んなさいと一緒に……それにやっぱり仲良くなりたいですから。(てへっ) あ、物で釣ろうとかそういうんじゃないですからね」
- 観楠
- 「(なんて優しい子なんだっ! じぃぃぃぃぃぃぃん)
あぁ、いえ。悪いのは朝……かなみと一緒にいたあいつですんで……まぁ気になさらないで下さい(笑)」
と、その時、店の扉が開く(カラ、カラン)。
現れたのは、年の頃20を過ぎたかどうかという感じの男。
長身痩躯で、吹けば倒れてしまうような「もやし」な感じ。
少し猫背な格好は、まるでそうしないとどこかに頭をぶつけてしまうと、常に警戒しているようにも見える。
おまけに着ている服なんかは皺くちゃで、だらしないったらありゃしない。
小脇には、スケッチブックなどお絵描き道具を抱えているなど、怪しさ爆発、無限大。
傍目など気にしないであろうところなど、質が悪そうだった。
おまけに……
男は入ってくるなり、お気楽な調子で意味不明なことを口走った。
- 大輔
- 「まいど〜(お気楽に(^^;) いやぁ、今朝から文ちゃん
文雄)がつかまらないんだけど、こっちに来てますか ねぇ……って、なんで浅井ちゃんがいるんだわ!?(動揺)」
- 観楠
- 「では、明日からよろしくお願いいたします。あ、と……
お連れさんが来られたみたいなので、私はコレで……どうぞ、ごゆっくり」
観楠、席を外す。
- 観楠
- 「かなみちゃんの好きなモノかぁ……そういえば、あの子
はなにが好きなんだっけ? って……俺が知るわけ、ナイ、か(吐息) さてと、もう一仕事、頑張るかぁ!」
- 素子
- 「あ、師匠。一人でお茶ですかぁ(他意は無い(^^;)」
- 大輔
- 「いやぁ。なんて言うか、うちの文ちゃん捜してここに寄っ
てみたんで、お茶は……してこうかなぁ。(^^;あ奴めも見つからんしなぁ……」
- 大輔
- 「で、なんでまたここへ?」
- 素子
- 「バイトの面接に来たんです。もう終わりましたけど」
- 大輔
- 「あっ、ここでバイトするの? え、バイト雑誌かなんか
見て、決めたんかいな……?」
- 素子
- 「いえ、はってあった張り紙を見て……あ、今度うちの会
誌に描いて下さいよぉ。師匠が描いてくれたらそれだけで売り上げがのびますから(笑)」
- 大輔
- 「それは褒めすぎ、おだてすぎ。(^^; でも、嬉しいから
何か描かせてもらおかな。(^^;」
- 素子
- 「さあ、明日からはったらくぞぉ。そしたらサターン買っ
てコピックの512色セット買ってペンタマシンにLDプレーヤーにビデオもう一台にそれからそれから……」
- 大輔
- 「……おいおい。(^^; 気持ちは分かるけど、何年ここで
働くつもりなんかいな(^^; ……って独り暮らしの時、生活きりつめてパソコン買って、ビデオ買って、LDまで買ったんだけどね、私も」
- 素子
- 「(不意に) あ、師匠。高村さんならそこに居ますよ」
と言われて振り向くと、パンを口一杯に頬張っている彼の姿が。(^^;
- 文雄
- 「やほ。あいかわらずタイミングが悪いのう、大ちゃんや。
んで、何の用だね」
片手にレーズン入り食パン一斤をつかんだまま、手を振ってみせる。食パンはどうやら第一夕飯(家に帰ってまた夕飯を食べるので第一夕飯なのだ)であるらしい。
- 大輔
- 「……ああ、ここにいたのな。書店に行ったかとも思った
んで、近辺すべて回ってみたんだが」
と、それなりに慌てた感じで、文ちゃんの方に近づいてくと。
- 大輔
- 「いやぁ毎度のことで悪いんだが……徹夜が続くと、どう
もハイになるみたいで、いつもの悪いクセが……な?(`^;それにしてもよく食べるのな、君って人は(^^; いったい何斤目だ、それで?」
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