閑散としている店内で、観楠と三彦が「銃」の話に花を咲かせていた。
カランカラン……扉が開こうとした……
その時ちょうど、店に来ていた三彦君が、店長と一緒に射撃の腕を競う為入り口のドアにはられた(そんなばかな)ターゲットに向かってまさにトリガーをしぼろうとしていた。
咄嗟の事だった。静止に失敗、バネはリリースされて、高圧の空気が射撃競技用の0.39g弾を押し出していた。
その時、眼前に信じられない光景が……
高村の手にはいつのまにか一枚のルーズリーフが握られていた。
よく見るとそこには弾丸の絵が書いてあるようにみえる。
ルーズリーフの説明を読みあげていた。
どうやら三彦の撃った弾丸は、ルーズリーフに封じ込められてしまったらしい。資料術師の通称は伊達ではないということだろう。
文雄はそう呟くと、手にしたルーズリーフを、鞄の中のバインダーファイルに手早く挟み込んだ。
「返してほしいなぁ」という三彦の視線を無視し、席につく。
文雄は思った。「当然、返してほしいのだろう」と。
しかし、彼はしない。
いや、正直に言えば「できない」のだ。
彼の悩みは、集めすぎた資料を「有効活用」できるまでには能力を授からなかったということだ。
……資料を「集める」ことは可能でも、それらを「活用できる」段階にはまだ達していないのだ。(^^;
彼は、山のような資料に囲まれた自分の部屋で、毎晩のように呟き嘆く。