エピソード2『これが日常』


目次


エピソード2『これが日常』

閑散としている店内で、観楠と三彦が「銃」の話に花を咲かせていた。

三彦 
「ああ、最近思い切り撃ってない!」
観楠 
「まあまあ(笑) 押さえて押さえて……」

カランカラン……扉が開こうとした……
 その時ちょうど、店に来ていた三彦君が、店長と一緒に射撃の腕を競う為入り口のドアにはられた(そんなばかな)ターゲットに向かってまさにトリガーをしぼろうとしていた。

三彦 
「うぉ、危ない! (既に十分危ないが)」

咄嗟の事だった。静止に失敗、バネはリリースされて、高圧の空気が射撃競技用の0.39g弾を押し出していた。

観楠 
「うわぁぁぁぁ(ナンて事いう暇はあるのか?)」

その時、眼前に信じられない光景が……

文雄 
「まぁたく、何をやっておるのかね。あぶないじゃないか」

高村の手にはいつのまにか一枚のルーズリーフが握られていた。
 よく見るとそこには弾丸の絵が書いてあるようにみえる。

文雄 
「射撃競技用弾丸。0.39g、かね」

ルーズリーフの説明を読みあげていた。
 どうやら三彦の撃った弾丸は、ルーズリーフに封じ込められてしまったらしい。資料術師の通称は伊達ではないということだろう。

文雄 
「とりあえず、これは預かっておこう」

文雄はそう呟くと、手にしたルーズリーフを、鞄の中のバインダーファイルに手早く挟み込んだ。
  「返してほしいなぁ」という三彦の視線を無視し、席につく。
  文雄は思った。「当然、返してほしいのだろう」と。
  しかし、彼はしない。
  いや、正直に言えば「できない」のだ。
  彼の悩みは、集めすぎた資料を「有効活用」できるまでには能力を授からなかったということだ。
  ……資料を「集める」ことは可能でも、それらを「活用できる」段階にはまだ達していないのだ。(^^;
  彼は、山のような資料に囲まれた自分の部屋で、毎晩のように呟き嘆く。

文雄 
「この資料、いつか整理しなおしてやるぞ」 と。(^^;
$$



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部