エピソード8『火元は狭淵美樹……』


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エピソード8『火元は狭淵美樹……』

朝が観楠をいぢめている。
  唐突に美樹が入ってくる。

美樹 
「あれ? 店長に朝さんだけ? かなみちゃんいないんです か? せっかくいい本見つけたから買ってきたげたのに。ま、いいや。お父さんに預けておきますよ。かなみちゃんに、読ませたげて下さい。あ、そうだ、店長にもいい本買ってきたんですよ。はい、児童心理学の入門書。これは貸すだけですからね。あとで返して下さい。ほんじゃ、わたしは、今日は忙しいので、この辺で、ではでは」

美樹、紙袋一杯の本をカウンター上にホイとおいて、
  来た時同様唐突に去る。

朝  
「今日はコーヒー飲んでいかんかったな……ほんまにこの 店は常連がおらんとほんまに暇やなぁ……ってきいてる?」

観楠は複雑な顔をしつつも、美樹の持ってきた「児童心理学概論」の表紙を見つめ、最初のページを開こうとしていた……

観楠 
「……え? あ?(汗)」
朝  
「見られたらあかんとこを見られたようやな(笑)」
観楠 
「いや、あのその……なんだ(瀑布の如き汗) う、うわは ははは!」
朝 
「ははははは! って笑いはえーから。そーか、やっぱり、 認めるんやな。でもお前、子供キライとちゃうかったか?」
観楠 
「あの子は……別(笑) まぁ、なんだ。真面目な話、あの 子の本当の親がわかるまでは、俺が預かっとかんと……」
朝 
「別にお前が預からんでもええんとちゃう?」
観楠 
「う……(タジッ)」
朝 
「警察に届けるとか、新聞の尋ね人の欄を探すとか」
観楠 
「そ、それは……それはやなぁ!」
朝 
「実は『隠し子』、やからやろ? それやったらしゃーな いわな。捜索願なんか出るわけないし、届けるに届けられへんしなぁ!(悪魔のような笑顔)」
観楠 
「ぅぁぁぁぁぁ……やめてくれえ〜(目の幅涙) 違うん  やぁ! ホンマに違うんやぁ(さらに目の幅涙)」



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