エピソード17『秘境』


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エピソード17『秘境』

彼方 
「(トントントン) 美樹さん、いるかい? 留守かなぁ ……今日中に会わないといけないのに、何処行ったんだろ(溜息)」

留守だった……しかたなく、美樹の所属しているSF研の知り合いに電話をしてみる。

電話の人
「え? 狭淵? なんか、彼なら今日は吹利学舎へ行くと か言ってたなぁ……なんでも、近場のパン屋がどうとか」
彼方 
「パン屋ぁ!? なんです、それ?」
電話の人
「さぁ、よくわからんケド……かなり遅くなるって、言っ てたよ」
彼方 
「そうですか、どうもありがとう……しょうがないですね」
寮生 
「いやいや、どういたしまして。じゃ……(がちゃん)」
彼方 
「(吐息)……吹利かぁ……パン屋だって? なんだかなぁ ……とりあえず、行って見るかな? まだ時間あるし……」

吹利駅にて……

彼方 
「取りあえず来てみたけど、パン屋って何処だろう?   『ベーカリー楠』だったっけ?」

ふらふらと歩きながら、それらしいパン屋を探して廻る。
 で、気がつくと、自分の居場所が分からなくなっている。
 いつもの事である。
 ようやく立ち止まり、辺りを見回す。

彼方 
「日が暮れて、きた。どうしよう?……しょうがない、人 に聞いてみよう。……すいません、『ベーカリー楠』ってどこにあるか、知りませんか?」
三彦 
「ああ……それなら、ここから1/3浬ほど南南西にいっ た所にだな……さらばだっ!」
彼方 
「……行ってしまった。あ、あの、『ベーカリー楠』って どこにあるか知りませんか?」
三郎 
「日本!」
彼方 
「まともな人はいないのか? ここは……? あ、あの人 なら大丈夫かな?」
朝  
「『ベーカリー楠』……? あ? ああ観楠のところね? 今からちょうどいくところやから、いっしょに行く? しかし、あんなところになんの用事なん?」
彼方 
「狭淵さんが、そちらにいると聞いたんで。たいした用  じゃ、ないです」
朝  
「まあ、ええけど。すぐ近くやし」

数分歩く

朝  
「ここやで」
彼方 
「『ベーカリー楠』……ここですね」
朝  
「……そうゆわんかったか?」
彼方 
(聞いてない)「狭淵さん、狭淵さん……いた。狭淵さ  ん!」
狭淵 
(本を読んでいる)
彼方 
「狭淵さん!」



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