- (某月某日昼休み
- 教室にて)
- 三彦
- 「おう、涼介!」
- 涼介
- 「な、なんだよいきなり(汗)」
- 三彦
- 「貴様それでも帝國軍人か!!」
- 涼介
- 「……はぁ? なに言ってんだよ……」
- 三彦
- 「しらばっくれるな! お前、昨日来なかっただろ?」
- 涼介
- 「どこにって……あぁパン屋のコト?」
- 三彦
- 「それ以外になんとする! 人がせっかく気を利かせてお
膳立てしてやったというのに!!」
- 涼介
- 「……三彦。なにか誤解があるようやから、この際はっき
りさせとくけど、浅井さんは関係ない……コトもないけどとにかく違う」
- 三彦
- 「なーにが違う? 貴様、大和魂は何処へやった!! さて
は米軍のスパイだな!?」
- 涼介
- 「わかった! わかったから、言うよ! 確かに浅井さん
に用はあったけど、もういいんだ。ほんとに用があるのは、浅井さんの隣にいる城島さんなんだよ(照)」
- 三彦
- 「むぅ、城島由加梨か。クラスでも1、2を争う美人だな、
なるほど。しかぁしっ! 初志貫徹しない者は帝國には不要! さては貴様、アカだなっ!!」
- 涼介
- 「頭痛がしてきた……あのねぇ(溜息) そういう三彦はど
うなんだよ。浅井さんと結構仲いいじゃない」
- 三彦
- 「な……なにを…… (大汗) き、貴様! 官を愚弄する
かっ! 軍法会議にかけてやるっ」
- 素子
- 「(遠目に見ながら) なに馬鹿やってんだか……」
- 由加梨
- 「(上に同じく) 素子っていいなぁ……」
- 素子
- 「な、なに言ってんのよ!(焦)」
- 由加梨
- 「なにって……ほら、ねぇ?(笑)」
- 素子
- 「あ! もぉ、由加梨ってばひっどぉ〜い! そんなこと、
絶対ないんだから(焦笑)」
- 由加梨
- 「へぇ〜、そぉなんだ(意味深な笑い) 見てて楽しいんだ
けどなぁ」
- 素子
- 「な、なにがよぉ〜(紅茶を一口)」
- 由加梨
- 「素子と酒井君。結構お似合いだな〜って……」
- 素子
- 「やめてよねっ! あれだけは絶対! 冗談じゃないわ
よぉ、全く」
- 由加梨
- 「なにムキになってんだか(くすくす)」
- 素子
- 「由〜加ぁ〜梨ぃ〜! ほんっとにあいつとはなんでもな
いんだからね!!」
- 由加梨
- 「あ、そうなんだ」
- 素子
- 「そうなのよっ! さっきから言ってるじゃない」
- 由加梨
- 「ふぅーん…… じゃぁ…… ( わたしがもらっちゃおうか
な……)」
- 素子
- 「え?……いま、なんて言ったの!?」
- 由加梨
- 「さぁ、ね。(予鈴) あ、お昼、終わったね。じゃまたあ
とでね」
- 素子
- 「由加梨……(まさか、ねぇ?)」
某月某日、ベーカリー楠にて)
からん、からん
- 素子
- 「いらっしゃいませー……あ」
- 由加梨
- 「……へぇ、ここでバイトしてるんだ、素子って」
- 素子
- 「………由加梨? なんで来るの? 由加梨ってJR組で
しょ?」
- 由加梨
- 「ちょっと本をね。本屋さんはこっちの方が充実してるか
ら」
- 素子
- 「ま、座ってよ。コーヒーでも入れるからさ」
- 由加梨
- 「レジ、空けちゃっていいの?」
- 素子
- 「大丈夫、大丈夫。いつも今頃は暇してるから」
- 由加梨
- 「……ところで、ね」
- 素子
- 「ん?」(コポコポ)
- 由加梨
- 「……素子って植木君のこと、ほんとはどう思ってるの?」
- 素子
- 「え゛?……あ、あち、あちちちち!……もう、由加梨が
変な事聞くから、コーヒーこぼしちゃったじゃない!」
- 由加梨
- 「(変な事じゃない、大事なことなのよ) で、どうなの?」
- 素子
- 「何とも思ってないわよ、あんな奴。一緒にいても、疲れ
るだけよ」
- 由加梨
- 「ふぅーん」
- 素子
- 「本当に、何とも、全然、これっぽっちも、由加梨が考え
てるような気持ちは持ってないんだからね!」
- 由加梨
- 「(またムキになる)……じゃ、他に好きな人がいるの?」
- 素子
- 「え?……うん……まあ、いちおうはね……」
- 由加梨
- 「誰? 何組の人?」
- 素子
- 「……まあ、それは、ちょっと……ねぇ……」
- 由加梨
- 「教えなさいよぉ。言わないと『植木君と素子はつき合っ
てる』って学校中に言いふらすわよ」
- 素子
- 「……(ボソ)由加梨のいじわる」
- 由加梨
- 「あら? 今頃気付いたの?(笑) で、誰なの? ね、素
子?」
- 素子
- 「言わなきゃ……だめ?(うるうる)」
- 由加梨
- 「だめ。(キッパリ) さあ、早くはいてしまえ(笑)」
- 素子
- 「……あたしが好きな人は……ここの店の……て…」
- 観楠
- (不意に)「素子ちゃん?」
- 素子
- 「(ビクッ) ははははははははい? ななな、 なんでしょ
う?(焦)」
- 観楠
- 「ちょっと幼稚園まで、かなみちゃん迎えに行って来るか
ら。店番しといて」
- 素子
- 「はははい。わかりましたぁ。行ってらっしゃいませ(焦)」
- 由加梨
- 「(くすくす)」
- 素子
- 「……ねえ、由加梨……私、顔赤い?」
- 由加梨
- 「赤い赤い。もう真っ赤っか。まるでトマト(くすくす)」
- 素子
- 「ぶぅ〜、トマトだなんてぇ(ぷんぷん)」
- 由加梨
- 「これこれ、店の床に座ったらお客さんに迷惑ですよ (く
すくす)でも……良かった」
- 素子
- 「ん、なに?」
- 由加梨
- 「素子と植木君が……ううん、なんでも無いの(笑)じゃ、
私、そろそろ帰るね」
- 素子
- 「そう?……コーヒーのお代はいいわ。あたしのおごり」
- 由加梨
- 「ありがと(笑) じゃ、また明日ね。See you」
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