エピソード34『一限目は語学』


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エピソード34『一限目は語学』

ぷるるるる・ぷるるるる・ぷるるるる。
 電話が鳴っている。
 もそもそと布団から顔を出した竜胆は、どうにか留守電に切り替わる前に、受話器を取る事に成功した。

竜胆 
「ふわい。豊秋れす」
友人 
「おう、おれだ。そろそろ起きないと、ヤバイのではない か」
竜胆 
「んん。そうやね。ありがと」
友人 
「じゃあ、オレは今から家を出るから。ちゃんと、学校に 来るように」
竜胆 
「はい。でわでわ」

さて、学校の前。
 竜胆の日課その壱、開店と同時にゲーセンを襲撃。

竜胆 
「朝一は乱入されずに済むから、段位認定にはぴったり☆ よね。今日こそウルフで名人出すんだから」
剽夜 
「おお、あきりんでわないか。こんな所でこんなことをし ていていいのか?」
竜胆 
「あ、更ちゃん。いいんだよ。それより、自分こそ何して んの?」
剽夜 
「ふっ、決まっているでわないか。卍丸を極めるのじゃ」
竜胆 
「たまにはバーチャしようよぉ」
剽夜 
「大分前にぼろくそにやられたからなあ。あのときで勝負 になってなかったから、今じゃ、話にもならん」
竜胆 
「そんなことないって☆」

しかし、間が悪い事に、ウルフは鮮やかに屁こき投げ(*1)を決めていた。

剽夜 
「こんなウルフにどうやって勝てというのだ」
竜胆 
「中段で浮いたら、穿弓腿入れればいいじゃない」
剽夜 
「それができるやつはいい。何を隠そう、私はそんなにリ オンをやりこんでわいないのだ」
竜胆 
「もっと功夫を積まなくちゃ駄目だって。リオンだって、 ゆうほど弱くないんだから」

さて、5分後。

竜胆 
「6段かぁ。しゃがみ投げをきっちり決めれなかったのが 失敗の理由ね。デュラルにも負けたし」
剽夜 
「やっぱり、君に勝負を挑むのは鉄拳だけにしとくわ」
竜胆 
「いつでもかかって来なさい。鬼平コンボ(*2)でやっつけ てあげるから」
******************************************************************用語解説
 1 屁こき投げ VFやる人なら知っているかのブンブン丸氏が編み
           出した恐怖の返し技。返し技のPKのKをGキャンセ    ルして、その間にコマンド投げを入力するという技。
  この間にジャイアントスイングを入力するというのが
  最もポピュラー。なお、名前の由来に意味はない。新
  宿ジャッキーがこう呼んだのが広まってしまっただけ
  である。尚、最近は屁こキックなる技も発見された。
  これも新宿ジャッキーが命名した。
 2 鬼平コンボ    PS版鉄拳のキャラ、平八の極悪なコンビネーショ
           ン。その威力から竜胆自ら「鬼平コンボ」と命名した。
   鬼神拳OR風神拳−LPORWアッパー−崩拳(ぽんけん)
   とつなぐ技。これが全て入ると、体力の80%を奪い去    る。なお、幾つかのバリエーションが存在する。鉄拳    における竜胆の最大にして最強の武器。******************************************************************
 剽夜と竜胆は、ゲーセンを出た。

竜胆 
「ふわ。朝日がまぶしい。灰になるぅ」
剽夜 
「みゅう。あきりんは吸血鬼だったのか」
竜胆 
「知られたからには生かして返すわけにはいかないわね。 っても、男の血は吸いたくないの」
剽夜 
「それは問題がある台詞だな」
竜胆 
「ふう。吸血鬼らしい台詞をはいてみただけなのに」
剽夜 
「まあ、それらしいと言えばそれらしいが。しかし、あれ は何だ? 我々を睨みつけているあの目つきの悪いにいちゃんは」
竜胆 
「更ちゃんに気があるんじゃないの?」
剽夜 
「いや、どっちかと言うとあきりんに……。いや、そうじゃ なくてだ。私の目には、すごく恐そうな落ち武者にみえるんだが……知り合いなのか」
竜胆 
「落ち武者? もしかして、敵?」

急に身構える竜胆。道ゆく大学生達が興味なさそうに歩いて行く。

剽夜 
「いや、短絡思考はよくないと思うぞ。一応、訊ねてみる のが……」
男  
「豊秋竜胆だな。いや、竜王配下一位の部将ラーフィス。 そう言った方がいいかな」
竜胆 
「やっぱり敵だったみたい」
剽夜 
「みゅう、そのようだな。で、どうするの?私は実験があ るのでそろそろ行かなくてはならないのだが」
竜胆 
「じゃあ、また昼休みにね」
男  
「をい」
剽夜 
「でわでわ! また昼休みに会おう!」
竜胆 
「ばいびー」
男  
「話は終わったか」
竜胆 
「……雑魚がいくらかかってきても、無駄だといったはず だが?」
男  
「いや、聞いてないぞ」
竜胆 
「まあ、いい。私はどうでもいいのだが、竜胆はさすがに 講義に間に合わなくなると辛いらしいから、さっさと終わらせてやる」
男  
「人格が交代したのか。まあ、構わん。死ね」

男は急に刀を構えるようにして、身構えた。
 竜胆、いや竜胆の前世の姿であるラーフィスはまったく気にもとめていない。

竜胆 
「どうした? こっちから行ってもいいと言う事か?後悔 するぞ? 悪いが、私は男には容赦しない」
男  
「食らえ!」(切りかかる)
竜胆 
「効かん……な。悪いが、君程度では話にならん。出直し て、上司でも呼んできたまえ」
男  
「くっ」(睨みつける)
学生1
「おおっ、喧嘩やで」
学生2
「ちょう、あの子なんか絡まれてるで」
学生1
「助けたろか」
学生3
「おお。助けたろ。おい、自分、女に手ぇあげてカッコ悪 いで」
男  
「うるさい」
学生1
「ん? なんや、こいつ、こっちに手ぇ向けてるで」
学生3
「波動拳でも打つんか?」
竜胆 
(今のウチにずらかろう。面倒になると竜胆が困るだろう)
学生2
「こっちは龍虎乱舞で迎え撃ったろ」

3人の学生達はいっせいに謎の男に襲いかかった。
 男は訳もわからぬままにKOされた。
 一方、竜胆は……

女子大生1
「おはよう、あきりん」
竜胆 
「おはよう☆」
女子大生2
「危なかったねぇ。もうちょっとで遅刻ぅ」

無事に語学に出席していた。



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