ぷるるるる・ぷるるるる・ぷるるるる。
電話が鳴っている。
もそもそと布団から顔を出した竜胆は、どうにか留守電に切り替わる前に、受話器を取る事に成功した。
- 竜胆
- 「ふわい。豊秋れす」
- 友人
- 「おう、おれだ。そろそろ起きないと、ヤバイのではない
か」
- 竜胆
- 「んん。そうやね。ありがと」
- 友人
- 「じゃあ、オレは今から家を出るから。ちゃんと、学校に
来るように」
- 竜胆
- 「はい。でわでわ」
さて、学校の前。
竜胆の日課その壱、開店と同時にゲーセンを襲撃。
- 竜胆
- 「朝一は乱入されずに済むから、段位認定にはぴったり☆
よね。今日こそウルフで名人出すんだから」
- 剽夜
- 「おお、あきりんでわないか。こんな所でこんなことをし
ていていいのか?」
- 竜胆
- 「あ、更ちゃん。いいんだよ。それより、自分こそ何して
んの?」
- 剽夜
- 「ふっ、決まっているでわないか。卍丸を極めるのじゃ」
- 竜胆
- 「たまにはバーチャしようよぉ」
- 剽夜
- 「大分前にぼろくそにやられたからなあ。あのときで勝負
になってなかったから、今じゃ、話にもならん」
- 竜胆
- 「そんなことないって☆」
しかし、間が悪い事に、ウルフは鮮やかに屁こき投げ(*1)を決めていた。
- 剽夜
- 「こんなウルフにどうやって勝てというのだ」
- 竜胆
- 「中段で浮いたら、穿弓腿入れればいいじゃない」
- 剽夜
- 「それができるやつはいい。何を隠そう、私はそんなにリ
オンをやりこんでわいないのだ」
- 竜胆
- 「もっと功夫を積まなくちゃ駄目だって。リオンだって、
ゆうほど弱くないんだから」
さて、5分後。
- 竜胆
- 「6段かぁ。しゃがみ投げをきっちり決めれなかったのが
失敗の理由ね。デュラルにも負けたし」
- 剽夜
- 「やっぱり、君に勝負を挑むのは鉄拳だけにしとくわ」
- 竜胆
- 「いつでもかかって来なさい。鬼平コンボ(*2)でやっつけ
てあげるから」
******************************************************************用語解説
1 屁こき投げ VFやる人なら知っているかのブンブン丸氏が編み
出した恐怖の返し技。返し技のPKのKをGキャンセ ルして、その間にコマンド投げを入力するという技。
この間にジャイアントスイングを入力するというのが
最もポピュラー。なお、名前の由来に意味はない。新
宿ジャッキーがこう呼んだのが広まってしまっただけ
である。尚、最近は屁こキックなる技も発見された。
これも新宿ジャッキーが命名した。
2 鬼平コンボ PS版鉄拳のキャラ、平八の極悪なコンビネーショ
ン。その威力から竜胆自ら「鬼平コンボ」と命名した。
鬼神拳OR風神拳−LPORWアッパー−崩拳(ぽんけん)
とつなぐ技。これが全て入ると、体力の80%を奪い去 る。なお、幾つかのバリエーションが存在する。鉄拳 における竜胆の最大にして最強の武器。******************************************************************
剽夜と竜胆は、ゲーセンを出た。
- 竜胆
- 「ふわ。朝日がまぶしい。灰になるぅ」
- 剽夜
- 「みゅう。あきりんは吸血鬼だったのか」
- 竜胆
- 「知られたからには生かして返すわけにはいかないわね。
っても、男の血は吸いたくないの」
- 剽夜
- 「それは問題がある台詞だな」
- 竜胆
- 「ふう。吸血鬼らしい台詞をはいてみただけなのに」
- 剽夜
- 「まあ、それらしいと言えばそれらしいが。しかし、あれ
は何だ? 我々を睨みつけているあの目つきの悪いにいちゃんは」
- 竜胆
- 「更ちゃんに気があるんじゃないの?」
- 剽夜
- 「いや、どっちかと言うとあきりんに……。いや、そうじゃ
なくてだ。私の目には、すごく恐そうな落ち武者にみえるんだが……知り合いなのか」
- 竜胆
- 「落ち武者? もしかして、敵?」
急に身構える竜胆。道ゆく大学生達が興味なさそうに歩いて行く。
- 剽夜
- 「いや、短絡思考はよくないと思うぞ。一応、訊ねてみる
のが……」
- 男
- 「豊秋竜胆だな。いや、竜王配下一位の部将ラーフィス。
そう言った方がいいかな」
- 竜胆
- 「やっぱり敵だったみたい」
- 剽夜
- 「みゅう、そのようだな。で、どうするの?私は実験があ
るのでそろそろ行かなくてはならないのだが」
- 竜胆
- 「じゃあ、また昼休みにね」
- 男
- 「をい」
- 剽夜
- 「でわでわ! また昼休みに会おう!」
- 竜胆
- 「ばいびー」
- 男
- 「話は終わったか」
- 竜胆
- 「……雑魚がいくらかかってきても、無駄だといったはず
だが?」
- 男
- 「いや、聞いてないぞ」
- 竜胆
- 「まあ、いい。私はどうでもいいのだが、竜胆はさすがに
講義に間に合わなくなると辛いらしいから、さっさと終わらせてやる」
- 男
- 「人格が交代したのか。まあ、構わん。死ね」
男は急に刀を構えるようにして、身構えた。
竜胆、いや竜胆の前世の姿であるラーフィスはまったく気にもとめていない。
- 竜胆
- 「どうした? こっちから行ってもいいと言う事か?後悔
するぞ? 悪いが、私は男には容赦しない」
- 男
- 「食らえ!」(切りかかる)
- 竜胆
- 「効かん……な。悪いが、君程度では話にならん。出直し
て、上司でも呼んできたまえ」
- 男
- 「くっ」(睨みつける)
- 学生1
- 「おおっ、喧嘩やで」
- 学生2
- 「ちょう、あの子なんか絡まれてるで」
- 学生1
- 「助けたろか」
- 学生3
- 「おお。助けたろ。おい、自分、女に手ぇあげてカッコ悪
いで」
- 男
- 「うるさい」
- 学生1
- 「ん? なんや、こいつ、こっちに手ぇ向けてるで」
- 学生3
- 「波動拳でも打つんか?」
- 竜胆
- (今のウチにずらかろう。面倒になると竜胆が困るだろう)
- 学生2
- 「こっちは龍虎乱舞で迎え撃ったろ」
3人の学生達はいっせいに謎の男に襲いかかった。
男は訳もわからぬままにKOされた。
一方、竜胆は……
- 女子大生1
- 「おはよう、あきりん」
- 竜胆
- 「おはよう☆」
- 女子大生2
- 「危なかったねぇ。もうちょっとで遅刻ぅ」
無事に語学に出席していた。
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