エピソード36『竜王様……』


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エピソード36『竜王様……』

お天気お姉さん
「気象庁の発表によりますと、本日、日本列島は梅雨が明
          けたそうです。これからしばらくは、いいお天気が続く
          との見通しです(^^)」
寿  
「ふう、梅雨明けたから、日差しがまぶしすぎるなあ。暑 いったらないよ。もう、シャツべたべただし、目も回ってきた。……どこかで涼みたいなあ……あ、パン屋さんがあるぞ。とりあえず避難しよう」
ベーカリー楠の店内では

竜胆 
「この時間帯は誰もいらっしゃらないんですね?」
観楠 
「そうだね。素子ちゃんはきょうはオフだし、かなみちゃ んはお昼寝中だし。 でも、 そろそろ皆来るんだろうなあ
ため息) ウチは“ベーカリー! ”であって、喫茶はおまけなんだけど……」
竜胆 
「でも、とても居心地良いですよね。アットホーム! っ て感じがします。これも、観楠さんの人柄ですよ」
観楠 
「え? ほんと? (照れっ)」
竜胆 
「ええ、とてもいいパパさんしてらっしゃると思います」
観楠 
「いや、かなみちゃんは僕の、いや仕方なく……いや、か なみちゃんの事が嫌いって訳じゃなくて、いやいややってるって訳でもなくって、これはこれでいいもんだなあって、何言わせるの!」
竜胆 
「違うんですか? 例え血はつながってなくっても、親子 のつながりというのは心が通いあっていれば、 十分ですよぉ(^^)」
観楠 
「うん、 僕もそう思うんだ……いや、 あの、 その(あた ふた)」
竜胆 
「あら? 何かおちましたよ……児童心理学概論。ほら、 こんなにかなみちゃんの事を考えてらっしゃるじゃないですか」
観楠 
「だからぁ! (T_T)」
からんころん。

寿  
「ふああ、涼しぃぃ。生き返るぅぅ。あ、すいません、お 邪魔します」
観楠 
「ふぁい? い、いらっしゃいませ(にっこり)。ご注文は 何にいたしましょう?」
寿  
「あ、アイスコーヒーを(喫茶もやってるのか)」
観楠 
「かしこまりました」
竜胆 
「(小声)常連さん以外の人がくるって珍しいですね」
観楠 
「やっぱり竜胆ちゃんもそうゆう風に思ってたんだね……」
竜胆 
「あ、ごめんなさい」
観楠 
「いや、いいんだ……お待たせ致しました」
寿  
「あ、どうも」
竜胆 
「……なんだか、ちょっと変な気配がしません?」
観楠 
「え? また、敵とかいうの? (おろおろ)」
竜胆 
「そうじゃなくて、なんだか、空気が軽くなったような気 が……あ、説明するとですね、空間内に霊体がいると、霊体が消費する特殊なエネルギーが……うんぬんかんぬん。つまり、感覚的に空気が重いって、感じるんです」
観楠 
「それで、結局何が言いたいんでしょう? (よくわからな かった)」
竜胆 
「ですから、この空間内から、霊体が離れたって事です。 勝手に離れて行く訳ないと思ってたんですけど……自縛霊だったから」
寿  
「げほっごほっ (なんだ? あの女の子、霊感でもあるの か?)」
竜胆 
「自縛霊が一時的かもしれないけど、離れて行くなんて…… きらーん」
観楠 
「きらーん、って」
竜胆 
「閃いた時の擬音です。それはさておき。(つかつかつか) ごめんなさい、すこしいいですか? (にっこり)」
寿  
「え、ええ、かまいませんが……(なんだなんだ?  貴方 のためにお祈りさせて下さいとかいってくるんじゃ……)」
竜胆 
「単刀直入にお聞きします。用件も手短に済ましますから。 ……あなた、きっと、前世で私と一緒に戦った仲間なんです」
寿  
「はあ?」
観楠 
「また始まったか(はぁ)。あれさえなきゃ、普通の女の子 にみえるんだけどなあ……」
竜胆 
「今は忘れてしまっているだけなんです。でも、安心して 下さい。すぐに思い出すでしょう。一緒に戦った仲間達の事を」
寿  
「あのー、もしもし? (^_^;)」
竜胆 
「今日、ここに涼みに入ったのも、ずっと前から決められ てた事なの。そう、運命なのよ」
寿  
「……」
観楠 
「もうここまでくると、いっそ立派だよ、竜胆ちゃん(T_T)」
竜胆 
「私にはわかりました。貴方には他の人にない不思議な力 が眠っている事が。気付いてらっしゃらないかもしれませんが、貴方には私達戦士に必要な力が、眠っているのです」
寿  
「ぎくっ。(もしかして、反心霊フィールドのことか?)」
竜胆 
「お気付きのようですね。そう、そのあらゆる霊体を拒絶 するばりやぁのことです」
寿  
「なぜ、それを!」
竜胆 
「だって、ここの自縛霊がほら、外で途方にくれてますも の。あなたのばりやぁにまともにぶつかったせいで、ここからひき剥がされてしまったんです。その力、戦士の持つ力の中でももっとも優れた能力です。やはり、仲間だったんですね、あたし、うれしいっ☆」
観楠 
「良かったね、竜胆ちゃん(やれやれ)」
竜胆 
「はい、観楠さん。あぁ、今日はきっとラッキーデーに違 いないわ! 今日はなんか、対戦しても負ける気がしないもの」
寿  
(いったい、なんなんだ? この子は)
竜胆 
「改めて、ごあいさつしますね。豊秋竜胆、紅雀院大学法 学部二回生です。よろしくお願いします(ふかぶか)」
寿  
「横手 寿です……」
からんころん

文雄 
「うむ、今日は暑いな」
竜胆 
「あ、竜王様。こんにちわっ」
文雄 
「うむ」
竜胆 
「竜王様、こちらは……というわけです」
文雄 
「ほう。それはそれは(気の毒に)重畳。心強い仲間がまた 一人、という訳だな」



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