エピソード37『赤紙』


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エピソード37『赤紙』

某月某日、ベーカリー楠にて

三彦
「で、お前がここでこう入って……で、追い出したところ を」
三郎
「三彦が確実にゲットしていく、と……何か不毛やなぁ…… そんな上手く行くとは思えん」
三彦
「むぅ……いい作戦だと思ったのだが。なら、このセンは どうか?」
三郎
「人数もうちっと廻せんかなぁ……ここらあたり」
素子
「……狭いところで紙広げて、なにやってんのよ」
三彦
「(隠す)貴様! これを見たのかっ?」
素子
「よくはわからなかったけど、 なにかの図面だったよう な……それより片づけてよね、せっかくお茶入れてあげたのに、これで、どこに置けって言うつもり? そぉだ、あんたの頭においたげよっか? (笑)」
三彦
「さては鬼畜米国のスパイだなっ! 銃殺だっ!!」
三郎
「かまへんがな。まぁ、落ちつきって(笑)」
素子
「そうそう、ただでさえ暑いってのにこの上酒井の冗談に つきあう気なんてあるモンですか(笑) で、なんの相談?」
三郎
「来週、例のゲームがあってその作戦を練ってたところ」
素子
「ゲーム?」
三彦
「帝國軍人たる我々にとって欠かすことのできない、疑似 戦闘訓練というやつだ」
素子
「ふぅ〜ん……あ、それってこないだ言ってたヤツじゃな いでしょうね?」
三彦
「だとしたらどうする?」
素子
「あんたねぇ…… その日って、 あたしにも声かけてたで しょ! 何で全然連絡が来ないのよっ!?」
三郎
「あれ、素子も来んの?」
三彦
「…… 常連以外のメンバーは往々にして忘れられるのだ
威張)」
素子
「威張って言うコトじゃないでしょー……よーし、こうなっ たら」
三郎
「こうなったら?」
素子
「絶対行ってやるんだから!(燃え上がる)」
三郎
「燃えてるのはいいけどな……装備はどうすんの?(笑)」
素子
「愛用のデザートイーグルがあるわっ!」
三彦
「気持ちは認めよう。しかし、それでは話にならん。却下 だ」
三郎
「そぉやなぁ……今回はあきらめるってコトで……」
素子
「なぁんでよぉ〜」
観楠
「賑やかだねぇ(笑) 素子ちゃん、仕事……」
素子
「あ、そうだ! 店長、あのですね……(云々)というわけ なんです。で、良かったら装備一式、貸していただきたいんですけど(笑顔)」
観楠
「あぁ、それはいいけど……サイズあうかな? あとで持っ て来るから、あわせてみてね。あ、それと一応勤務中だから自重してね(苦笑)(奥に引っ込む)」
素子
「さぁて……ふっふっふ、 これでもうばっちりよね(笑) 覚悟しときなさいよ、さ・か・い・くん☆」
三郎
「仕方ないやろ、こーなったら(笑) まぁ、花が増えたと 思ってあきらめて(笑) あ、面倒は三彦が見るんやね」
三彦
「何故だ!?」
三郎
「(冷ややかに) 最初に声かけてそのまま放ったらかした のは君やないか。責任とって当然(笑)」
三彦
「くぅっ……なぜだ、納得が……(ぶつぶつ)」
素子 
「でね、酒井くん☆どうも、妹が一回サバゲをやってみた いらしいの。一緒に連れてくから、ねぇ、嫌なんて言わないわよね(うふ)」

横で聞いていた観楠たち……

観楠
「パン屋に連れてきて、あらぬ疑いをかけるようなまねは するなよ、朝っ!」
朝  
「疑われるようなことせんように気ぃつけといたらええね ん」
観楠
「(無視) あ、そういえば竜胆さんも、銃とかに興味ある んですか?」
竜胆
「えぇ、高校時代を思い出します(笑)」
観楠
「(皿を拭きながら)……そういやぁ、三彦君達がゲームや るらしいですよ、近いウチに……(よいっと)」
竜胆 
「まあ、マルゼンのイングラム位しか持ってなかったんで すけどね。だから、友達からP90とか借りたりして、 やってました。あ、今度、銃とか売ってる店教えてもらおうっと☆」

某月某日 片山宅にて

慎也 
「(電話中)とまあ、そう言うわけだ。もちろんお前は出撃 だろ? OK! じゃ、詳しい事はまた今度な。じゃ。 (がちゃ)」
慎也 
「(銃を整備しながら) うふふふふふ。今回はコイツを使 おう。う〜ん、久々の戦闘だけに腕がなる」
摩人耶
「(慎也の部屋の扉を開ける) 兄ちゃん、CD貸してぇ〜」
慎也 
「おう、かまへんよ。持ってき」
摩人耶
「何や兄ちゃん、戦争にでもいくん?」
慎也 
「まあ、そんなとこやね。(笑)」
摩人耶
「面白そうやね。それ」
慎也 
「そういやお前、陸自の女性自衛官とか見て『かっこいい』 とか言ってたもんな。んじゃあ、お前もやるか? って言っても装備全然なかったな。銃やったら貸せるけど」
摩人耶
「そのへんは心配ないって(笑) 迷彩ならあるもん」
慎也 
「な、何でお前が持ってるんや? (汗)」
摩人耶
「何でって、兄ちゃんくれたやん。自分新しいの買ったか らとか言って2000円で売ってたとか言う迷彩服」
慎也 
「あ、そういやそうやったね(汗) んじゃあ装備はそろっ たな。あ、そだ。試しにこれ撃って見るか?」
摩人耶
「うん。(にこっ) あ、結構重いんやね、これ。え? こ こ引けばいいの? タタタタタタタタタンッ(窓の外に撃つ)あ、これ面白いわ。タタタタタタタタタンッ (また窓の外に撃つ) 兄ちゃんもッと弾ないの?」
慎也 
「あ、お前全部撃っちゃたのか? あの弾高い奴なんだぞ
うるうる)」
摩人耶
「まあまあまあ、気にしない気にしない。じゃ、兄ちゃん この銃借りてくね。うーん、部屋に帰って撃ち直そう (嬉しそうに部屋へ帰ってく)」
慎也 
「おいっ! 摩人耶、それ俺が使う銃だぞ。あ、行っちまっ た(うるるる) あ〜あ、仕方ない。今からコイツ修理するか……(とほほ)」

当日……

琢磨呂
「慎也、あっちで少しでも動いたら撃てよ。弾数に気をつ けろ!」
慎也 
「ちょっと待てよ、こっちの弾はあと……どわわわっ!」
琢磨呂
「(クソッ!  こっちが出る前に先手を打たれたか……ま ずいな)おい、慎也!」
慎也 
「うーん……」
琢磨呂
「とにかく、そこでセミオートでいいから敵の頭を押さえ てろ。突っ込む!」
慎也 
「おい、琢磨呂、そりゃちょっと無茶じゃねぇか?」
琢磨呂
「しゃぁないだろう。あそこで三彦が足留め食らってるん だ。あのままじゃアイツがやられる」
慎也 
「そ、そうか……分かったよ」
琢磨呂
「よぉし! 1、2の3で飛び出すぞ!」
慎也 
「OK!」
琢磨呂
「(ちっくしょう…… さっきむこうから撃ったのは素子か? P90独特の音だったが。 素人のくせになかなかやりおるわい!) 1、2の……3っ!」
慎也 
「てぇい! てぇい! (なんとか、サブ彦を守らないと)」
……3秒経過

慎也 
「琢磨呂、大丈夫かなぁ〜? あの辺の草むらでなんか動 いたよーな気がするんだけど……まっ、言われたとおり撃っておこう」
……さらに2秒経過

琢磨呂
「うおおおお!  (クソッ! 思ったより激しく撃ってき やがる! 一時、あそこの草むらに退却だ)……っと、??」
素子 
「富んで火に入る……てぇい!」
琢磨呂
「うぉっ! こ、こんな所に……」(ぱしっ)
慎也 
「あーっ! あんな所に素子が居た?  それじゃぁあのP90 の音は? ま、まさか!」
琢磨呂
「うーん……素人にやられると……」
素子 
「そんな素人素人言わないで! 死体はさっさと死体置場 に行きなさいよ」

サバゲ会場、安全地帯にて

観楠
「(ふわぁぁぁぁ、ぁ)暇だな……いきなりやられたんだも んなぁ」
かなみ
「父様、みんなどこいったの?」
観楠
「うーんと……多分そこの林の中とか、あっちの方とかで 走り回ってるんじゃないかな?」
かなみ
「父様はいかないの?」
観楠
「え? あ、あのね(汗)……実はさっき負けちゃって……
苦笑)」
かなみ
「まけたらどーなるの?」
観楠
「ここにいて、みんなが終わるのを待ってるんだよ」
かなみ
「いつ終わるのっ?」
観楠
「いつだろうねぇ……まだまだじゃないのかなぁ(欠伸)」
かなみ
「……つまんなぁい!」
観楠
(げ!)
かなみ
「素子姉様も、摩人耶姉様も、顕兄様も涼兄様も慎兄様も 三彦ちゃんも三郎ちゃんもいないの、や!」
観楠
「そりゃ……しょうがないよ。みんなまだ頑張ってるんだ から」
かなみ
「や! つまんないのっ!」
観楠
「困ったな……あ、じゃぁ一緒にお散歩しよ? (笑顔)あっ ちの方へ行ってみよっか」
かなみ
「うー……素子姉様のトコがいいの」
観楠
「だ、だめだめ! あそこは今、 入っちゃいけないんだ よ(焦)」
かなみ
「どーしてっ!?」
観楠
「ど〜してって……かなみちゃんはまだ小さいから……」
かなみ
「かなみ、ちいさくないもん! ミかよりおおきいもん!!」
観楠
「(そりゃないよ)……あそこへ入ると、かなみちゃん怪我 するかもよ?  じゃなくて、ホントに怪我するよ?  痛いのいやだよね?」
かなみ
「うー……」
観楠
「もうすぐしたら誰か帰ってくるだろうし、それにもう少 しでお昼だからね?」
かなみ
「……」
観楠
「ね? もう少し待ってようよ。あ、ほら。あっちの方に 川があるから、お魚さんいるか見に行こうよ?(焦り笑顔)」
かなみ
「……」
観楠
「よし! 川まで肩車してあげる(笑顔)」
かなみ
「……」
観楠
( だ…… ダメかな…… もぉ誰でも良いから帰ってきてく れ〜! 一番ありがたいのは素子ちゃんだ!)」
かなみ
「(にっこり)うん、行く!」
観楠
「ほ、ほんとに?」
かなみ
「行くの。お魚さん、見に行くのっ! (笑顔)それで、父 様に肩車してもらうのっ」
観楠
(はぁぁぁぁ〜……)



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