エピソード41『終戦記念日』


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エピソード41『終戦記念日』

今日は何の日?

慎也 
「よ。摩人耶」
摩人耶
「よ。慎也」
慎也 
「ところで今日何の日か知ってるか?」
摩人耶
「終戦記念日やろ。さっきもおばあちゃんに例年のとおり 同じ戦争体験談聞かされたもん。 そろそろ暗唱できそう
苦笑)」
慎也 
「いや、それもそうやけどな。やっぱりやまとな人間とし てはなんか燃えるんやな、これが……(トリップ)」
摩人耶
「アレジ、ほっとこ……(犬に話し掛ける)」
慎也 
「(トリップから戻る) おい?」
摩人耶
「あはははははは……(テレビ見てる)」
慎也 
「あのなあ、今日は俺の誕生日やないか(ちょっと怒る)」
摩人耶
「あ、そうやったね。おめでと。で?」
慎也 
「で? やないでしょが(汗)」
摩人耶
「だって、お兄ちゃん、今年の摩人耶の誕生日、プレゼン トなかったやん」
慎也 
「(ぎくっ、痛い所を……) いや、その、あの時はだねえ、 滋賀方面の遠征や予定外の支出など次の月の収入を目前にして我が軍の経済状態が破綻寸前であってでなあ……(云々)……と言うわけでだねえ……」
摩人耶
「結局買えんかったんでしょ? (笑) お兄ちゃん、そう 言うプレゼントって物は give and take よ。 くれなかったから、あげないの。分かった? (笑)」
慎也 
「なんか、違うような……(苦笑)」

8月15日午後、ベーカリー楠にて

慎也
「ちわぁ〜」
観楠
「あれ、今日は早いね」
「補習を受けないで済んだから……」
観楠
「なるほど(笑)」
慎也
「あ、ひどいですよ〜。別にいつも補習ばっか受けてるワ ケじゃ無いんですから」
観楠
「いや、ごめんごめん(笑)さて、今日はどっちかな?」
慎也&顕
「当然、『喫茶』ですっ」
観楠
「あ、そ。……まぁ、いいんだけどねぇ……全く、こう暑 いと商売あがったりだ……えい、 ちくしょう(奥に引っ込む)」
慎也
「店長、なにかあったのかな?」
「俺が知るか」
素子
「こんにちわぁ〜」
「おぉ、看板娘の登場か(笑)」
由加梨
「どうも〜」
三郎
「ちわぁっす」
三彦
「酒井曹長、入ります!」
涼介
「あぁっ! また座るところがない!!」
慎也
「で」
「こうなるわけだな。今日は年長組がいないだけまだ『広 い』な中は」
観楠
「ほい、お二人さんお待た……わを。何故増える? (笑)」
素子
「ホント、暇な連中ばっかり揃ってるんだから」
由加梨
「でも私は『本を買いに来た』っていう立派な理由がある わよ」
三彦
「我々はこの店の売上に協力するという崇高な使命を全う せんがために連日、時間をひねり出してやってくるのだ」
素子
「……で、ない緑茶を注文して、結局麦茶一杯で閉店まで 居座ってるのはどこの誰なのよ?」
涼介
「あははははははは(大笑)」
三彦
「……笑うやつは銃殺だ」
観楠
「まぁまぁ(笑) で、みんなが喫茶に入った、ということ はいつものやつでいいんだね」
一同
「はぁ〜い(笑)」
観楠
「あ、そうだ。慎也君……(ごそごそ) 誕生日、おめでと う(笑)」
慎也
「ほぇ?」
観楠
「あれ、違ったっけ? 確か常連のリストには……でも、 そろそろだよね」
慎也
「や、いやあの……ど、どうも(照)」
「……何、照れてるんだ」
慎也
「照れてなんかないっ(笑)」
由加梨
「片山君、今日誕生日なの?」
三郎
「まずは、めでたい(笑)おめでとう!」
三彦
「15日か……忘れもしない50年前のこの日(遠い目)」
涼介
「また始まったか。今日は朝からなにかってーとこれだも んなぁ」
素子
「ほーんと。軍人かぶれもいい加減にしてほしいわよね〜」
由加梨
「平和の尊さを知る人の裏返った姿よっ」
素子
「恋は盲目……(溜息)」
三郎
「ところで店長、かなみちゃんは?」
「そういえばこの頃姿を見ないな」
三彦
「なにかあったのでありますか?」
観楠
「い、いやその……まぁ、あの子もあの子なりに……なに かといろいろあるようでね最近……(ひくひく)」
涼介
「……もしかして、ボーイフレンドができたとか!?」
観楠
「(図星っ)」
「当たったようだな」
慎也
「へぇ、どんなヤツなんだろ? 度胸あるなぁ(笑)」
素子
「あ、あたし見たことあるわよ(笑) 望くんって言って、 結構可愛い子なの(笑)」
由加梨
「同い年の男の子かぁ……それじゃぁ店長さん、大ピンチ ね(笑)」
三郎
「まぁ、父親と恋人じゃ勝負にならんわな(大笑)」
観楠
「まだ決まったワケじゃなぁ〜い! (目の幅涙)」

家に帰った慎也は、観楠氏にいただいた誕生日プレゼントの包みを
 開けずにまず中身を想像して見た。

慎也 
「う〜ん、 中身はなんだろう? う〜ん(嬉しそうに考え る)、 観楠さんもサバゲとかやるって言ってからガンか何かかな? はたまた、新作のパンかもしれない。いや、案外ふつーのモノかもしれないなあ。でも……(色々考えてる)……ま、開けて見るか。(わくわく)」

そして、包みを開けに掛かる慎也……彼は開けながらも中身を予測していた。
 しかし、大抵の予測はしていたが、開けて行くに連れて包みの中身は彼の予測を遥かに陵駕する物が入っている事に気付いたのだった!! 

慎也 
「う〜ん?  なんだこりゃあ?  (ちゃんと出してみる) チャイナドレスぅ? (あせってる) しかも女物じゃん。いくら女の子に間違えられるからって観楠さん、洒落のつもりかなあ」



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