- 亜紀
- 「……生……先生……」
- 大輔
- 「……」
- 亜紀
- 「……先生、出雲先生!」
- 大輔
- 「……へ!? あ、はい?」
- 亜紀
- 「『はい? 』じゃありませんよ、もう。打合せしてる時
くらいは、真面目に人の話を聞いてください!」
- 大輔
- 「……すみません、ちょっと考え事してしまってて……で
も、私ってそんなに『普段、真面目に人の話を聞いてない』男ですかね?」
- 亜紀
- 「(ジロッ)……はい」
- 大輔
- 「がーん」
- 亜紀
- 「はいはい、ギャグはそこまででいいから、早くこっちの
世界に戻ってきてください。続けますから」
- 大輔
- 「ががーん」
- 亜紀
- 「(無視して)えーっと、今回は『らんらん』のネームとあっ
ちの分ですね」
- 大輔
- 「ええ、そうです」
- 亜紀
- 「……いきなり戻りましたね」
- 大輔
- 「三途の川を渡る直前で亜紀さんの声が聞こえて、振り返
る事ができました」
- 亜紀
- 「……なんなら、向こう岸まで渡らせてあげましょうか?」
- 大輔
- 「いや、遠慮しておきます(笑)」
- 亜紀
- 「で、まず『らんらん』の方ですけど……」
- 大輔
- 「はいはい」
- 亜紀
- 「(パサパサッ)……そうですね、今回はこのままで構わな
いと思います」
- 大輔
- 「おおっ! パフパフッ! ドンドン! (笑)」
- 亜紀
- 「(もう慣れた) ええ。あとは、締切に間に合うように描
いてもらえれば、私は何にも言いません」
- 大輔
- 「御意に(笑)」
- 亜紀
- 「(しれっと) で、もう一つの『ともだち』の方に載せる、
読み切りの分なんですが……」
- 大輔
- 「難産でした(笑)」
- 亜紀
- 「いつもでしょう? 付添いの身にもなってください (苦
笑)」
- 大輔
- 「……とまぁ、冗談はそれくらいにしておいて、と(笑)」
- 亜紀
- (……逃げた)
- 大輔
- 「何か変でした、中身?」
- 亜紀
- 「そうですねぇ……(パサパサッ)やっぱり一つだけ。……
この……ここです。ラストの場面で、人形に宿った命が結局尽きてしまい、主人公が泣き崩れる部分が少し……無理に、人形の命を消してしまう必要があるのかな? と思うんですね、私としては」
- 大輔
- 「はぁ」
- 亜紀
- 「それよりも、(勿体ないですけど)この途中のエピソード
を小さくまとめてラストの部分に余裕をもたせたら、この人形の寿命も消してしまわないで良いような、何かお話 (方法)を挟めるかと思いますね」
- 大輔
- 「……つまりは、奇跡か何かで『延命処置』を行う展開の
方が、良いかな? という訳ですね」
- 亜紀
- 「……言葉はひっかかりますが、そういうことです。でき
るだけ大団円につなげた方が、読者の皆さんも安心(納得)するわけですから」
- 大輔
- 「私としても、一番悩んだ部分なんですよねぇ(苦笑)」
- 亜紀
- 「……というのも、読者層を考えると、この展開はどうか
と思うんです。 たしかに『らんらん』よりも、年齢的には上の女の子達(一部、20前後の男の子も)が読んでますけどね。ただ、あくまで「少女向け」雑誌でしょ? ホラーでもないかぎり、ラストが万事解決でない展開をもってくるというのは……しかも長い枠がある『連載』でなくて、『読み切り』だけに」
- 大輔
- 「私自身、まだ答えを見つけてませんからねぇ。正直、そ
んな簡単に奇跡なんか起こして、生きているようにしていいのかどうか……」
- 亜紀
- 「? ……どういうことです?」
- 大輔
- 「いやね……この話自体、どうなるのが一番自然に落ちつ
くものなのか、読書さんに聞いてみたくなったから、描いたようなモノでして……(苦笑)」
- 亜紀
- 「……まだ意を得ませんね」
- 大輔
- 「私も話しながら、悩んでますからね(笑)」
- 亜紀
- 「いいでしょう。悩みながらでも、話してください。納得
しないとお互い先に進みそうにありませんし」
- 大輔
- 「すみませんね(苦笑)」
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