某月某日 喫茶内で。
うららかな午後の日差しの中、今日も今日とて暇な人達が集まっている。
そんななかで、うたた寝していた竜胆がむくっと目を覚ました。
- ラーフィス
- 「ふむ。久しぶりに表に出てみれば、ずいぶんと変わった
連中が集まっているな……」
- 朝
- 「ん? この子、どうかしたんか?」
- 文雄
- 「みゅう。久しぶりにこの人格が出て来たようだな」
- 観楠
- 「どういうことです? 文雄さん」
- 文雄
- 「つまりだな。竜胆ちゃんが言うには、彼女の守護霊的存
在なんだそうだ」
- 朝
- 「さっぱりわからへんな(笑)」
- 文雄
- 「これこれ、説明は終わっていない。その守護霊的存在が、
彼女の前世の人格なんだそうだ」
- 剽夜
- 「つまり、あきりんは二重人格なのだ。興味深い……」
- 朝
- 「なんか、言葉遣いがえらそうやな」
- ラーフィス
- 「君ほどではないだろう。私の場合はクールなのだ」
- 朝
- 「どうでもええけど、適応早いな(笑))」
- ラーフィス
- 「柔軟な頭脳の持ち主といってくれたまえ……ん?」
- 素子
- 「店長ぉ。コーヒー入りましたよ。みなさんもどうぞ」
- 観楠
- 「ありがとう、素子ちゃん」
- ラーフィス
- 「よく見ると、君、眼鏡をとったらかなり可愛いんじゃな
いか? どうだろう、私と一緒に午後のお茶でも……」
- 素子
- 「? 竜胆さん? どうかしました?」
- 朝
- 「(笑) 気ィつけた方がええで。この子、エスカレーター
式の女子校出身やさかいな。 男より女の子に手ェだすかも(笑)」
- 素子
- 「(赤面) な……え、遠慮しときますね、竜胆さん(^^;)」
- ラーフィス
- 「つれないこと言わないで。私はただ、君と素敵な午後の
ひとときをすごしたいだけなんだ……(手を取る)」
- 観楠
- 「あわわ。素子ちゃんに何かあったら、親御さんに申し訳
が……ね、ねえ竜胆ちゃん、今日はそのくらいにしといたら……」
- 朝
- 「(笑) おもろいなあ。あの子、普段も面白いけど、前世
も面白いわ。こんな子、滅多におれへんで」
- 剽夜
- 「しかし、このままでは、あきりんにあらぬ疑いがかかる
のでわ。さすがにそれはちょっと可哀想だ」
- 文雄
- 「だったら、君が何とかすると良い。剽夜くんは『彼』の
扱いにも慣れていそうだし」
- 素子
- 「あーん(困ってる)。店長ぉ(^^;)」
- 観楠
- 「そうだ、竜胆ちゃんは文雄さんのこと、竜王さまと呼ん
でるじゃないですか。剽夜君と文雄さんで二人掛りで説得すれば……」
- 文雄
- 「みゅう。それは危険かも知れん。もし、私が実は竜王と
やらでないと、ばれてしまったらどうするのかね」
- 剽夜
- 「高村さん、それで困る事でもあるんですか」
- 文雄
- 「実は竜王と呼ばれるのに慣れてしまったのだ(笑)。今か
ら違う呼び方をされても、どうも違和感が……」
- 剽夜
- 「仕方ないっしゅね。私がやらねばならんようだ。あー、
あきりん」
- ラーフィス
- 「(聞いてない)そんなに、私とお茶するのが嫌かい……?」
- 剽夜
- 「やはり、人の話を聞かないのはどっちにも共通している
ようだ。あきりん、あーきりん☆ そのへんにしておいた方が良いと思うぞ」
- ラーフィス
- 「どうして?」
- 剽夜
- 「女性を困らせるのは『真の超絶美形戦士』のする事にし
ては寂しすぎると思うぞ」
- ラーフィス
- 「……そうか、確かにそうだな。仕方ないね。今日は都合
が悪いというなら、また日を改めて誘わせてもらうよ」
- 剽夜
- 「いいぞ、それでこそ『真の超絶美形』!」
- ラーフィス
- 「押してばかりでは駄目だからね……では、ごきげんよう、
お嬢さん(ぱたっと再び眠る)」
- 朝
- 「おだてに弱いとは、なんか解り易くてええな」
- 剽夜
- 「あきりんもおだてには弱いっしゅ。ちょっと面倒な事で
もおだてれば大丈夫。これでみなさんもアレが出て来ても大丈夫でしょう」
- 素子
- 「……? 今のは? なんだったんですか?」
- 観楠
- 「……これだけは断言しておくよ。竜胆ちゃんが言ったん
じゃないから、さっきの」
- 素子
- 「……?」
- 竜胆
- 「ふわわわ。よく寝ました……」
- 朝
- 「おはよう(笑)。 ええ夢見れたんちゃうか?」
- 竜胆
- 「んー。素子ちゃんをナンパする夢を見てました(笑)」
- 文雄
- 「……寝惚けてただけだったのだろうか?」
- 竜胆
- 「やだ、竜王様。あたし、なんか変なこと言ってました?」
- 朝
- 「大分笑わせてもろたわ。なかなか、ええネタ持ってるや
ないか」
- 素子
- 「(……竜胆さんって、やっぱりちょっと変)」
- 剽夜
- 「ところで、あきりん」
- 竜胆
- 「なぁに?」
- 剽夜
- 「前に聞いたかも知れんが、あきりんはすごくエラい女子
校卒だったよなあ?」
- 竜胆
- 「そうなの? (実感がない) まあ、そうかも知れないけ
ど……」
- 剽夜
- 「いや、私は塾講をしてるから知ってるんだ。んで、そこ
にいたころなんやけど……」
- 竜胆
- 「学校の成績は悪かったけど、模試の成績はよかったよ」
- 剽夜
- 「そうなのか。いや、そんなことじゃなくてだな。……ん
と」
- 竜胆
- 「更ちゃんが口ごもるなんて珍しいね」
- 剽夜
- 「いや、あきりんのことだから、後輩とかに、人気あった
じゃないかなって」
- 竜胆
- 「……どーゆー意味よぉ? (^^;)」
- 剽夜
- 「バレンタインとか、結構チョコレートをもらってた口じゃ
ないのか?」
- 竜胆
- 「んと……6年間でのべで100個以上もらったよ。 美味し
かった」
- 剽夜
- 「(やっぱりな)……そうか、興味深いデータをありがとう」
- 竜胆
- 「なんか、誤解してる? (^^;)」
ところ変わって。
- 大輔
- 「……ところで浅井ちゃん(かりかり)」
- 素子
- 「なんですか、師匠? (貼り貼り)」
- 大輔
- 「文ちゃんに聞いたんだけど……(かりかり)」
- 素子
- 「はい?」
- 大輔
- 「竜胆ちゃんにナンパされたんだって?」
- 素子
- 「な、ナンパなんてされてませんっ!」
- 大輔
- 「まあ、それはいいから(笑)。 その時のことを、詳しく
聞かせてくれないかなあ?」
- 素子
- 「(赤面)どうしてですかぁ!」
- 大輔
- 「その場にいなかった事が悔しいから(笑)。なんで私ゃ、
あの時喫茶にいなかったんだぁ! (T_T)」
- 亜紀
- 「先生? 何かおっしゃいまして? 心なしか、手がお休
みしてらっしゃるような気が……」
- 大輔
- 「い、いえ、なんでもないっすよ(^^;)。 ……んで、浅井
ちゃん。ネタになるかもしれないから、教えてくれないかなあ? (かりかり)」
- 素子
- 「……あ、あのですね……(かくかくしかじか) ……とい
うわけです」
- 大輔
- 「ををっ! 面白い! そりゃ良いわ! 今度はそれで行
こう!」
- 亜紀
- 「せ・ん・せ・い? 次回作の構想を練られるのもよろし
いですけど、その手がお休みしてらっしゃいますわね……?」
- 大輔
- 「き、気のせいでーす! (しかし、竜胆ちゃんはおいし
いキャラクターだなあ)」
後日、「らんらん」誌上に彼の新作読み切りが掲載された。
その主人公のキャラクターが一部読者に好評を得、彼は読み切りで続編を描いたのだった……。
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