エピソード51『竜胆、素子をナンパする!?』


目次


エピソード51『竜胆、素子をナンパする!?』

某月某日 喫茶内で。
 うららかな午後の日差しの中、今日も今日とて暇な人達が集まっている。
 そんななかで、うたた寝していた竜胆がむくっと目を覚ました。

ラーフィス
「ふむ。久しぶりに表に出てみれば、ずいぶんと変わった 連中が集まっているな……」
「ん? この子、どうかしたんか?」
文雄
「みゅう。久しぶりにこの人格が出て来たようだな」
観楠
「どういうことです? 文雄さん」
文雄
「つまりだな。竜胆ちゃんが言うには、彼女の守護霊的存 在なんだそうだ」
「さっぱりわからへんな(笑)」
文雄
「これこれ、説明は終わっていない。その守護霊的存在が、 彼女の前世の人格なんだそうだ」
剽夜
「つまり、あきりんは二重人格なのだ。興味深い……」
「なんか、言葉遣いがえらそうやな」
ラーフィス
「君ほどではないだろう。私の場合はクールなのだ」
「どうでもええけど、適応早いな(笑))」
ラーフィス
「柔軟な頭脳の持ち主といってくれたまえ……ん?」
素子
「店長ぉ。コーヒー入りましたよ。みなさんもどうぞ」
観楠
「ありがとう、素子ちゃん」
ラーフィス
「よく見ると、君、眼鏡をとったらかなり可愛いんじゃな いか? どうだろう、私と一緒に午後のお茶でも……」
素子
「? 竜胆さん? どうかしました?」
「(笑) 気ィつけた方がええで。この子、エスカレーター 式の女子校出身やさかいな。 男より女の子に手ェだすかも(笑)」
素子
「(赤面) な……え、遠慮しときますね、竜胆さん(^^;)」
ラーフィス
「つれないこと言わないで。私はただ、君と素敵な午後の ひとときをすごしたいだけなんだ……(手を取る)」
観楠
「あわわ。素子ちゃんに何かあったら、親御さんに申し訳 が……ね、ねえ竜胆ちゃん、今日はそのくらいにしといたら……」
「(笑) おもろいなあ。あの子、普段も面白いけど、前世 も面白いわ。こんな子、滅多におれへんで」
剽夜
「しかし、このままでは、あきりんにあらぬ疑いがかかる のでわ。さすがにそれはちょっと可哀想だ」
文雄
「だったら、君が何とかすると良い。剽夜くんは『彼』の 扱いにも慣れていそうだし」
素子
「あーん(困ってる)。店長ぉ(^^;)」
観楠
「そうだ、竜胆ちゃんは文雄さんのこと、竜王さまと呼ん でるじゃないですか。剽夜君と文雄さんで二人掛りで説得すれば……」
文雄
「みゅう。それは危険かも知れん。もし、私が実は竜王と やらでないと、ばれてしまったらどうするのかね」
剽夜
「高村さん、それで困る事でもあるんですか」
文雄
「実は竜王と呼ばれるのに慣れてしまったのだ(笑)。今か ら違う呼び方をされても、どうも違和感が……」
剽夜
「仕方ないっしゅね。私がやらねばならんようだ。あー、 あきりん」
ラーフィス
「(聞いてない)そんなに、私とお茶するのが嫌かい……?」
剽夜
「やはり、人の話を聞かないのはどっちにも共通している ようだ。あきりん、あーきりん☆ そのへんにしておいた方が良いと思うぞ」
ラーフィス
「どうして?」
剽夜
「女性を困らせるのは『真の超絶美形戦士』のする事にし ては寂しすぎると思うぞ」
ラーフィス
「……そうか、確かにそうだな。仕方ないね。今日は都合 が悪いというなら、また日を改めて誘わせてもらうよ」
剽夜
「いいぞ、それでこそ『真の超絶美形』!」
ラーフィス
「押してばかりでは駄目だからね……では、ごきげんよう、 お嬢さん(ぱたっと再び眠る)」
「おだてに弱いとは、なんか解り易くてええな」
剽夜
「あきりんもおだてには弱いっしゅ。ちょっと面倒な事で もおだてれば大丈夫。これでみなさんもアレが出て来ても大丈夫でしょう」
素子
「……? 今のは? なんだったんですか?」
観楠
「……これだけは断言しておくよ。竜胆ちゃんが言ったん じゃないから、さっきの」
素子
「……?」
竜胆
「ふわわわ。よく寝ました……」
「おはよう(笑)。 ええ夢見れたんちゃうか?」
竜胆
「んー。素子ちゃんをナンパする夢を見てました(笑)」
文雄
「……寝惚けてただけだったのだろうか?」
竜胆
「やだ、竜王様。あたし、なんか変なこと言ってました?」
「大分笑わせてもろたわ。なかなか、ええネタ持ってるや ないか」
素子
「(……竜胆さんって、やっぱりちょっと変)」
剽夜
「ところで、あきりん」
竜胆
「なぁに?」
剽夜
「前に聞いたかも知れんが、あきりんはすごくエラい女子 校卒だったよなあ?」
竜胆
「そうなの? (実感がない) まあ、そうかも知れないけ ど……」
剽夜
「いや、私は塾講をしてるから知ってるんだ。んで、そこ にいたころなんやけど……」
竜胆
「学校の成績は悪かったけど、模試の成績はよかったよ」
剽夜
「そうなのか。いや、そんなことじゃなくてだな。……ん と」
竜胆
「更ちゃんが口ごもるなんて珍しいね」
剽夜
「いや、あきりんのことだから、後輩とかに、人気あった じゃないかなって」
竜胆
「……どーゆー意味よぉ? (^^;)」
剽夜
「バレンタインとか、結構チョコレートをもらってた口じゃ ないのか?」
竜胆
「んと……6年間でのべで100個以上もらったよ。 美味し かった」
剽夜
「(やっぱりな)……そうか、興味深いデータをありがとう」
竜胆
「なんか、誤解してる? (^^;)」

ところ変わって。

大輔
「……ところで浅井ちゃん(かりかり)」
素子
「なんですか、師匠? (貼り貼り)」
大輔
「文ちゃんに聞いたんだけど……(かりかり)」
素子
「はい?」
大輔
「竜胆ちゃんにナンパされたんだって?」
素子
「な、ナンパなんてされてませんっ!」
大輔
「まあ、それはいいから(笑)。 その時のことを、詳しく 聞かせてくれないかなあ?」
素子
「(赤面)どうしてですかぁ!」
大輔
「その場にいなかった事が悔しいから(笑)。なんで私ゃ、 あの時喫茶にいなかったんだぁ! (T_T)」
亜紀
「先生? 何かおっしゃいまして? 心なしか、手がお休 みしてらっしゃるような気が……」
大輔
「い、いえ、なんでもないっすよ(^^;)。 ……んで、浅井 ちゃん。ネタになるかもしれないから、教えてくれないかなあ? (かりかり)」
素子
「……あ、あのですね……(かくかくしかじか) ……とい うわけです」
大輔
「ををっ! 面白い! そりゃ良いわ! 今度はそれで行 こう!」
亜紀
「せ・ん・せ・い? 次回作の構想を練られるのもよろし いですけど、その手がお休みしてらっしゃいますわね……?」
大輔
「き、気のせいでーす!  (しかし、竜胆ちゃんはおいし いキャラクターだなあ)」

後日、「らんらん」誌上に彼の新作読み切りが掲載された。
 その主人公のキャラクターが一部読者に好評を得、彼は読み切りで続編を描いたのだった……。



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部