エピソード52『漫画家の苦悩』


目次


エピソード52『漫画家の苦悩』

登場人物

出雲大輔(いずも・だいすけ)
漫画家で召喚絵師
本田修(ほんだ・おさむ)
超売れっ子の漫画家。大輔とは旧知の仲。

その1 立ち寄った本屋で……

本田修。小学校の時に同人誌を出し、中学校の時に、偶然応募した漫画が最優秀賞を貰い、それからありとあらゆる賞を総ナメにしてきた。
 今は週間1本、月間2本を抱える超売れっ子漫画家である。
 そんな彼が本屋に出向いた時に、偶然自分の作品で笑っている子供達を発見した。

(あっ、俺の作品で笑ってやがるぜ)
子供達
「わはははは、バカじゃねーのコイツ」
(褒められたのか……いや、しかし……)

本田修、23歳独身、職業は漫画家。

その2 ファンレター

喫茶店の中で編集者との打ち合わせが終わった修。

「うーん、ようやく終わった」
編集者
「あ、これファンレターです(ドサササササッ)」
「今回もえらく多いですねぇ……どれどれ……
手紙
『今回の[虹の先に]に感動しました。
らいむ先生がすっごくロマンチックだからきっとああいう話がかけるんでしょうね。
では、これからも頑張って下さい。追伸:らいむ先生の予想図書いてみました(下手だけど)』

そこにはロングの美化された女性の絵が、少女漫画特有のタッチで書かれていた……。

「私は男なんだ〜っ!」

本田修。PNは秋月らいむ。
 その名故に女と間違えられるのが悩みの種である……

その3 友人の……

「(プルルルルル……プルルルルル……ガチャ)あ、大輔か? 私だけど。今から飲みに行かないか? うん、丁度、原稿上げた所だし。え? おまえまだなのか? わかったよ。助っ人に行くから、な。今日は飲みに行こう」
大輔
「あ、ああ……」
「それじゃあ、いつもの場所でな」

いつもの場所に大輔が着くと、先に修が着いていた。

大輔
「お、おまえ早いな……」
「ああ、ここから電話かけたからな」
大輔
「……」
「ま、入ろうぜ」
大輔
「しかし大変だろ? そんなに忙しいと」
「そうだな。しかしそんな私が助っ人に来なければならな いおまえは相当忙しいんだろうな」
大輔
「俺はそんなに要領が良くないの」

とそのとき向こうの方で大輔達を見てヒソヒソ話をしている高校生がいる。

大輔
「おい、気付いたのかな?」
「いいじゃないかよ。ん? ファンは大事にするもんれす よぉっ!」
大輔
「相当酔ってるな……コイツは……」

そんな話をしているうちにも高校生らしき集団の中では話がついて一人の女子高校生が大輔達の方にやってきた。

女子高校生
「あ、あの……『青き空白き雲』の秋月らいむさんですよ ねっ! あ、あのサインして下さいっ!」
「おっ、いいですよぉ(サラサラとサインする)」
大輔
「(こりゃ仕方ない。次は俺か……)」

身構える大輔。ペンを受け取ろうとするが、女子高校生は大輔にはペンは渡さずにさっさとグループの中に戻っていった。
 本田修。職業は漫画家。
 その知名度故にサインをねだられるのが悩みである。
 出雲大輔。職業は漫画家。
 その知名度故にサインしたくても相手にされないのが悩みである。

大輔
「ちくしょ〜〜〜〜〜〜うっ!」



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