エピソード69『サバゲしたい』


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エピソード69『サバゲしたい』

土曜日の晴れた午後。
 ここ、ベーカリー楠では、いつものように高校生組が昼食を兼ねた居座り行為を続けていた。

三彦
「そろそろ敵中だ!全員、姿勢を低くして進め!」
岩沙
「酒井、下の警戒は任せろ。慎也! 来てくれ」
慎也
「おーけ」
三彦
「よし、上回り班は匍匐前進! 久永上等兵、来い!」
涼介
「ほいほーい」
慎也
「中段の警戒はどうする? 岩沙」
岩沙
「知らん! 適当にやっとけ!」
慎也
「あっ、前のほうでなんか動いた!」
三彦
「!……上回り班、総員警戒!! くるぞーッ、射弾回避!!」
突然床に伏せる三彦と岩沙。

素子
「あんたら……何やってんの?」
三彦
「ば、馬鹿者。帝国軍人たる者、平時に於いても常に緊張 を保つ可し。訓練は之を常日頃より行い、技量の向上に励む。これは太古神代よりの鉄則だ。よって今現在ここで訓練を行っているという次第だ」
素子
「はぁ……そこまでしてサバゲしたいの?」
三彦
「当然だ」
涼介
「だからといってなんで僕まで……」
三彦
「久永上等兵! 唯今の発言はどういう事だ!」
涼介
「いや…… だから、どうして僕までこんな事しなきゃな ら……」
三彦
「貴様、敵前逃亡を図るか!!」
岩沙
「こりゃ銃殺だな」
慎也
「うむ、いっそフルオートでひと思いに……」
岩沙
「いやいやフォックスにするという手も……」
慎也
「じゃあM60のムービングターゲットに……」
涼介
「なんでや!」
岩沙
「さあ、どれを選ぶ!?」
涼介
「ちょっとちょっと!」
慎也
「君に拒否権は無〜い。……ん? あれ?」
岩沙
「……来るぞ!」

店の表にエンジン音が響く。
 エンジン音というのは結構、電動ガンの発射音に似ているのだ。

岩沙
「射弾回避準備!」
三彦
「岩沙、敵は捕捉できるか?!」
竜胆
「……敵?」
岩沙
「おわあぁ、……姐さんか」
竜胆
「敵って何?」
三彦
「いや……その……」
岩沙
「うーむ、早くサバゲやりてぇよぉ」
竜胆
「……?」



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