エピソード70『そのころの狭淵美樹』


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エピソード70『そのころの狭淵美樹』

宗谷海峡を目前にして。辺りには何もない。
 独り佇む、美樹。ぢつはもこもこに着込んだ上に白衣姿。
 隣にあるのはは、いわゆる一つのママチャリである。

美樹
「うーむ。着いてしまった。まさかこんなに懸かるとは思 わなかったからなぁ。ふぅ。さすがに11月の北海道は寒い。
そういや、出発してから一回も連絡していなかったなぁ。電話でもするか」

しばし付近を探索。ピンクの公衆電話を発見する。

美樹
「もしもし、士堂君? むぅ、留守電か。狭淵だけど、あ、 切れた。やはり十円玉一枚では無謀であったか。うんうん」

腕を組んでしばし黙考。

美樹
「テレホンカードでかけれる公衆電話を探索すべきだな、 うん」
警官
「もしもし、何をしているんですか?」

警察手帳をキーワードに、活字検索(異能の使用)。直ちに発見。偽警官ではないようだ。

美樹
「旅行中です」
警官
「こんな真夜中の三時にかね?」
美樹
「ええ」
警官
「どこから来たんかね?」
美樹
「京都からですが」
警官
「このママチャリで? どこに泊まってきたんだね」
美樹
「適当にです……寝袋持っていますし」
警官
「……えっと、一応身分証明書か何かないかね」
美樹
「(ごそごそごそ)あ、これですね免許証でよろしいです か?」
警官
「京都市……(書き写しながら) いつ出発したんだい?」
美樹
「八月の……中頃でしたっけな」
警官
「ちょっと待ってなさいね。今、無線で連絡取るから……
ごにょごにょと無線機に向かって話をする) きみ、捜索願が出てるよ」
美樹
「え゛……(しまった、連絡はもう少しまめに取るべきで あったか)」



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