宗谷海峡を目前にして。辺りには何もない。
独り佇む、美樹。ぢつはもこもこに着込んだ上に白衣姿。
隣にあるのはは、いわゆる一つのママチャリである。
- 美樹
- 「うーむ。着いてしまった。まさかこんなに懸かるとは思
わなかったからなぁ。ふぅ。さすがに11月の北海道は寒い。
そういや、出発してから一回も連絡していなかったなぁ。電話でもするか」
しばし付近を探索。ピンクの公衆電話を発見する。
- 美樹
- 「もしもし、士堂君? むぅ、留守電か。狭淵だけど、あ、
切れた。やはり十円玉一枚では無謀であったか。うんうん」
腕を組んでしばし黙考。
- 美樹
- 「テレホンカードでかけれる公衆電話を探索すべきだな、
うん」
- 警官
- 「もしもし、何をしているんですか?」
警察手帳をキーワードに、活字検索(異能の使用)。直ちに発見。偽警官ではないようだ。
- 美樹
- 「旅行中です」
- 警官
- 「こんな真夜中の三時にかね?」
- 美樹
- 「ええ」
- 警官
- 「どこから来たんかね?」
- 美樹
- 「京都からですが」
- 警官
- 「このママチャリで? どこに泊まってきたんだね」
- 美樹
- 「適当にです……寝袋持っていますし」
- 警官
- 「……えっと、一応身分証明書か何かないかね」
- 美樹
- 「(ごそごそごそ)あ、これですね免許証でよろしいです
か?」
- 警官
- 「京都市……(書き写しながら) いつ出発したんだい?」
- 美樹
- 「八月の……中頃でしたっけな」
- 警官
- 「ちょっと待ってなさいね。今、無線で連絡取るから……
ごにょごにょと無線機に向かって話をする) きみ、捜索願が出てるよ」
- 美樹
- 「え゛……(しまった、連絡はもう少しまめに取るべきで
あったか)」
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