エピソード72『グラス』


目次


エピソード72『グラス』

例によって……

竜胆
「ごめんなさいっ(ふかぶか)……だから、岩沙、あんたが!」
琢磨呂
「だから、姐さんがよ!」
観楠
「(ぷっちーん)……竜胆ちゃん、琢磨呂くん……(ゴゴゴゴ)」
竜胆
(はっ、店長さんの殺気が……)
琢磨呂
(や、やべえ。姐さんと言い合ってる場合じゃねえ)
竜&琢
「ごめんなさいっ。あたし(僕)が悪かったです」
竜胆
「ごめんなさい、岩沙! (^^;)」
琢磨呂
「オレの方こそ、だぜ、姐さん! (^^;)」
竜&琢
「ほら、仲直りっ☆(肩を組む)」
観楠
「……じゃあ、仲直りしたことだし、二人仲良く後片付け してくれるかなぁ?」
竜&琢
「はーい☆」
観楠
「じゃぁ、琢磨呂君はテーブル起こして、整理してね。竜 胆ちゃんは……トレイの点検をしようか、僕もやるから」
素子
「店長〜 箒とちりとりもってきましたぁ」
観楠
「ん。じゃ、割れたグラスよろしく…… 気ぃ付けてね」
素子
「♪るーるーるーるーる(はきはき)、るるるるるるーる(が ちゃがちゃ)、るー……‥痛っ!」
竜胆
「ん、モコちゃん?」
素子
「え、あ、何でもないです。ちょっと指切っただけです」
観楠
「指切った? そりゃいけない」
三郎
「……そりゃ大事な商売道具」
素子
「あ、大丈夫ですよ。たいしたことありませんから。ほら、 もう血も止まりかけてますし」
観楠
「えーと、ばんそうこうは……」
素子
「あ、ほんとにいいですから」
観楠
(手をとる)
素子
(ぼっ!)「ふにゃっ!」
観楠
(くるペタッ)「これでよし。やっぱり僕がやった方が良かっ たかな」
素子
「え、あ、う、わ、私の不注意ですから、そんな店長のせ いみたいに言わないで下さいよぉ。あ、じゃ私ガラス捨てて来ますね」
琢磨呂
「店長もすみにおけんな……」
竜胆
「モコちゃん顔まっかっか……なる。そういうことなのね」
観楠
「ん、なに?」

たしか「素子は店長が好き」ってのは由加梨ちゃんしか知らなかったはずだぁ。

翌日

琢磨呂
「てんちょー、昨日のグラスを破戒した件だが、ちょっと 悪かったかなぁ〜……すまん」
観楠
「ちょっとじゃない!」
素子
「BB弾掃除するの、大変だったんだからね」
琢磨呂
「素子よぉ、そりゃねぇだろう? 銃剣振り回して格闘戦 やらなかっただけマシと思えよ」
素子
「そんな危険なもの持って入ってこないようにすればいい じゃない」
琢磨呂
「……そうは言っても、護身用兵器と言うものはだなぁ……
ナイフコンバットと護身用武器について説教開始する事10分) ハッ! これではまりまり氏ではないか……」
素子
「ハイハイ……護身とやらの大切さが、よぉ〜っく分かっ たわよ」
 琢磨呂 ;「じゃぁ、この銃剣は何という?」
素子
「え、こ、これ?」
琢磨呂
「やっぱ話を聞いてなかったか……(T_T)」
琢磨呂
「とにかく、てんちょー、ちゃんとグラス持ってきたから、 な」
観楠
「えっ? 割った分をちゃんと持ってきてくれたのかい?」
琢磨呂
「ええ、一応責任ってもんがありますから・……」
観楠
「いやーさすが琢磨呂君だ。目茶苦茶やってるようで、結 構きちっとしてるんだね。どうもありがとう」
素子
「……いつもの岩沙からじゃ考えられないわね」
琢磨呂
「オイ……2人とも、フォローになってないぞ」
観楠
「……そのグラス、やっぱり、いいよ。気持ちだけで十分 だから」
琢磨呂
「え、ホンとですか?」
観楠
「学生の君からもらうというのもなんだし。その代わりと 言っちゃぁなんだが、もう喧嘩しないでくれないか? 店の中で」
琢磨呂
「……そればっかりは姐さんしだいだと思うが……前向き に善処しましょう」
竜胆
「岩沙がいらんこと言わなければ、あたしはおとなしいん だから」
素子
「……ぷぷっ」
竜胆
「も、モコちゃん、なんで笑うのよぉ」
素子
「さあ、なんででしょうね」
観楠
「まあ、二人とも、喧嘩しなければ、来てくれるのは大歓 迎だから」
竜胆
「店長さん……(じーん)、店長さん、やっぱりいい人です ね……(モコちゃん、おいでおいで)」
素子
「なんですか?」
竜胆
「(小声)見る目は間違ってなかったね☆」
観楠
「よろしい! それでは、今日の所はこれにて釈放だ(笑)」
琢磨呂
「じゃ、これ持ってかえらせてもらいますね。すいません!」
素子
「じゃぁね」

……1分後。

琢磨呂
「うおおおおおおお! 嬉しいぞぉぉ〜〜〜! さすがて んちょー! 『金がなかったから紙コップだけど、気持ちだけ受け取ってください』と言おうと思ってたのに、こんな結末にしてくれるとは……嬉しいぞぉ〜〜」
竜胆
「あの、コレ……」
観楠
「え? グラスだ……」
竜胆
「その、給料日前で、お金ないんで、その、モスバーガー でもらったグラスなんですけど……」
観楠
「その、気持ちだけで十分だよ。竜胆ちゃん」
竜胆
「……(T_T)。店長さん……やっぱり、いい人なんですね ……人の人情が身に染みるぅ(T_T)」

その後ベーカリーにて。

素子
「なんか、岩沙のかばん、グラスにしてはやけに軽そうじゃ なかったですか?」
観楠
「ん? きのせいじゃないかな?」



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部