- 竜胆
- 「今日はスニーカー文庫の発売日だ(手帳を見てる)。冴木
忍の新刊が出てるな……買うしか。あ、あった。ラス1ぃ」
- 妖しい男
- (ひょい)
- 竜胆
- 「ああっ! それ、あたしが買おうと思ってたのに……」
- 妖しい男
- 「はやいもの勝ちだ。わるいな」
- 竜胆
- 「ううっ、くやしーっ(T_T)」
- 妖しい男
- (変な女)
- 竜胆
- 「うう、やっと買えたぁ。……あっ、コンプRPGがっ!
買うしか……」
- 妖しい男
- (ひょい)
- 竜胆
- 「だあ! またあんた? あたしになんか恨みでもあンの?」
- 妖しい男
- 「いや、ないぞ。すまないな。タイミングが悪いと言う事
で」
- 竜胆
- 「うう、くやしい……残りは……一番上の棚だぁ(泣)」
- 妖しい男
- 「届きそうに無いな。取ってやろう(ひょい)。ほら」
- 竜胆
- 「うう、ありがとぉ……」
- 妖しい男
- 「何も泣くことはないだろう。変な子だな」
- 竜胆
- 「泣きもするわよぉ」
- 妖しい男
- (まずいな、この状況は。私が泣かせたみたいでわないか)
- 竜胆
- 「うー、えぐえぐ」
- 妖しい男
- 「(小声)名前は知らんが、泣くなよ……なんかおごってや
るから」
- 竜胆
- 「うん(あっさり)」
- 妖しい男
- 「……切り替えの速い……(^^;)」
- 竜胆
- 「ごちそうになっちゃったわね。ありがと」
- 妖しい男
- 「まったく。とんだ出費だ」
- 竜胆
- 「あんたがいちいちあたしが買おうとしてるもんに、手を
出すから」
- 妖しい男
- 「理不尽な言い方だな。それは、共通の嗜好を持つ人間が、
同時に行動を起こした結果ではないか」
- 竜胆
- 「同時にしては、いちいちあんたが先にブツを手にしてる
んだけど」
- 妖しい男
- 「それは、私の方が手が長いからな」
- 竜胆
- 「身長が高いからでしょっ」
- 妖しい男
- 「その通りだ。身長の差分、手も足も長いのだ」
- 竜胆
- 「……それにしても」
- 妖しい男
- 「何かね。変な女の子」
- 竜胆
- 「変って、あたしのどこが変なのよっ」
- 妖しい男
- 「言動全て……どうひいき目に見ても、変だが」
- 竜胆
- 「……あんたの雰囲気も、十分変だけどね」
- 妖しい男
- 「私のどこが妖しいと言うのだ!」
- 竜胆
- 「全部」
- 妖しい男
- 「……口の達者な女だ」
- 竜胆
- 「そのまんまお返しするわよっ」
- 妖しい男
- 「……」
- 竜胆
- 「……」
- 竜胆
- 「ここかあ……なんか、緊張するなあ……他にも、女の子
の新入会員、いればいいんだけど(エレベーターのスイッチをポチっとな)」
- 妖しい男
- 「ここか……なんか緊張するのだ……ん? エレベーター
の前に、人がいるな……すいません、ASF TRPG研究会の方ですか」
- 竜胆
- 「はい、新人ですけど……って、あんたわ!」
- 妖しい男
- 「変な女!」
- 竜胆
- 「変とわなによっ。あたしにはねえ、豊秋竜胆っていう可
愛い名前があるんだから」
- 妖しい男
- 「私にも更毬剽夜というかっこいい名前があるぞ」
- 竜胆
- 「……ここまで顔合わすのも、何かの縁ね……よろしく、
更毬君(ジト)」
- 剽夜
- 「……こちらこそ、な。豊秋さん(ジト)」
- 竜胆
- 「それにしても、まさか同じサークル入ろうとしてたなん
て……」
- 剽夜
- 「それについては同感だ」
- 竜胆
- 「どーゆー風に?(ジト)」
- 剽夜
- 「それは秘密だ」
- 竜胆
- 「……更毬、くんだったっけ」
- 剽夜
- 「そうだぞ。豊秋さんとやら」
- 竜胆
- 「キミみたいな人が、冴木忍読んでるなんて意外だわ」
- 剽夜
- 「キミみたいな子がコンプRPG買ってるのにも驚いたがな」
- 竜胆
- 「女の子がTRPGやって悪いってェの?」
- 剽夜
- 「いちいちつっかかるな。別に悪いとは言ってないぞ」
- 竜胆
- 「じゃあ、どーゆー意味ィ?」
- 剽夜
- 「普通、女の子一人じゃなかなかやったりしないもんだか
らな」
- 竜胆
- 「あいにく、あたしは普通の女の子の範疇に収まらない、
ビッグな人間なの」
- 剽夜
- 「単に変わってるといった方が……」
- 竜胆
- 「……いちいちしゃくに触るぅ」
- 剽夜
- 「そっちが一方的に突っかかって来てるだけだろう。それ
に第一、私は2回生だ。君は1回生だろう? もうちょっと年上に対する言葉遣いというものをだな」
- 竜胆
- 「現役?」
- 剽夜
- 「そうだが」
- 竜胆
- 「何学部?」
- 剽夜
- 「工学部……ああ、私は暁工科大だから」
- 竜胆
- 「よかった。あたし、紅雀院だもん。学内で顔合わせたり
したら、喧嘩になりそうだし……現役?」
- 剽夜
- 「そうだが」
- 竜胆
- 「ちょっと、耳貸しなさい。(小声) あたしとタメじゃな
いの。年上ぶらないでよ」
- 剽夜
- 「(小声) じゃあ、一浪なのか、豊秋さん」
- 竜胆
- 「(赤面) 好きでしてたんじゃないっ」
- 剽夜
- 「時に、エレベーターが来たぞ。乗らないのか」
- 竜胆
- 「乗るわよっ」
- 竜胆
- 「言っとくけど、敬語使わないからねっ」
- 剽夜
- 「いらないよ。普通に喋ってくれていいぞ」
- 竜胆
- 「……ところで、なんで、冴木忍、読んでるの?」
- 剽夜
- 「……それはだな……(うんぬんかんぬん) わかったか」
- 竜胆
- 「感性はまともなのね(エレベーターを下りる)」
- 剽夜
- 「(同じく下りる) ああ。まともだぞ」
- 竜胆
- 「あ、エレベーター来た」
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