エピソード88『緑、戦闘開始』


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エピソード88『緑、戦闘開始』

街を歩く緑。

「うーんと、ここを行くと駅のようですねぇ」
「ふぅ、疲れたですぅ。全くパパったら土地勘を得てこい だって。軍隊の訓練じゃないんだからアイザックの3Dデータでいいのに」
「さて、次はどこに行こうかなぁ……と、駅前にでも行っ てみますか」
ISSAC
「Pi! Dr.水島より緊急信号をキャッチ」
「ん、パパから? また何か失敗作でも作ったのね」
ISSAC
「回線開きます」
孝雄
「おお、緑か……うきゃきゃきゃきゃきゃきゃ」
「全く今度はなに?」
孝雄
「いやぁ、なに。ちょっと家のセキュリティシステムを突 破されてな」
「セキュリティって……パパの作った『ドツボくん』が突 破されたのっ?」
孝雄
「まぁ、そういうわけだ……うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「だって、いったい誰がっ?」
孝雄
「オリジナルのストーカー」
「……」
孝雄
「……」
「(ブチッ) なんで3重にプロテクト掛けたストーカーが 起き出すのよっ。さてはまた何か実験を……」
孝雄
「いやぁ、なに。どーも研究室の馬鹿どもがワシのパスワー ドを使って操っているだけだ。うきゃきゃきゃ」
「なんでパスワードをその研究室の人が持ってるのよ」
孝雄
「いや、メモを机の上に忘れてきたようでのぉ」
「それで、私になにをしろって言うの?」
孝雄
「緑はなにもすることは無いぞ、ただどうやらあの研究員 たちは操作を誤ったようでのぉ。操作不能に陥ったあげくターゲットは緑に固定されてしまってるのだよ。うきゃきゃきゃきゃ」
「そ、それって危険なんじゃ……」
孝雄
「ぢゃっ、そういうことで」
「ちょっと、パパっ」
ISSAC
「回線切れました」
「ISSAC? 戦闘モードにはいるわ、あとストーカーのデー タをちょうだい」
ISSAC
「了解、戦闘モードに移行します」

そのころストーカーは……

ストーカー
「GPS機能回復、ターゲットをサーチ……発見。撃破すル」

一方、緑は……

「ISSAC? ストーカーのナンバーは分からないの?」
ISSAC
「ナンバーによって変化。ただしすべてのストーカーは冬 眠時すべての兵装及び機能は凍結・排除されています」
「運動性能は?」
ISSAC
「ナンバーによって変化。唯一あるプロトタイプのデータ ではすべてにおいて緑の0.5倍程度」
「あ、結構弱いかも……」
ISSAC
「油断はしない方がいい」
「う、うん。とりあえず人通りのないところに行ったほう がいいよね(汗)」
ISSAC
「この辺が適当だ」
「了解……」

視界にアップされているマップを頼りに歩く緑。
 やがて緑は人気のない細い路地に入り込む。

「ふぅ、パパって……いつになったらあの変な発明やめる んだろう」

ぶつぶつと独り言を言いながらその辺の物に膝を抱えて座り込む緑。
 やがて日も暮れ始める。

「ストーカー……遅いなぁ」
ISSAC
「Pi! センサーに反応! 迎撃せよ」
「ええっ、どこっ……上かぁっ!」
ISSAC
「回避せよ」
「くっ」

緑が横に転がると同時に今まで緑が居たところに黒い物体が落ちてくる。
 少しほこりが立ったがしばらくするとそれも収まり、黒い物体は1.8mほどの人型を緑の眼前に表した。

「対象をサーチ、分析してっ」
ISSAC
「了解、2秒待て」
ストーカー
「NO.00『MIDORI』ヲ補足、破壊すル」
「戦闘開始……ね」
ISSAC
「分析完了、対象はNO.02。武装は両腕のパルスナックルの みと予想されます」
「インパクトブレーカーの用意をして。10秒で片付けるわ」
ISSAC
「了解」

まず最初にストーカーが動く、両手をだらりと下げたまま緑に突進する。

ISSAC
「強力なECM! 軽微だが機能障害が発生」
「うそっ、そんな機能が」

そうつぶやく間にもストーカーから拳が突き出される。
 ECMのせいでストーカーをトレースしている画像が乱れる。

「ええい、一発食らってやるぅ」

どしんと言う衝撃が緑の体に響く、それは予想以上の衝撃だった。
 普通の人間が受けていたら間違いなく意識を失っていただろう。

「けほっ、予想以上……みたいですね」
ISSAC
「ストーカーのバランスが崩れた! マークしたところを 打て」
「ええい、これで終わりですぅ」

第2撃を加えようとしていたストーカーに対して半ばカウンター気味に入る緑の拳。それはストーカーのエネルギー源であるバイオコアを的確に打ち砕く。

ストーカー
「バイオコア……破損。バックアップモード……へ、機能 ……停止」

ストーカーはその第2撃を加えようと腕を振り上げた状態で機能を停止した。

「さて、これは……どうやって持って帰ろうか(汗)」



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