エピソード90『ごめん朝さん!』


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エピソード90『ごめん朝さん!』

岩沙琢磨呂は今、幸せだった。豊秋竜胆と2人だけの甘い時を過ごし、通り過ぎる世俗の時間なぞ、もう関係はないと言い切れるほどの充実した日々を送っていた。望んだ愛とは、これほどまでに素晴らしいものなのであろうか……そんな永遠に続くかのような日々を破壊されたら、人はどう言う行動に出るであろうか? 

琢磨呂
「(ピンポーン) おーい、リン!(ピンポンピンポンピンポー ン!) リン、早く開けて……ったく、しょうがない奴だなぁ……またTVでもみながら寝たのかな? あれほどカゼ引くからやめとけっていっておいたのに」

ふとドアノブに手を掛けると開いていることが分かった

琢磨呂
「戸締まりもしてないだと!? お説教だァ〜 (ドアを開け る) おーい、リン!?(リビングを覗く)リン!?(バスルームを覗く)……いない? どこいったんだ? 買物かな? 
突然遊びにくる俺も俺だが、かぎ開けたまま出かけんなよなァ〜……まぁ、俺の合鍵で閉めてもいいんだが、それじゃぁリンが入れなくなるな……しばらく待ってよっと」
琢磨呂
「さて、風呂でも……!? ……こ、これは!」

先程は気がつかなかったが、玄関に竜胆の靴がある。それも、普段使っているもの3種類と、礼服用の1種類……完全に揃っている。

琢磨呂
「靴がすべてあって、鍵は開いたまま……話は繋がってき たようだな…… (銃を出してマガジンをニトロ弾に入れ替える)」

その時、窓の下から車の音がした。

琢磨呂
「!!(窓に飛び付く)……白の92年型スカイライン……南西 方向へ逃走……国道112ヘ侵入の可能性大」

その瞬間、琢磨呂は竜胆のバイクのカギがしまってある引き出しをあさり、キーホルダーをつかみ出して走り始めていた……

琢磨呂
「リンにしては珍しく、燃料満タン……OKだ(発進)」 「前方スカイライン……奴か!?」「……そうこう言ってるうちにローソン侵入か……」「……パイロットは男か……奴と決まったわけじゃないからな、慎重に……(その瞬間男の横顔が見える)……え? なんだ、朝さんかよ……遊びに来て、居なかったから帰ったって奴か! くおおおおおっ! 骨折り損だぜ……俺も豚マンでも買って帰るか……」

琢磨呂は、日阪朝の後を追うようにローソンに入ろうとして、偶然覗きこんだ日阪朝のスカイラインを見て驚愕した。

琢磨呂
「! 後部座席に……女……睡眠中……リン!? 日阪さん が? そんな馬鹿な……」
「さて、あとは家に帰って寝るだ……け…… (手に持って いたローソン袋をおとす)……い、岩沙君……」
琢磨呂
「朝さん……(目が恐い)」
「……じつは、これには……」
琢磨呂
「車……車に……乗れ(左胸に手を入れて威嚇する)」
「いや、その」
琢磨呂
「しゃべる前に車に乗れ」
(無言で乗る)
琢磨呂
(後部座席に乗る)「(朝の頭に銃を突きつけて)黙って佐伯 台の廃工場の駐車場までいけ」
「(ここはおとなしくしたがった方がいいな……)」

目的地に到着する。それまでの間、琢磨呂は朝の頭からピクリとも動かなかった。

「つ、ついた……」
琢磨呂
「動機がどうあるのかなぞ、聞きたくない……貴様がやっ たことは、俺への宣戦布告行為だ……貴様がどう思っていようとな……」
「ちょっと話させてくれへんか?」
琢磨呂
「聞きたくないと言ったはずだ」
「……(くそう)」
琢磨呂
「以後、気をつけろ……わかったな (薬物投与で眠ってい る竜胆を抱きかかて車外に出る)」

その後、目が覚めた竜胆から事情を聞き、そのあまりの内容に怒り頂点に達した岩沙は、ボタンを押した。ほぼ同時に、家に帰る途中であった朝の車輌が爆破炎上、奇麗に消え去ってしまった。帰り際に運転席の下に琢磨呂が仕掛けた爆弾によって……

琢磨呂
「また友達を一人消してしまった……」
琢磨呂
「(目が覚める) うおおおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおお! ゆ、夢だったのか? いやにリアルな (朝に電話かける)」
「おう。琢磨呂君やないか。どないしてん?」
琢磨呂
「ハァ……生きてたか……いや、なんでもないっす。じゃ」
「(ツーッ、ツーッ) 変な琢磨呂君やな」
琢磨呂
「……し、しかしリアルな夢だったな……でも、姐さんの ことリンなんて読んじゃって……(-.-;)デヘ」



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