- 音祇
- 「はぁ。今日も師匠の家で掃除かぁ……」
- 謎の女
- 「あ、あの」
- 音祇
- 「(うわぁ。結構可愛いな)はい? なんでしょうか?」
- 謎の女
- 「正正正という人の家を教えて欲しいんですけど……」
- 音祇
- 「 (師匠に一体なんのようだろ? もしかしたら怪しい奴
かもしれない。よく観察するんだ)
女をジーッと見ている音祇。
- 謎の女
- 「(見られている事に気付く)あ、あの……?(赤面)」
- 音祇
- 「あ、はい?」
- 謎の女
- 「聞いてました?」
- 音祇
- 「あ、はぁ。師匠の家の場所ですね」
- 謎の女
- 「師匠? あっ、貴方が音祇さんですね?」
- 音祇
- 「え? どうして僕の名前を?」
- 謎の女
- 「兄から聞いていました」
- 音祇
- 「とすると……貴方は……?」
- 謎の女
- 「はい。私、正正正の妹で正正美晴といいます」
- 音祇
- 「そうだったんですか。じゃ、案内しますから……」
- 音祇
- (チャイムを押す)
……
- 音祇
- 「なんか留守のようですね。僕、鍵持っているので入りま
しょう」
- 美晴
- 「あ、はい」
- 音祇
- 「お茶でもいれましょうか?」
- 美晴
- 「いただきます」
- 美晴
- 「おいしい。入れ方うまいですね」
- 音祇
- 「いやぁ。いつも師匠で鍛えられていますから」
- 美晴
- 「いつもこんなことをさせているんですか?」
- 音祇
- 「(あっ、ヤバ)いや、そんなことはないんですよ。ほら、
僕世話好きだから。自主的にやっているんですよ」
- 美晴
- 「そうですか、それなら良かった。兄はわがままで……」
- 音祇
- 「そうですかぁ(わかるなぁ。その気持ち)」
チャイムの音が響く
- 音祇
- 「あっ、きっと師匠ですよ。ちょっと待っててくださいね」
- 正
- 「どうした? そんなに慌てて」
- 音祇
- 「師匠の妹さんが来てますよ」
- 正
- 「んっ!? そうか……美晴来てるのか」
- 音祇
- 「いま、奥に待たせてますから(引っぱる)」
- 正
- 「い、いや。いいよ。どうせ、た、たいした用じゃないだ
ろうから……」
- 音祇
- 「何を言っているんですか。ほらほら(引っぱる)」
- 正
- 「いや、いいって。そうだ! 私は用事があったんだ!
それじゃ……」
- 美晴
- 「なにか騒がしいですね。どうかしました? 音祇さん?」
- 音祇
- 「あ、美晴さん」
- 正
- 「……おお! 妹よ!(美晴に駆け寄る)」
- 美晴
- 「あ、お兄ちゃん!」
- 正
- 「懐かしいな!!(美晴を抱きしめる)」
- 美晴
- 「え? ああ、うん……」
- 音祇
- 「美しい兄弟愛だなぁ(しみじみ)」
- 正
- 「(小声)なにしにきた?」
- 美晴
- 「(小声)知りたい?」
- 正
- 「(小声)さっさと帰れ」
- 美晴
- 「(小声)ちゃんとした用事はあるって」
- 正
- 「(小声)いいから、帰れ」
- 美晴
- 「(小声)まあ、聞きなよ」
- 正
- 「(大声)おい。音祇。帰るそうだ。エスコートしてくれ」
- 音祇
- 「え? そうですか? 仕方ないなぁ。今度はゆっくりし
ていってくださいね」
- 正
- 「美晴。おまえはホテルに泊まっているのか?」
- 美晴
- 「ええ」
- 音祇
- 「じゃあ、そこまで送っていきますよ」
- 美晴
- 「ありがとう」
- 正
- 「じゃあな」
- 音祇
- 「じゃあ、師匠。送っていきますので」
- 正
- 「行ったな……。早くパスポートを用意して海外へ逃げな
ければいけない! ちくしょう……美晴のヤロ〜! えーっとパスポートは (後頭部に何かをおしつけられているのがわかる)……は、ははははは。 一体なんの冗談だい? 美晴?」
- 美晴
- 「冗談じゃないわ。貴方の頭におしつけてある、その銃。
実弾が入っているわ」
- 正
- 「(両手を頭に持っていこうとする)音祇はどうしたんだ?」
- 美晴
- 「安心して。私は必要時以外は殺しはしないの。いまごろ
目を覚ましているころかしら?」
- 正
- 「で、なんだい? 用件は?」
- 美晴
- 「やっと聞く気になったわね」
- 正
- 「逆らっても寿命を縮めるだけだ」
- 美晴
- 「懸命な選択ね。じゃ、用件は……」
- 音祇
- 「うーん…… はっ、どうして僕はここに……? 頭がク
ラ〜っとなって……師匠が危ない!」
- 美晴
- 「用件を言うわ。ここで住まわせてほしいの」
- 正
- 「ふ、ふふざけるなよぉ! ここは私の家だぞ! え!?
そんなことを私が許すわけがないだろう! え!」
- 美晴
- 「 (黙って銃を天井に向かって撃つ。蛍光灯が派手に割れ
:る音がする)これでも?」
- 正
- 「ず、随分と姑息て手を使うじゃないか」
- 美晴
- 「ね、お兄様ぁぁん(色っぽい声)」
- 正
- 「いくら私が女癖が悪くても実の妹に手をだしたりはしな
いぞ」
- 美晴
- 「 (再び銃を近くの花瓶に向けて撃つ。粉々に粉砕される
花瓶) あんたの頭もこーなるわよ。私は気が短いんだからさっさとOKといわないと撃つよ」
- 正
- 「なんでまた日本へきたんだ?」
- 美晴
- 「え? べ、べ、べつに用なんてないわよ(かなり動揺)」
- 正
- 「何があるんだ?」
- 美晴
- 「(不意に)うっさいわねぇ! あんまりしつこいとどてっ
腹に鉛の弾打ち込むぞぉ!!( そう言って正の腹の近くに撃つ)」
- 正
- 「まあ、なんだな。ホテルで生活しろ別に家じゃなくても
いいだろ? なぁ」
- 美晴
- 「そいうわけにはいかないの!」
- 正
- 「じぁあ金は出してやるからホテルで生活してくれ」
- 美晴
- 「がたがたぬかさずにさっさと、いい、って言いやがれ!!
銃を正に向けようとする)」
- 音祇
- 「師匠! 大丈夫ですかっ!!」
- 美晴
- 「!!(銃を正に投げる)」
- 正
- 「うわっ! と……」
- 音祇
- 「し、師匠……」
- 美晴
- 「まぁ、怖い。お兄様ったらそんな危ないものを持ち出し
て」
- 正
- (我が妹ながら見事な変わり身の速さだな)
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