エピソード96『謎の女』


目次


エピソード96『謎の女』

下校時

音祇
「はぁ。今日も師匠の家で掃除かぁ……」
謎の女
「あ、あの」
音祇
「(うわぁ。結構可愛いな)はい? なんでしょうか?」
謎の女
「正正正という人の家を教えて欲しいんですけど……」
音祇
「 (師匠に一体なんのようだろ? もしかしたら怪しい奴 かもしれない。よく観察するんだ)

女をジーッと見ている音祇。

謎の女
「(見られている事に気付く)あ、あの……?(赤面)」
音祇
「あ、はい?」
謎の女
「聞いてました?」
音祇
「あ、はぁ。師匠の家の場所ですね」
謎の女
「師匠? あっ、貴方が音祇さんですね?」
音祇
「え? どうして僕の名前を?」
謎の女
「兄から聞いていました」
音祇
「とすると……貴方は……?」
謎の女
「はい。私、正正正の妹で正正美晴といいます」
音祇
「そうだったんですか。じゃ、案内しますから……」

正正正宅にて

音祇
(チャイムを押す)

……

音祇
「なんか留守のようですね。僕、鍵持っているので入りま しょう」
美晴
「あ、はい」
音祇
「お茶でもいれましょうか?」
美晴
「いただきます」
美晴
「おいしい。入れ方うまいですね」
音祇
「いやぁ。いつも師匠で鍛えられていますから」
美晴
「いつもこんなことをさせているんですか?」
音祇
「(あっ、ヤバ)いや、そんなことはないんですよ。ほら、 僕世話好きだから。自主的にやっているんですよ」
美晴
「そうですか、それなら良かった。兄はわがままで……」
音祇
「そうですかぁ(わかるなぁ。その気持ち)」

チャイムの音が響く

音祇
「あっ、きっと師匠ですよ。ちょっと待っててくださいね」
「どうした? そんなに慌てて」
音祇
「師匠の妹さんが来てますよ」
「んっ!? そうか……美晴来てるのか」
音祇
「いま、奥に待たせてますから(引っぱる)」
「い、いや。いいよ。どうせ、た、たいした用じゃないだ ろうから……」
音祇
「何を言っているんですか。ほらほら(引っぱる)」
「いや、いいって。そうだ! 私は用事があったんだ!  それじゃ……」
美晴
「なにか騒がしいですね。どうかしました? 音祇さん?」
音祇
「あ、美晴さん」
「……おお! 妹よ!(美晴に駆け寄る)」
美晴
「あ、お兄ちゃん!」
「懐かしいな!!(美晴を抱きしめる)」
美晴
「え? ああ、うん……」
音祇
「美しい兄弟愛だなぁ(しみじみ)」

抱きあった二人のひそひそモード

「(小声)なにしにきた?」
美晴
「(小声)知りたい?」
「(小声)さっさと帰れ」
美晴
「(小声)ちゃんとした用事はあるって」
「(小声)いいから、帰れ」
美晴
「(小声)まあ、聞きなよ」
「(大声)おい。音祇。帰るそうだ。エスコートしてくれ」
音祇
「え? そうですか? 仕方ないなぁ。今度はゆっくりし ていってくださいね」
「美晴。おまえはホテルに泊まっているのか?」
美晴
「ええ」
音祇
「じゃあ、そこまで送っていきますよ」
美晴
「ありがとう」
「じゃあな」
音祇
「じゃあ、師匠。送っていきますので」

数分後

「行ったな……。早くパスポートを用意して海外へ逃げな ければいけない! ちくしょう……美晴のヤロ〜! えーっとパスポートは (後頭部に何かをおしつけられているのがわかる)……は、ははははは。 一体なんの冗談だい? 美晴?」
美晴
「冗談じゃないわ。貴方の頭におしつけてある、その銃。 実弾が入っているわ」
「(両手を頭に持っていこうとする)音祇はどうしたんだ?」
美晴
「安心して。私は必要時以外は殺しはしないの。いまごろ 目を覚ましているころかしら?」
「で、なんだい? 用件は?」
美晴
「やっと聞く気になったわね」
「逆らっても寿命を縮めるだけだ」
美晴
「懸命な選択ね。じゃ、用件は……」

道端で倒れている音祇

音祇
「うーん…… はっ、どうして僕はここに……? 頭がク ラ〜っとなって……師匠が危ない!」

正正正宅 美晴に銃を突きつけられている正

美晴
「用件を言うわ。ここで住まわせてほしいの」
「ふ、ふふざけるなよぉ! ここは私の家だぞ! え!?  そんなことを私が許すわけがないだろう! え!」
美晴
「 (黙って銃を天井に向かって撃つ。蛍光灯が派手に割れ :る音がする)これでも?」
「ず、随分と姑息て手を使うじゃないか」
美晴
「ね、お兄様ぁぁん(色っぽい声)」
「いくら私が女癖が悪くても実の妹に手をだしたりはしな いぞ」
美晴
「 (再び銃を近くの花瓶に向けて撃つ。粉々に粉砕される 花瓶) あんたの頭もこーなるわよ。私は気が短いんだからさっさとOKといわないと撃つよ」
「なんでまた日本へきたんだ?」
美晴
「え? べ、べ、べつに用なんてないわよ(かなり動揺)」
「何があるんだ?」
美晴
「(不意に)うっさいわねぇ! あんまりしつこいとどてっ 腹に鉛の弾打ち込むぞぉ!!( そう言って正の腹の近くに撃つ)」
「まあ、なんだな。ホテルで生活しろ別に家じゃなくても いいだろ? なぁ」
美晴
「そいうわけにはいかないの!」
「じぁあ金は出してやるからホテルで生活してくれ」
美晴
「がたがたぬかさずにさっさと、いい、って言いやがれ!! 
銃を正に向けようとする)」

同時刻 正正正宅に到着した音祇

音祇
「師匠! 大丈夫ですかっ!!」
美晴
「!!(銃を正に投げる)」
「うわっ!  と……」
音祇
「し、師匠……」
美晴
「まぁ、怖い。お兄様ったらそんな危ないものを持ち出し て」
(我が妹ながら見事な変わり身の速さだな)



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