エピソード108『キスしよっか?』


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エピソード108『キスしよっか?』

それはある日常的な光景だった。剽夜と竜胆はこたつに入りながらエヴァの15話を見ていた。見終ると、剽夜は竜胆に向き直ってこう言った。

剽夜
「ねぇ、あきりん。キスしよっか?」
竜胆
「えっ、なに?」
剽夜
「キスよ、キス。聞こえなかった?」
竜胆
「えっ、どうして?」
剽夜
「退屈だから」
竜胆
「えっ、キスってそんなぁ……」
剽夜
「金魚の命日に男の子とキスするのイヤ? 天国から見て るかもしれないからって」
竜胆
「べつに」
剽夜
「それとも怖い?」
竜胆
「うん、だって、更ちゃん、アスカはいってるもん(^_^;」
剽夜
「気にしない、大丈夫。息止めたりはしないから……。そ れとも私の事嫌い?」
竜胆
「そんなことはないけど……」
剽夜
「じゃぁ、しよう」

剽夜は身を乗り出すと、竜胆の顔の前で、いったん顔を止めてからおもむろに唇を奪う……しばらくして、二人の影は離れた。

剽夜
『むぅ、なかなかいいデータだ』
竜胆
(ぼ〜っ)

剽夜はそう心の中で呟くと、レポートをまとめだした。しばらくすると、まとめ終わって、鞄にしまう。

剽夜
「さぁ、まとめ終わったし、ひたるか……」
竜胆
(頭真っ白)
剽夜
「……これでいい夢が見れそうだ。あきりんもそんなとこ ろで、ぼ〜っとしてると風邪ひくぞ。じゃぁ、おやすみっ」

剽夜はそう言うと、こたつにごそごそと潜って、1分もたたずに睡眠に入った。そして竜胆は次の日学校に来なかった……。
 翌々日。竜胆の友人二人が、竜胆の家を訪れていた。

友人1
「(ぴんぽ〜ん)出て来ないね」
友人2
「寝てんのかナ? じゃ、勝手に入ろっか」
友人1
「どーやって?」
友人2
「ここに鍵があるんだよ。ほら」
友人1
「なんで持ってんの?(汗) もしかして、そーゆー関係? だったら、あたしはお邪魔かな……」
友人2
「豊秋だってあたしン家の鍵持ってるわよ? おんなじ下 宿生同士だから、なんかあった時の為にって」
友人1
「あ、そゆこと。じゃ、安心したわぁ」
友人2
「(がちゃがちゃ)豊秋ぃ、元気ぃ?」
友人1
「チョコパイとケーキ持って来たよ……アレ?」
友人2
「いないの? じゃ、上がってよっか」
友人1
「……それって結構問題あるんじゃ?」
友人2
「いつものことだから、遠慮しなくていいよ。豊秋だって、 あたしン家来る時はそうしてるしね……」
友人1
「(やっぱりこいつら妖しい……)」
友人1
「さって、ゲームでもしよっかな? 豊秋っていっぱい持っ てるから、結構遊べるのよね……」
友人2
「にしても……豊秋どこに行ったんだろ? ちょっと探し てみるわ」
友人1
「あ、ドラクエがある。やってみよ……」
友人2
「豊秋? 寝床かな……いないなぁ。もしもし?(トイレ をノック)いないなぁ。お風呂かな……(ガチャ)」
竜胆
「(ぶくぶくぶく)」
友人2
「と、豊秋! あんた何やってんの?」
竜胆
「アレ? 来てたの……見てのとーり、お風呂入ってンの」
友人2
「……どー見ても溺れてるよーだったんだけど?」
竜胆
「気のせいだって……(ぶくぶくぶく)」
友人2
「絶対気のせいじゃない! ほら、早く出なさい! あ、 あちちっ(汗)」
竜胆
「あ〜、熱いから気を付けてねぇ(ぶくぶくぶく)」
友人2
「ん〜、何バカやってんのよ! ほら、お湯抜くわよ?  さっさと出なさい!」
竜胆
「ん〜」
友人1
「あ、竜胆、お邪魔してまーす」
友人2
「まったく。豊秋ってば、もうちょっとでお風呂で溺れ死 ぬところだったんだから……」
竜胆
「(服を着ながら)単にお湯に顔付けてただけだって……」
友人2
「まったく、顔見せないからって心配して来たら、何やっ てんだか。あんたバカ?」
竜胆
「バカかもしれない……」
友人2
「まったく、ぼけてンのはいつものことだけど、今日は一 段とひどいわね。なんかあったの?」
友人1
「相談に乗るわよ……あん、ザキくらった」
竜胆
「ん〜、そんなにぼーっとしてる?」
友人1&2
「うん」
竜胆
「そっか……やっぱり、ヘンかなぁ」
友人1
「彼氏となんかあったの?」
友人2
「急に押し倒されたとか」
友人1
「それはちょっと飛躍し過ぎじゃない?(汗)」
友人2
「やっぱり? でも、彼氏となんかあったのは確実ね」
友人1
「えぇっ、じゃあついに……」
友人2
「たぶん、十中八九間違いないわねっ」
友人1&2
「で? 結局のところ、どーなの?」
竜胆
「えっと……キスされた」
友人1&2
「それでそれで?」
竜胆
「……それだけ……だと思う」
友人1
「何よ、ソレ。覚えてないの?」
竜胆
「うん……昨日一日どうしてたか、記憶ないし……」
友人2
「まさか、それだけで終わったとか……」
竜胆
「覚えてないの……」
友人1
「……豊秋って、割と免疫ないのね」
友人2
「……意外よねぇ。『り@ん』とか『なか@し』レベルよ ね」
友人1
「あんた、レディースコミックの読みすぎなんじゃない?」
友人2
「なに言ってンのよ、失礼ねぇ! あんたバカ?」
友人1
「(図星か……)」
竜胆
「(ぼ〜っ)」



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