- 豊秋竜胆
- エーテル使い。
- 更毬剽夜
- 理論魔術師。
- 更毬朱美
- 剽夜の従姉妹。符術師。
- 竜胆
- 「あはははは……ビィと仲いいのね」
- 剽夜
- 「どこがそう見えるんだ」
- ビィ
- 「あぎゃっ!(ぷいっ)」
- 竜胆
- 「じゃ、お風呂入ってくるからぁ」
- 剽夜
- 「おう、入ってくるがいいぞ。私はビィをいじめて遊んで
いるから。うりうり」
- ビィ
- 「あぎぃぃぃ(T_T)」
- 竜胆
- 「ん。ビィ? 嫌だったら電撃していいからね」
- 剽夜
- 「そんなことをしたら、この部屋の電化製品が全部駄目に
なるような気がするのだが」
- 竜胆
- 「……やっぱ、駄目。ビィ、がまんしてなさい」
- ビィ
- 「あ、あぎぃぃ(汗)」
- 剽夜
- 「さて、あきりんが風呂に入ってるうちに、電話しておく
か……(ぴぽぱ)。あ、おかあさん?」
- 朱美
- 「ぶぶー。違うよ。剽にいちゃん」
- 剽夜
- 「あ、朱美か。どうしたんだ? なぜ私の家にいるのだ?」
- 朱美
- 「剽にいちゃんこそ、どうして帰って来ないの? せっか
く来たのに……」
- 剽夜
- 「すまんすまん。大事な用事があってな。そう、大事なん
だ、とっても」
- 朱美
- 「どう大事なの?」
- 剽夜
- 「今日を逃すと、ときめき度が下がってしまうんだ!」
- 朱美
- 「? 要するに、彼女の誕生日かなんかなのね」
- 剽夜
- 「そういうことだ……彼女だとは言った覚えはないのだが」
- 朱美
- 「どう見ても彼女じゃないの(汗)。泊まり込んだりしてる
し」
- 剽夜
- 「そうなのか……まあ、大事ではあるが」
- 朱美
- 「んで? 今日は帰らないって言っておけばいいのね」
- 剽夜
- 「そういうことだ……でわ」
- 朱美
- 「あ、もしかして、あれ、渡した?」
- 剽夜
- 「あれというと、アレだな」
- 朱美
- 「あたしが渡したアレ」
- 剽夜
- 「うむ。渡すつもりだ」
- 朱美
- 「頑張ってね。そのために、わざわざ指輪を選んだんだか
ら」
- 剽夜
- 「そういうことだと思ってたぞ」
- 朱美
- 「さすがに見破られてるか……じゃね、お休み」
- 剽夜
- 「おやすみなのだ(がちゃ)」
- 竜胆
- 「ふう、いい湯だった☆ 更ちゃんも入ったら?」
- ビィ
- 「(がらっ)あぎっ☆(ざぶーん)」
- 竜胆
- 「……ごめん、ビィがあがるまで待ってね(汗)」
- 剽夜
- 「それは構わんがな。あきりん、話があるのだ、座ってく
れないか」
- 竜胆
- 「ん? なに?(座る)」
- 剽夜
- 「これをあげよう。竜胆ちゃんは頑張ったから、先生から
の御褒美だ」
- 竜胆
- 「わーい、せんせー、これ何?」
- 剽夜
- 「開けてみたまえ」
- 竜胆
- 「指輪だ……! 着けてみていい?」
- 剽夜
- 「ああ、着けてみてくれ」
- 竜胆
- 「よく号数わかったね……」
- 剽夜
- 「私は観察の結果は忘れんのだよ」
- 竜胆
- 「……嬉しい……」
- 剽夜
- 「それを着けてれば、無駄に体力を使う事もないだろう。
そういう風にしてもらったからな……私のいないところで、戦って倒れられたら困るからな……」
- 竜胆
- 「ん……」
- 剽夜
- 「あきりん……あきりんは、随分ときつい戦いを強いられ
てるようだからな。少しでも、力になれればと思って、それをプレゼントすることになったわけだ。まあ、私がいない時は、それを私だと思って……くれ」
- 竜胆
- 「(抱きついて)ありがとう……」
- 剽夜
- 「……気にするな(腕を回そうとする)」
- 竜胆
- 「(ぱっと離れて)あ、そーだ。鉄拳しよ☆」
- 剽夜
- 「(がくっ)そ、そーだな、つきあうぞ(ちっ)」
しばし対戦。
- 竜胆
- 「あ〜、対戦したした☆ やっぱ、対戦しないと面白くな
いからねえ、こーゆーのは」
- 剽夜
- 「そうだな……」
- 竜胆
- 「……ね、隣……座ってもいい?」
- 剽夜
- 「構わんが?」
- 竜胆
- 「い、いやあ、このこたつ、こたつって言っても、布団か
けてないけど、 小さいから、隣に行ったら迷惑かなぁって(汗)」
- 剽夜
- 「狭いのは気にならんぞ(すすっ)」
- 竜胆
- 「(無言で座る)……いつだったっけ?」
- 剽夜
- 「なにが?」
- 竜胆
- 「更ちゃんがさ、こうやってあたしんチに入り浸る様になっ
たのは」
- 剽夜
- 「……『天地無用!』のTVが始まってしばらくしてから
じゃないか? 私の家ではビデオに録っておけんから、頼んだんだと思うぞ」
- 竜胆
- 「そーだったね。じゃ、その……あたしの、能力に気がつ
いたのは?」
- 剽夜
- 「会って、しばらくしてからだな……会った当初は、変な
子だとしか思ってなかったからなあ……パン屋に入り浸るようになってからだったな。私も異能を持っていると教えたのは」
- 竜胆
- 「ほんと……ベーカリーに行く様になって、嬉しかった」
- 剽夜
- 「……自分だけじゃないって、わかったからか」
- 竜胆
- 「うん……前に住んでたところじゃ、そういう人、いなかっ
たから……」
- 剽夜
- 「高校の頃か。仲間は見つかってなかったのか?」
- 竜胆
- 「……いたよ。今は、もういないけどね……」
- 剽夜
- 「みんな、別々の所に行ったのか……」
- 竜胆
- 「ううん……違う」
- 剽夜
- 「じゃあ、一体?」
- 竜胆
- 「みんな、心が……死んじゃったから、もう、いないの」
- 剽夜
- 「……」
- 竜胆
- 「あたしたちは、元は普通の人間だから、急に能力を身に
着けたりすると、負担がかかっちゃうの……だから、それに耐えられなかったんだと思う……」
- 剽夜
- 「よく、無事で済んだな」
- 竜胆
- 「無事じゃなかったわ。3ヶ月くらい、死んでたもの」
- 剽夜
- 「どういうことだ?」
- 竜胆
- 「あたし、時々、すごく変なことするでしょ? 急に高笑
いしたりするし」
- 剽夜
- 「それがあきりんだと思ってたんだが?」
- 竜胆
- 「正確には違うの。あれは、あたしの中の別人格がやって
るの。高校の頃に、自分で作ったの。留守番をしてもらうために」
- 剽夜
- 「……体を守る為にか?」
- 竜胆
- 「それもあるけどね。肝心なのは、あたしの人格を守る為。
前世の記憶とか、能力の負荷とか、いろいろあって、あたし、壊れる寸前までいってたから……」
- 剽夜
- 「苦労、して来たんだな」
- 竜胆
- 「とてもそうは見えないんだけどね」
- 剽夜
- 「それがあきりんのいいところだろう? 苦労してても表
に出してないじゃないか」
- 竜胆
- 「気持ちの切り替えは早いのよ」
- 剽夜
- 「早すぎる気もするけどな……時々、嫌な事を思い出して、
落ち込んでる時があるだろう。一人でいる時なんか、特にそれが顕著だ」
- 竜胆
- 「一人でいるとね……どうしてもいろいろと考えごとする
から……そうすると、どうしても嫌な事に考えがいっちゃうの……誰かといるときは、考えずに済むから、そんなことはないんだけど」
- 剽夜
- 「……私は、あきりんが落ち込んでいるのを見ているのは
嫌だからな」
- 竜胆
- 「ごめんなさい……」
- 剽夜
- 「どうして謝るんだ?」
- 竜胆
- 「だって、あたしが……」
- 剽夜
- 「性格の問題はどうしようもないと思うぞ。なんでも抱え
こんでしまうのが悪いと思っているんだろう?」
- 竜胆
- 「うん……解決する力もないくせに、そうしちゃうから、
結局そのままため込んじゃって……悪循環よね」
- 剽夜
- 「私が手伝える事なら、手伝うぞ。それに、さっき、落ち
込んでるのが嫌だと言ったのは、別に責めるつもりはなかったんだ。できる限り、一緒にいてやろう、そう言いたかっただけなんだが……言葉が足りなかったな」
- 竜胆
- 「……! でも、更ちゃん忙しいのに……」
- 剽夜
- 「まあ、確かに忙しいな。しかし、あきりんの家にはどう
しても来たい理由があるしな。別に苦にはならんぞ」
- 竜胆
- 「え……そ、その、来たい理由って……」
- 剽夜
- 「ネオジオだってプレステだってあるし、ビデオを録って
おいてくれるしな(笑)。何より、急に泊めてくれと言っても断られたことがないし」
- 竜胆
- 「それは……(汗)」
- 剽夜
- 「通信だってできるし、風呂にも入れるし」
- 竜胆
- 「……」
- 剽夜
- 「次の日の用意さえ完璧なら、ここに来る事に何の問題も
ないんだ、実は」
- 竜胆
- 「……ま、ギヴアンドテイクだから、いいけど」
- 剽夜
- 「そういうわけだ。ずいぶんと与えられてるような気もす
るが、まあ気のせいだろう。そういうわけだ」
- 竜胆
- 「(くすっ)そういうわけなのね」
- 剽夜
- 「そういうわけなんだ。じゃあ、気を取り直して、対戦す
るか。もう負けはしないぞ」
- 竜胆
- 「そう簡単には勝たせないよっ」
数時間後。剽夜は寝転がって対戦しているうちに寝ちゃっている(笑)
- 竜胆
- 「いつもごろ寝なんだから……(布団をかける)。風邪ひ
いても知らないよ?」
- 剽夜
- 「(寝言)そんなことはないぞ」
- 竜胆
- 「……今日は、ありがとう、更ちゃん……」
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