だいたいにおいて、猫が12匹も居れば喧嘩も多い。
人間だって12人もひとつ所に集まっていれば、なにがしかの騒ぎが起ころうというものである。いわんや猫においてや……。
……それは、95年12月30日の事だった。
- 猫1
- 「ウウゥ〜ウア〜オゥ〜」
- 猫2
- 「ア〜ア〜オゥ〜、ウアッ」
- 文雄
- 「やれやれ、また睨みあっとるのかね。噛み合いになる前
に止めんとな……」
部屋をでようとすると出口でネコ丸君が座っている。
- 文雄
- 「ほれ、どきなさい」
- ネコ丸
- 「フガァオッ!!(足に噛みつく)」
- 文雄
- 「ぬあっ!!(噛まれないように布団で押さえこんで) くぉ
ら、飼い主さまに何をするかっ!!」
- ネコ丸
- 「アーォ……」
- 文雄
- 「わかったかね、私のほうが強いのだぞ(離してやる)」
- ネコ丸
- (すごすごと退散)
- 文雄
- 「うむ、向こうの喧嘩も止まったようだな……傷口を洗っ
ておくか」
風呂場にて。
- 文雄
- 「うーむ、さすがに牙が貫いた足の裏が痛むな。歩くとき
にびっこを引いてしまう。やれやれ、ネコ丸のやつも困っものだ。しかし……足の甲なんてボロボロだな。しばらくしみそうだ」
単身赴任中の父が帰宅して一緒に酒をのみ……自室に戻る。
- 文雄
- 「ふむ……ヒーターでもつけてみるか。今冬初のヒーター
の使用だな(スイッチを入れる)」
- ネコ丸
- 「アーオ、アーオ(不安げに鳴く)」
- 文雄
- 「おお、送風の音が威嚇音に聞こえるのか」
- ネコ丸
- (不安げにうろうろする)
- 文雄
- 「(焦げ臭いのに気がついて)おおそうだ、フィルターの掃
除をせねば(フィルターをはずして窓の外で埃を落とす)」
- ネコ丸
- 「アーオ、アーオ(まだ不安げに鳴いている)」
- 文雄
- 「むう、やかましいぞ。こっちに来い (胡座の中にひっく
り返して落とす)」
- ネコ丸
- 「グルグル(喉を鳴らす)」
- 文雄
- 「あいかわらず現金な奴だな……。まだ噛まれたところが
痛むんだぞ。やれやれ……」
こうして31日となり、深夜の通信任務をはじまる事になった。
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