エピソード116『暴猫注意』


目次


エピソード116『暴猫注意』

だいたいにおいて、猫が12匹も居れば喧嘩も多い。
 人間だって12人もひとつ所に集まっていれば、なにがしかの騒ぎが起ころうというものである。いわんや猫においてや……。
 ……それは、95年12月30日の事だった。

猫1
「ウウゥ〜ウア〜オゥ〜」
猫2
「ア〜ア〜オゥ〜、ウアッ」
文雄
「やれやれ、また睨みあっとるのかね。噛み合いになる前 に止めんとな……」

部屋をでようとすると出口でネコ丸君が座っている。

文雄
「ほれ、どきなさい」
ネコ丸
「フガァオッ!!(足に噛みつく)」
文雄
「ぬあっ!!(噛まれないように布団で押さえこんで) くぉ ら、飼い主さまに何をするかっ!!」
ネコ丸
「アーォ……」
文雄
「わかったかね、私のほうが強いのだぞ(離してやる)」
ネコ丸
(すごすごと退散)
文雄
「うむ、向こうの喧嘩も止まったようだな……傷口を洗っ ておくか」

風呂場にて。

文雄
「うーむ、さすがに牙が貫いた足の裏が痛むな。歩くとき にびっこを引いてしまう。やれやれ、ネコ丸のやつも困っものだ。しかし……足の甲なんてボロボロだな。しばらくしみそうだ」

単身赴任中の父が帰宅して一緒に酒をのみ……自室に戻る。

文雄
「ふむ……ヒーターでもつけてみるか。今冬初のヒーター の使用だな(スイッチを入れる)」
ネコ丸
「アーオ、アーオ(不安げに鳴く)」
文雄
「おお、送風の音が威嚇音に聞こえるのか」
ネコ丸
(不安げにうろうろする)
文雄
「(焦げ臭いのに気がついて)おおそうだ、フィルターの掃 除をせねば(フィルターをはずして窓の外で埃を落とす)」
ネコ丸
「アーオ、アーオ(まだ不安げに鳴いている)」
文雄
「むう、やかましいぞ。こっちに来い (胡座の中にひっく り返して落とす)」
ネコ丸
「グルグル(喉を鳴らす)」
文雄
「あいかわらず現金な奴だな……。まだ噛まれたところが 痛むんだぞ。やれやれ……」

こうして31日となり、深夜の通信任務をはじまる事になった。



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部