- 湊川観楠(みなとがわ・かなみ)
- ベーカリー楠店長。23歳独身、子供有り
- 浅井素子(あさい・もとこ)
- 吹利学校高等部2年。パン屋の看板娘
- 日阪朝(ひざか・はじめ)
- 観楠の友人、パン屋の常連
- 高村文雄(たかむら・ふみお)
- 大学院生。常連達のボス的存在(笑)
- 出雲大輔(いずも・だいすけ)
- 少女漫画家。文雄とは幼なじみ
- 豊秋竜胆(とよあき・りんどう)
- 誤解されやすい女子大生(苦笑)
- 岩沙琢磨呂(いわさ・たくまろ)
- 吹利高校2年生。竜胆とつるむこと多し?
- 城島由加梨(きじま・ゆかり)
- 吹利学校高等部2年。素子の親友
- 観楠
- 「はぁ……今年もど〜にかおわった……(疲労困憊)」
- 竜胆
- 「すごい人でしたねぇ……年末年末ぅっって感じ(笑)」
- 琢磨呂
- 「なんだそりゃ。しかしまぁ、大晦日だってーのに、暇な
連中ばっかじゃねぇか」
- 竜胆
- 「……あんたもその1人じゃない」
- 素子
- 「お疲れさまでした。はい、どぉぞ(にこっ)」
- 琢磨呂
- 「お、すまねぇな(カップをとって、飲む)」
- 素子
- 「あ! 岩沙……」
- 琢磨呂
- 「……なんだ、コーヒーじゃねぇか。おれは紅茶が好きな
んだが……(撲っ!) ってーな! いきなりなにすんだ!」
- 竜胆
- 「(小声)何でモコちゃんがあんたに『お疲れさまでした』
で、さらに『にこっ』っでコーヒー入れんのよ! んっとに、デリカシーの無いヤツ!(ぷぃっ)」
- 琢磨呂
- 「……そ、そうか!!( 汗) 素子、すまん! このとーり!」
- 素子
- 「せっかく入れたのに……(がぁぁぁぁぁん)」
- 竜胆
- 「ご、ごめんねモコちゃん……(汗) ほら、もっとちゃん
と謝んなさいよっ!」
- 素子
- 「なぁんて(笑) こういうこともあろうかと、実はポット
に沸かしてあるんです(笑) はい、りん姉」
- 竜胆
- 「いいの? いっただきまぁす(こくっ)」
- 素子
- 「と、店長、お疲れさまでした」
- 観楠
- 「ん? ありがと……ふぅ……ん。今年最後の素子ちゃん
のコーヒーかぁ……いやぁ、仕事後のこの『ひととき』のために生きてるなぁ(笑)」
- 素子
- 「えっ……」
- 観楠
- 「うん、やっぱりおいしいなぁ……ごちそうさま(笑)」
- 素子
- 「あ、ありがとうございます……(ぽっ)」
- 竜胆
- 「(小声)おやぁ、顔が赤いんでないかい?(笑)」
- 素子
- 「(小声)え? だ、暖房のせいですよ……」
- 朝
- 「なかなか大変そーやったな」
- 観楠
- 「おう、って……何故、お前がこんなところにいる!?」
- 朝
- 「昼からずっとおったやないか」
- 大輔
- 「でも、来ちゃうんですよねぇ(笑)」
- 文雄
- 「うむ。年末とは言うモノの、いつもの習慣というヤツだ
な。ここに来る理由などそれほど無いのだが……あえて言えばダイヤモンドネットワークの初詣オフまでの時間潰しといったところかね。まあここにいる必然が無いのは変わりない」
- 観楠
- 「文雄さんに大輔さんまで……特に大輔さん」
- 大輔
- 「なんです?」
- 観楠
- 「お仕事は……大丈夫なんですか?(汗)」
- 大輔
- 「ふふん、まかせてください。子供の頃からの『段取り魔
人』というあだ名はだてじゃありません(得意満面)」
- 素子
- 「あ。じゃぁ私、当分の間オフですね?」
- 大輔
- 「もぉなんぼでも休んだってちょーだい!(笑)」
- 素子
- 「やったぁ! すが師匠ですねっ。年末の読み切りも、カ
レンダーも、単行本の加筆修正分も付録のイラストも、新年号の表紙とカラーページも全部済んだんですよね?」
- 大輔
- 「うんうん、完璧完璧! ……新年号の?」
- 素子
- 「表紙と、カラーページです……が?(汗)」
- 大輔
- 「……(青ざめる)」
- 素子
- 「まさか……できてないとか?(汗)」
- 大輔
- 「ななな、なにを言ってるのかな? ん、大丈夫大丈夫……」
- 朝
- 「の、割に真っ青や(笑)」
- 文雄
- 「うむ。ついでに脂汗も出ているようだな」
- 大輔
- 「これはね……(脂汗) そう、暖房が……あ、店長。わし、
急用を思い出したんで帰りますわ(大脂汗)」
- 観楠
- 「あ、なんのおかまいもしませんで」
- 大輔
- 「あー浅井ちゃん。オフの件だけど……あ、やっぱりいい
や。うん、いいです……(よろよろと出ていく)」
- 観楠
- 「お、お疲れさま……(苦笑) さて、閉める前に……大掃
除、と行きますか」
- 文雄
- 「うむ。そうなると邪魔になるな。我々は退散するとしよ
う」
- 朝
- 「そやなぁ……ここにおってもしゃーないし、帰ろ」
- 琢磨呂
- 「姐さん、俺達も帰るか?」
- 竜胆
- 「『俺達』ってのはなによ……そーね、帰りましょ。じゃ、
モコちゃん店長さん、良いお年を!」
- 観楠
- 「……全員逃げたか……しょーがない、ぼちぼち始めるか
な」
- 素子
- 「あの……私は? にか手伝うことあったら……」
- 観楠
- 「そーだなぁ……あ、あがっていいよ」
- 素子
- 「でも……」
- 観楠
- 「ちょこちょこやってたし、うん。あとは1人でも余裕だ
な(笑)」
- 素子
- 「じゃぁ……着替えますね」
- 観楠
- 「うん、お疲れさま(笑)」
☆ ☆ ☆
- 電話
- 「(呼出音)」
- 観楠
- 「誰だこんな時間に? もぉ店閉めたっつーの……お待た
せしました、ベーカリー楠です……はい? あぁ、お友達の……少々お待ち下さい」
- 素子
- 「じゃぁ、お先に失礼します」
- 観楠
- 「あ、いいところに。電話だよ」
- 素子
- 「私にですか? もしもし……なんだ、由加梨かぁ」
- 由加梨
- 『なんだじゃ無いわよ! ちゃんと誘ったんでしょうね?』
- 素子
- 「え?」
- 由加梨
- 『初詣よ、は・つ・も・う・で! 店長さん、誘わないの?』
- 素子
- 「……ムリに決まってるじゃない! まだ仕事残ってるん
だから」
- 由加梨
- 『手伝ってあげるとか?』
- 素子
- 「言ったわよ……でも、断られちゃったし……」
- 由加梨
- 『ふぅん』
- 素子
- 「なによぉ……そういう由加梨はどうなのよ?」
- 由加梨
- 『んっふっふー。酒井君、誘っちゃった☆ で、OKもらっ
たわよ(笑)』
- 素子
- 「えーっ!(あのカタブツが女の子とねぇ……)」
- 由加梨
- 『……まぁ、植木君とか久永君もいるんだけどね……(汗)』
- 素子
- 「なぁんだぁ(笑)」
- 由加梨
- 『だからさ、素子も頑張ってみない? あんたのことだか
ら、まだ、声もかけてないんでしょ?』
- 素子
- 「なにが『だから』かよくわかんないけど……うん」
- 由加梨
- 『じゃぁ、そういうことで(笑) バイバイ』
- 素子
- 「(溜息)由加梨ってばおせっかいなんだから……」
- 観楠
- 「あー……も、素子ちゃん」
- 素子
- 「はい? 、電話終わりました長々とどうも……あはは」
- 観楠
- 「……もしよかったら……初詣、いかない?」
- 素子
- 「は、初詣……ですか?」
- 観楠
- 「明日のお昼前くらいかな? や、だめだったらいいん
だ」
- 素子
- 「あ、あの……えーと……わ、私で良ければっ!」
- 観楠
- 「……そんな力まなくても……(笑)」
- 素子
- 「え、あ、やだ……(笑)」
- 観楠
- 「じゃぁ……明日の……10時に、ここに来てくれるかな?」
- 素子
- 「はい!(笑顔)」
- 素子
- 「(時計を見る)……ちょっと早かったかな。 んー……(窓
ガラスを見ながら)髪、おかしくない……?
カッコ? ……大丈夫、大丈夫」
- 観楠
- 「素子ちゃん」
- 素子
- 「店長! あけましておめでとうございます(笑)」
- 観楠
- 「おめでとう。今年もよろしくね(笑)」
- かなみ
- 「素子ねえさまっ!(にこっ)」
- 素子
- 「かなみちゃんも?(汗) あけましておめでとう、かなみ
ちゃん(苦笑)……ですよネ。店長が、かなみちゃんほっとくわけ、無いですもんね……」
- 観楠
- 「(苦笑)いや、ホントは……」
- かなみ
- 「素子ねえさま、みてみてっ!(くるりん)」
- 素子
- 「あ、かなみちゃん着物なんだぁ。へぇ〜……可愛い……
似合ってる似合ってる(笑)」
- かなみ
- 「ほんとっ!? かったぁ(にこにこ)」
- 素子
- 「店長が買ってあげたんですか?」
- 観楠
- 「ん? あぁ。お隣の……伊川さんがネ(笑) その手の職
業で、作ったから是非って。着付けまでしてくれて……まぁ借りるだけにしといたんだけど(にこにこ)」
- 素子
- 「私も着物にすれば良かったかな……」
- 観楠
- 「あ、それは見たかったなぁ(笑)」
- 素子
- 「え……」
- 観楠
- 「あ、いやいや(笑) じゃ、行こうか」
- 素子
- 「そうですね」
- かなみ
- 「素子ねえさま、手つないでっ」
- 素子
- 「はいはい(笑顔)」
- 観楠
- 「予想はしてたけど……(大汗)」
- 素子
- 「すごい人でしたね、はぁ」
- 観楠
- 「……あの、さ……一つ訊いていいかな?」
- 素子
- 「え? は、はい」
- 観楠
- 「月並みな質問だけど……素子ちゃんは何お願いしたの?」
- 素子
- 「……えーと、私は……内緒です(くすっ)」
- 観楠
- 「だよね(笑) ごめんね、変なこと訊いて(笑)」
- 素子
- 「店長は? 何お願いしたんですか?」
- 観楠
- 「(素子に向きなおる、表情はマジ)……聞きたい?」
- 素子
- 「えっと……」
- 観楠
- 「(そのまま見つめる)」
- 素子
- 「あの……(とくん、とくん、とくん……)」
- かなみ
- 「父様、父様っ!」
- 素子
- 「(どきっ!!) か、かなみちゃん……(赤面)」
- 観楠
- 「ん、なにかな?」
- かなみ
- 「かなみね、りんごのと、ふわふわのがほしいのっ」
- 観楠
- 「……りんご?」
- 素子
- 「あ、リンゴアメのことじゃないですか? 棒が付いてる
ヤツよね?(汗)」
- かなみ
- 「うん! それとふわふわっ!(笑顔っ)」
- 観楠
- 「なるほど……となると、ふわふわって言うのは綿アメの
ことだね? はは、『ふわふわ』かぁ(笑)」
- かなみ
- 「ほしいのっ!」
- 観楠
- 「ん……じゃ、お約束できるかな?」
- かなみ
- 「おやくそく?」
- 観楠
- 「うん。残さないで食べちゃうことと、ミかにもわけてあ
げることの2つ……できるかな?」
- かなみ
- 「……うん!」
- 観楠
- 「はい、よくできました(笑顔) あ、素子ちゃん」
- 素子
- 「はい?」
- 観楠
- 「お参りも済んだし……予定入ってないならさ。お昼、食
べに行かない?」
- 素子
- 「そう、ですねぇ……」
- かなみ
- 「父様、素子ねえさまといっしょにお昼たべるの?」
- 観楠
- 「素子ちゃんがOKしてくれたらネ」
- かなみ
- 「いっしょにいこっ!(素子の手をひっぱる) ねぇ、いっ
しょにいくのっ」
- 素子
- 「え、あ?(わたわた)」
- 観楠
- 「こらこら、素子ちゃん困ってるじゃない(苦笑) ごめん
ね。で、どうかな?」
- 素子
- 「あ、あの……実は、友達と約束があって……ごめんなさ
い!」
- 観楠
- 「……そ、っかぁ。じゃ、仕方ないね(苦笑)」
- 素子
- 「ほんとに……折角……(由加梨の馬鹿ぁ!)」
- 観楠
- 「あ、気にしないで(笑) かなみちゃん、行くよ」
- かなみ
- 「素子ねえさまは?」
- 素子
- 「ごめんね、今日は一緒に行けないの……また、今度ね(笑)」
- かなみ
- 「うん!」
- 観楠
- 「じゃ、また今度店で……今日は有り難う(笑)」
- 素子
- 「あ、いえ……(くすっ)」
- かなみ
- 「素子ねえさま、さようならぁ(にこっ)」
- 素子
- 「バイバイ、かなみちゃん」
観楠、数メートル歩いて振り向く……
- 観楠
- 「素子ちゃん!」
- 素子
- 「はい?」
- 観楠
- 「……(素子をじっと見る)」
かなみ ;「父様、どうしたの?」
- 観楠
- 「……ん? あ、なんでもない、んだ。ごめん……じゃ、
またっ」
観楠、再び歩き出す
- 素子
- 「……何だったのかな? (くすっ)今年は良いことあると
いいなぁ……」
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