エピソード120『おやおや』


目次


エピソード120『おやおや』

文章型エピソード

実験的作品です。読みにくいのは仕様。

内容

これはこれはみなさんお集まりで
 珍しくみんな集まったなぁ。最近は吹利学園のほうもも吹利高校のほうも受験勉強が忙しそうだし。うぅむ、でも岩沙君や慎也君、三郎君を見てると忙しそうには見えないけど……まあ、前まではほとんど毎日来てたからなぁ。やっぱり忙しいんだろうなぁ。「店長、茶くれ茶」「はいはい」「ダージリンのビンテージなやつちょーだいね」ダージリンのビンテージなやつ。要するにビンテージダージリンだろ。三郎の癖だけは治りそうもない全く。 いってみればRGM84"HARPOON"のホップアップみたいにいつもハイなんだろう。慎也、どこ行ったんだろなあ。緑ちゃんを帰り際に見つけてたな。いつのまにか消えやがってる。畜生。どこへ行った。出て来い百円。ここか。ここでもないか……くっ、まさか小銭入れに穴が空いているとは思わなかった。非国民極まりない百円め何処に逃げた。探し出して銃殺に処してくれん……いや、穴をあけるのはまずいな。一体何を考えてるんだろう。財布の底を眺めて……いや、もう眺めてないのかな。完全に思考が飛んでるみたい。ああいうのを思慮深いっていうのかなぁ。まだ動かない。死んではないみたいだし。じーっ。こっちの視線にも気付かない。普段ならすぐ振り向いて、顔を赤くして下を向いちゃうのに。「はい」おおティーサーバーから注がれる琥珀色の液体は純白のカップにその豊潤な……うげ気色悪いこの描写止めよう「浅井、この香は」「何? またなんか難癖?」「この発言は難癖にとろうと思えば解釈次第でいくらでも難癖にとれるものであり、そもそも言葉というものの虚像性が根本的に」「はいはい、で何?」「この香……ダージリンだな」「……」「ふっ、ズバリ正解で音も出んか」全くこの文士気取り。やる事なす事総て的外れなんだから。……でも、悔しいけど完全に外してるわけじゃないから無視することはできない……あーもう、馬鹿! この大馬鹿者! たわけめ! 出て来い貴様百円の分際で生意気な!! 馬鹿の考え休むに似たり……英語で何て言うんだったか、げげ恐ろしい俺なんで英語なんか思い出したんだよみがえる中間の悪夢期末のナイトメア慎也と俺をして留年の恐怖を存分に思い知らしめた現代の悪魔め学校教育の癌め出て来い百円貴様上官命令に逆らうか「素子ちゃんこれ洗っといて」うわぁトレイの山山山一日分優に越えてるよどうしてみんな今日に限ってこんなに集まったのかなぁ店内が狭く感じるよ。椅子一つ分のスペースくらい残しなさい! 
 「岩沙、足を横向きに組むのやめなさいよ」「んにゃあ? それは俺の勝手」
 「とにかくやめなさい!!」と一声上がる否や哀れ岩沙琢磨呂17歳はその省スペース的思考を全く伴わせない組み足の上のほうになっていた右足を凡そ女性らしくもない怪力により無理矢理下方にねじり臥せられ関節音も盛大に激痛を伴い地面と水虫との接吻は終了したのである。なんだこの文章所詮アドリブだな。それにしてもこの眼前で起こりつつある情景は十分ネタになるけけけけけ。おお、岩沙立ち上がって反撃かいやいや姐さんのほうが一歩疾い岩沙気圧される体制に入りましたさあここからは怒涛壮絶非論理性のジェットストリーム言葉対言葉の意味無き壮絶なる火花の散らしあいさあさあおたちあいご用とお急ぎでない方は今はじまった。また始まった。うーん、店の中で喧嘩しないでほしいんだけどなぁ。でもこの2人にそんなことを言っても無駄だし……。文雄さん来ないかなぁ来ないだろうなぁ。かなみちゃんがいないだけましか。まあ、止めるのは物理的闘争になってからにしよう。……ぞぞ。よく考えたらこの2人の物理的闘争って、始まったらもう既にこの店は破壊されてるんじゃない。
 「まるで核阻止力だなけけけけ」「馬鹿なこといってないで止めたらどう?」こーいうことがネタになるんやがなけけけ。おお、岩沙が新語出してきよったぞ技有り。姐さん一瞬答えに詰まる。だが所詮それは口喧嘩の非論理性を超越し得るものではなく再び意味無き言葉が16ビートジェットストリーム。一種のスキャット。けけけ。「……喧嘩するほど仲がいい……ってね」えーと、こういう場合に使う諺だったっけ、これ。それ以前にこれって諺だったかなあ。単なる慣用表現だったらどうしよ……そんなこと考えてる場合じゃない店をまもらなくては。「素子ちゃん素子ちゃん、なんとかいっ」……あれどうしたのかなぁ聞いてる? 「はい」……聞いてないな、これは。何かまずい事言ったかなぁ。うーむ、2人の勢いに気圧されてるのかなぁ。ありゃ表へ出てしまった。つまらん。一体何をやってる……ん? ん? ジャンケンポン。はぁ? 「こ、これであんた立ち席ね」「くそぉぉぉぉ」……こ、これはネタネタネタネタにはなななるな、けけ、け、け。ふう。良かった。まぁ彼等も彼等なりにちゃんと自制が効いてるんだなぁ。やっぱり喧嘩するほど……ってやつかな。うーんそれにしても岩沙君と竜胆さん、慎也君と緑ちゃん、それに城島さんにそれからえーと……うーん、どうしてこうもらぶらぶが多いのかなぁまるで少女漫画とでもいうか漫画的に万が一……うわははははは面白い面白いしかしそういう状況においてはバイト少女と若い店長がくっつくってのがパターンであるのだが観楠店長はまだその事には気付いていない。今回は被害総計……ゼロ、と。うわ散らかってるそういえばここん所店内は簡単な掃除しかしてないからなぁ。うーん、学校が忙しいんだろうけどもうすこし多くバイトに来てほしいな。これ以上日数増やすの無理かなぁ「どうかな?」「え、え? いや、その」「あ……やっぱり無理?」「い、いや、い、いけます、いけます」「あ、有り難う。じゃあ頼めるかな?」もう馬鹿この三彦あんた黙ってないでなんか言いなさいよ「沈黙は金」かけけけけけ黙れうーむこの非国民百円め貴様のせいであーもうあんたが変な事いうからよみがえる吹利駅のイメージ3人掛けベンチの感覚そして目の前の無表情寡黙なる三彦意味深そうな事いうだけいっといて何もなかったみたいにあんたそれでも男もっとはっきりいうのじゃなくて歪曲表現を多用して相手を混乱の淵に叩き落とすのだ。
 けけけけけけけけけけけけけ。



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