3月である、もうすぐ春である、春と言えば……
- 時雨
- 「ふにゃぁ、はにゃぁ……」
- 竜胆
- 「紫擾君、何をやってんの?」
- 時雨
- 「へっくしゅ……。やぁ、あきりん、相変わらずかわいい
ね」
- 竜胆
- 「へぇ? 、大丈夫、熱でもあんの?」
- 時雨
- 「にゃんで?」
- 竜胆
- 「いや、今日は正直だなぁって思って」
- 時雨
- 「そうなのか、私はこの時期、思考回路がおかしくなるの
だ」
- 竜胆
- 「なんで?」
- 時雨
- 「あきりん、もうすぐ春だろ」
- 竜胆
- 「はい」
- 時雨
- 「春と言えば?」
- 竜胆
- 「えーと、桜かなぁ」
- 時雨
- 「そうそう、みんなで元気に花見だぁーって、違うの」
- 竜胆
- 「じゃぁ、何?」
- 時雨
- 「花粉症だお、花粉症」
- 竜胆
- 「ああぁ、そうなのね。大変そうなの」
- 時雨
- 「あきりん、なんか他人事だね」
- 竜胆
- 「だって、わたしは別になんともないもん」
- 時雨
- 「そりゃそうだろうけど……、もう少し何か……」
- 竜胆
- 「紫擾君、大丈夫? わたし心配で、夜も寝れなかったら
責任とってね」
- 時雨
- 「……、あきりん、私が悪かった」
- 竜胆
- 「わかればいいのよ、わかれば」
- 時雨
- 「えぇーん、あきりんがいじめるよぉ」
- 竜胆
- 「まぁまぁ、紫擾君。ところであなた魔法で何とかならな
いの?」
- 時雨
- 「ふっふっふ、あきりん、よくぞ聞いてくれた。昨年の苦
い思い出から私が開発した有機ゴーレム、見たまえ。でぇでーん」
- 竜胆
- 「……、何それ? ただの鉄球じゃないの?」
- 時雨
- 「違うのだよ、あきりん。これは反重力システムを利用し、
使用者の周りを飛んでその間の空気の進入を防ぐんだ。これで花粉は進入できない。うーん、完璧」
- 竜胆
- 「それなら、早くそれを使えばいいじゃない。なんで使わ
ないの?」
- 時雨
- 「うん、いい質問だ。実はこれは最低4個1組で使わない
といけないんだ。でも、1つしかない、だからだよ」
- 竜胆
- 「じゃぁ、あと3つ作ればいいじゃない。なんで作らない
の?」
- 時雨
- 「お金がない」
- 竜胆
- 「そうなんだ、あぁ、お金ねぇ」
- 時雨
- 「お金だよぉ」
- 竜胆
- 「お金だねぇ」
- 時雨
- 「お金かぁ……」
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