ある朝。今日も明るい日差しが差し込む……、剽夜の朝は早い。
- 剽夜
- 「ふわぁ〜。むぅ、もう朝か、さて、取り敢えず、デビル
サマナーでもしようか」
おもむろに、スイッチを切り替えサターンの電源を入れる。当然のように竜胆のセーブデータをロードする。もう、慣れたもんである。
- 剽夜
- 「まったく、あきりんは飽き性でいけないね。デビルサマ
ナーは借りもんだから、早くとかなきゃいけないのにな……。
おっ、戦闘シーンだ。 取り敢えず、オートモードで、、まぁコーヒーでも入れよっと」
棚からコーヒーをだし、カップもとってきて、自分で入れる。コーヒーの香りが部屋中に漂う。けど、あきりんは起きない。
- 電話
- 「(ぷるるるる……、ぷるるるる……)」
- 剽夜
- 「(カチャ)はい、豊秋です」
- 時雨
- 『あっ、更毬さんですか。おはようございます。時雨です。
あきりんは起きてますか?』
- 剽夜
- 「おはよう、あきりんは寝てるよ、今起こすわ。あきりん、
起きろぉ。電話だぞ」
- 竜胆
- 「みゃ……う……ん。なに、更ちゃん?」
- 剽夜
- 「時雨君から電話」
- 竜胆
- 「うん、解った……」
竜胆がベットから降りてきて受話器を取る。
- 竜胆
- 「はい。……うん。……うん。……解った。それじゃあ、
またね……(カチャ)」
- 剽夜
- 「とりあえず、あきりん、ズボンぐらいはきなさい。うら
若い乙女がTシャツにパンティだけとは、はしたないぞ」
- 竜胆
- 「うん……、解った。こっちを見ないでね」
- 剽夜
- 「私は、デビルサマナーに忙しいのだ。そっちを見る暇な
ぞない……。あっ、天使さんだ、おいちゃんとお話しようや」
もくもくと、テレビ画面を見詰める剽夜。その後ろで竜胆は着替えている。着替えおわると、竜胆はごそごそとこたつに潜り込む。
- 剽夜
- 「まだ寝てるな? コーヒーでも入れようか?」
- 竜胆
- 「お願い……」
- 剽夜
- 「(カチャカチャ)はい、あきりん」
- 竜胆
- 「ありがと……」
竜胆は、コーヒーを少しずつ飲む。けど、まだ目は寝ている。
- 竜胆
- 「お風呂にはいる……」
- 剽夜
- 「どうぞ」
寝ぼけ眼で、用意をし、お風呂に入る竜胆。剽夜の耳には、竜胆の体を流す音が聞こえるが、意識はゲームに集中している。
- 竜胆
- 「(風呂から上がる)あっ、しまった。更ちゃん。30秒間目
をつぶって」
- 剽夜
- 「ん? 解った。(目を閉じる)いいよ」
竜胆は、角からそーっと、剽夜の方を覗き、閉じているのを確認すると、下着姿のまま、洗濯物を取りに行き、ダッシュでもとに戻る。
- 剽夜
- 「もういいかい? なに、やってたんだ」
- 竜胆
- 「うん、着替えが足りなかったから、取りに行ってたの」
- 剽夜
- 「まったく、それくらい確認してから、お風呂に入りなさ
い。おっちょこちょいなんだから」
- 竜胆
- 「仕方ないでしょ。天才には、何か欠点があるものなのよ」
- 剽夜
- 「いいけどね」
竜胆は、着替えおわると、こたつにまた入り、ドライヤーで頭を乾かした。乾かしおわると、剽夜のほうを向く。
- 竜胆
- 「更ちゃん、ごはん」
- 剽夜
- 「(ずるっ)もう、それくらい自分で作りなさい」
- 竜胆
- 「(上目遣いで)ごはん〜、ごはん〜」
- 剽夜
- 「はいはい、そんな恨めしそうな目で見ない。分かった。
ご飯を作らさせてもらいます」
- 竜胆
- 「わ〜い☆」
食事の用意ができて、食べ終わると、当然の如く、対戦が始まる。
- 竜胆
- 「それにしてもぉ……天雷破」
- 剽夜
- 「どーかしたかね……ビーストキャノン」
- 竜胆
- 「更ちゃんってぇ……むきーっ」
- 剽夜
- 「私がどーかしたか……むう」
- 竜胆
- 「まさにシュフってやつね。主な夫の方の。いいお嫁さん
になれるよ」
- 剽夜
- 「……あきりん。それをあきりんが言ってどーするんだ?
普通なら私が言うはずではないのか?」
- 竜胆
- 「あたしが普通の範疇に収まるとでも?」
- 剽夜
- 「十分普通じゃないなぁ……ふぅ、まったくあきりんって
やつは。そんなことじゃ、安心してあきりんの結婚式に参加できないではないか」
- 竜胆
- 「先生、そんな心配を吹き飛ばす妙案が浮かびました☆」
- 剽夜
- 「言ってみたまえ?」
- 竜胆
- 「あたしが更ちゃんをお嫁さんにもらうの☆」
- 剽夜
- 「……(大汗)」
- 竜胆
- 「ふっ、あまりの妙案ぶりに、言葉も出ないよーね?」
- 剽夜
- 「あきれてしまったのだ……こんなことではいけない!」
- 竜胆
- 「え?」
- 剽夜
- 「あきりんのお嫁さん修行を始めなくては! まずはお洗
濯からだ! さあ、とっとと洗濯を始めるのだ」
- 竜胆
- 「え〜? ホントにぃ?」
- 剽夜
- 「大マジだ! さあ、とっとと始めるのだ、びしばし」
- 竜胆
- 「うう……なんでこーなるのぉ?」
- 剽夜
- 「洗濯が終わったら、次はお掃除だ! びしばし」
- 竜胆
- 「墓穴掘ったぁ……うるうる」
- 剽夜
- 「お掃除が終わったらお買い物だ! びしばし」
- 竜胆
- 「ど〜して更ちゃんがいるのに、あたしがこんなことして
るのぉ……うるうる」
- 剽夜
- 「しゃべってる暇があったらとっとと働けぃ! びしばし」
- 竜胆
- 「ふぇ〜ん」
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