エピソード133『狼同盟』


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エピソード133『狼同盟』

登場人物紹介

長瀬顕(ながせ・けん) 弾き語り通信倶楽部シスオペ。得意技はオチないギャグ。吹利学院高校 2年生。「女の子はショートだショートがいいんだ」推進委員会委員長。 小さいとよくいわれる、しかし日本人っぽくない顔。うっとーしい髪を スプレーで後ろに流している。「スッキリしましたね」といった後輩は 1人だけらしい。
岩沙琢磨呂(いわさ・たくまろ) プレイボーイな軍事野郎。吹利学院高校2年生。「ロングだ! ロング が一番だ! 意志向上総司令部」代理司令官。「年上がいいんだ!! 彼 女は年上だぁあ! 意志向上総司令部」副司令。頑固そうな、事実その 通りの四角い顔。鼻の頭まである長い前髪。
語り手(なれーたー) 出所は筆者もよくわからない。潜在意識の中からぽっと出てくるらしい。 ただひとつ言えることは、いつもおっさんであることだ。

狼同盟結成

今から、後の世に蔓延る(はびこる)ことになる“狼同盟”なる組織の、その草創期の話をする。もったいつけて話すほどのものではないのだが、私はもう年だ、おぬしにこの話を後の世に伝えてもらいたいと考えておるのだ。おい、こら、寝るでない。おぬし、聞かないと損した気分になるぞっ……うむ、よろしい。聞く準備は良いな。

吹利学院高校・梅の廊下

「おい岩沙(冷静な声)」
琢磨呂
「だから九十式ちゃんが来るんだって! これは見に行く 価値あるぞぉ! な、来たまえっ!」
友人
「あ、ああ、なんか凄そうやな……」
「岩沙(更に冷静な声)」
琢磨呂
「なんだ、うるさいぞ(関東弁)」
「ちょっと話がある(神妙な声)」
琢磨呂
「……OK」

顕は琢磨呂を非常階段の降り口の人目につかないところへ引っ張ってゆこうとした。琢磨呂は人に連れられるのが嫌で、顕の考えを察知すると先にさっさと足を運んだ。

琢磨呂
「用件を聞こう(ドスのきいた声)」
「うむ、実は今回はオフィシャルではないのだ (ドスのき いた声)」

オフィシャルとは、琢磨呂と顕の間で交わされるミッションの契約のことである。

「インテリジェンス・チームを結成した。『狼同盟』といs うのだ(相手の出方を伺う声)」
琢磨呂
「うぬ?(意外そうな声)」
「名称は俺の趣味だが……。この組織には俺が認めた者し か入れない。オファー権は俺にある、トップ・エージェントをそろえるつもりだ(彼方を見つめているときの声)」
琢磨呂
「今の時期にどうして? ここにいるのはあと1年だぞ(や はり不可解そうな声)」
「そんな小規模のものではない。創設理由は、今は知らな い方がいい(「すまんっ」という声)」
琢磨呂
「ふん、それで俺にどうしろと(強気な声)」
「狼同盟にはお前の力が必(頼みかける声)」
琢磨呂
「だめだね。俺は一匹狼だ(断言するときの声)」
「ふふ、そう来ると思った。案ずることはない。すでにコー ドネーム“一匹狼”の席を空けておいた(ニヤリ)
内部IDは0003だ(嬉しそうな声)」
琢磨呂
「はっはっはっはっ。さすがは長瀬。よし、いいだろう、 狼同盟に入ってやろう(「してやられた」って感じの声)」
「わかってくれると思ったぜ(「うむうむ」ってな声)」
琢磨呂
「ところでID 0001はお前だろうが、0002は誰だ?(「そう いえば」な声)」
「それはまだ明かせない(「ふふふ」な声)」
琢磨呂
「コードネームならいいだろう(「ちっ」な声)」
「……(爆笑をこらえた含み笑い) “送り狼”だ(わざとド スをきかせた声)」
琢磨呂
(吹き出す)
(伝染する)

顕と琢磨呂は腹を抱えて床をのたうち回った。17秒後。

琢磨呂
「おい長瀬、観楠さんを入れたらどうだ?」
「は? なぜ……ってナルホド(にやーり)」
顕&琢磨呂
「子連れ狼!」



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