エピソード134『孤独な相貌』


目次


エピソード134『孤独な相貌』

3月……まだ冷たい風が吹く中を期末テストが終わったため午前中で学校を終えた緑が歩いていた。

「はぁ、期末テストも終わったし。暇だなぁ。家に帰って もまだ10時だし」

その時、緑に声をかける者が居た。

美々
「緑ちゃんっ」
「あ、美々さん」
美々
「なに、ぼけっとして歩いてたん?  もしかして……緑 ちゃんも暇な口?」
「え、ええ、まぁ。あれ……美々さん?」
美々
「ん?」
「美々さんの家って……ここを通ると遠回りなんじゃ……」
美々
「ん、暇だから……ね」
「そうですか」

しばらく無言で歩く2人。

美々
「緑ちゃん?」
「はい? なんです?」
美々
「ゲーセンいこ?」
「え、げ、ゲームセンター……ですか?」
美々
「そう、暇つぶしに行かない?」
「え、でも、お金が……」
美々
「100円や200円はあるんやろ? ほないこ」
「え、あ、ち、ちょっと美々さん?」

緑の手をつかむと足早に目的地だったらしいゲームセンターへ2人は姿を消した。

「ハァ、結局連れ込まれてしまった」
美々
「緑ちゃん、レイブレーサーやろ?」
「え、でも、やったことないし」
美々
「PSのリッジやってるんやろ? なら大丈夫や」
「ほ、ホントですかぁ〜」

そういって強引にレイブレーサーの対戦を始める美々と緑……そしてゲーム終了後……。

美々
「は、速い……むっちゃ速いやんか緑ちゃんっ」
「は、はぁ、きっと……まぐれですよ(いけない、ついム キになってこの間収集したISSACのデータ使っちゃった)」
美々
「(ハァ、緑ちゃんに抜かれるとは思わなかったなぁ)」
「あ、あの、美々さん?」
美々
「ん?」
「ちょっとその辺を見てきますね」
美々
「うん、かまへんよ」

美々のそばを離れ一人がらがらのゲームセンター内を物色する緑。

「いろいろな物があるんですねぇ……あれ?  あれって ヴァーチャロン? わぁ、誰もいない、やって……みようかな」

説明を読んでからおずおずとコインを入れ、ゲームを開始する緑。

「よーし、がんばるぞぉ(ISSACデータ収集開始!)」

10分後。

「ああっ、やられちゃった……よし、もう一度……と思っ たけど……やめとこう。うーん、昨日古本をいっぱい買ったのが効いてるなぁ」
美々
「緑ちゃん終わった?」
「え、あ、はい」
美々
「ほな、かえろうか」
「かえりましょう」

ゲームセンターを出てまた歩き出す2人。

「あ、私はこっちですから……」
美々
「あ、それじゃね」
「はい」

美々と別れ、緑はまた一人で家路についた。



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部