- 滝郁代【たき・いくよ】
- 朝の友人。変身することができる。
- 日阪朝【ひざか・はじめ】
- サークルOFFICE KOBOLD会長。
- 朝
- 「なんで、こんなとこに連れてこられやなあかんねん……」
- 郁代
- 「買い込むのに、人手がいるから(笑)」
- 朝
- 「他には……」
- 郁代
- 「予定があったor売るほうに回ってるからな(笑)」
- 朝
- 「俺も、暇ちゃうぞ(苦笑)」
- 郁代
- 「言うて、来てるやん(笑)」
某館某壁際スペース。そこは長蛇の列。
- 郁代
- 「げ〜ぇ、ごっつうならんでるやんか〜」
- 朝
- 「この寒いのにようやるわ」
- 郁代
- 「って、あんたもならんでるやんか」
- 朝
- 「誰が並ばせとるんや」
- 郁代
- 「……」
- 朝
- 「……」
- 郁代
- 「……」
- 朝
- 「寒いな……。はよ順番こえへんかな」
- 郁代
- 「ほんまやな……」
- 朝
- 「あっ、見てみい! 『女性優先』やて」
- 郁代
- 「えっ、『あれ』をやれと……」
- 朝
- 「寒からなぁ、しかし……」
- 郁代
- 「わーった。寒いのかなわんし。ほなどっか人目につかん
所はと……」
2人は周りを見渡してみる。
しかし、どこもかしこも人人人……。
- 二人
- 「何処にあんねん、そんなとこ(真顔)」
- 朝
- 「ちょっと、俺トイレいってくるわ。待っとって」
- 郁代
- 「うーい(ぶるぶる)」
……数分経過。
- 朝
- 「いや〜、トイレ混どったわ。えらい時間かかったわ」
- 郁代
- 「うーまだ順番けえへんで。ひーちゃん俺もトイレ行って
くるわ」
- 朝
- 「んー」
……トイレ、そこも列が出来ている。
- 郁代
- 「げっ、男子用に女がおる」
……そう、行ったことのある人なら知っている。男子用トイレの「大」に女性が並んでいることが「まま」あるのである。
- 郁代
- 「これはチャンスやなぁ」
- トイレの外
- 「なあ、見たぁ。さっきさぁ、ナコルルのさぁ、こすぷれ
のさぁ……」
- 郁代
- 「そうか! ナコルル、 ナコルルっと……(額に指をあて
て集中)」
体が縮みだし、淡い光に包まれだす。
身体は光によって見え無くなり、光は小さくなり、服に隠れてしまう。
と、ふたたび光が大きくなるが先程よりは大きくない。
光が消えるにつれその外形は男のそれでなく、女である。
し・か・も、はだかである。(お約束)
- 郁代
- 「う〜、さみ〜。はよ服着よっと」
……もそもそもそ。
- 郁代
- 「赤いバンダナで髪まとめてっと」
バタン、てってってってってっ……。
- 郁代
- 「あっ、ひ〜ちゃん、おまたせ〜!」
- 朝
- 「あんた誰?」
- 美々
- (ガチャ)「あろー(笑)」
- 桐子
- 「あら、今日は早いのね?(笑)」
- 美々
- 「学校、半日やってん(笑)」
- 桐子
- 「そうなの?(笑)」
- 美々
- 「んー……おやつなんかある?(笑)」
- 桐子
- 「ケーキを買ってあるけど……(笑)」
- 美々
- 「もろていい?(笑)」
- 桐子
- 「いいわよ、三人分買ってるから(笑)」
- 美々
- 「用意がいいやん(笑)」
- 桐子
- 「誰かさんが、いつ来てもいいようにね(笑)」
- 美々
- 「ふふん(幸ーせ☆)」
- 美々
- 「朝ちゃんは?」
- 桐子
- 「……学校。まだしばらく帰らないと思うけど」
- 美々
- 「ふーん」
(ガタン)
- 美々
- 「?」
- 桐子
- 「郵便じゃない?」
- 美々
- 「あ、ほんま……えーっと、朝ちゃん宛みたい」
- 桐子
- 「そう、机のうえに置いておいて……」
- 美々
- 「ん、了ー解……ん!?」
- 桐子
- 「どうしたの?」
- 美々
- 「差出人、女の人みたいやで……お姉ちゃん『滝郁代』っ
て名前の人知ってる?」
封筒は「花柄」で、「ハートマーク」のシールで封をしてある。
- 桐子
- 「えーっと……覚えがないけど」
- 美々
- 「んー、なんかスキャンダルの予感がする……」
- 桐子
- 「何言ってるの、この子は(苦笑)」
- 美々
- 「中身けっこう重いで、やっぱ何か波瀾含みの……(笑)」
- 桐子
- 「もう、貸しなさい(苦笑)」
- 美々
- 「焦ってる、焦ってる(笑)」
- 桐子
- 「からかわないの! ……朝君に女の子の友達がいたって、
別におかしくないでしょ……」
- 美々
- 「別に言い訳してもらわんでも(笑)」
- 桐子
- 「(カサカサ)……あら、ほんと結構重いわね」
- 美々
- 「こりゃ、 朝ちゃん帰ってきたら『家族会議の刑』やわ
笑)」
- 桐子
- 「そうね、尋ねてみるくらい構わないわよねぇ……」
数分後……。
- 美々
- 「中、開けてみよか?(笑)」
- 桐子
- 「ダメ」
- 美々
- 「中身気になって、イライラしてくるで(笑)」
- 桐子
- 「絶対ダメ」
- 美々
- 「おお、怖ぁ(笑)」
時間経過……桐子の口数が少ない……
- 美々
- 「んー、んー〜♪」
- 桐子
- 「フォークを口にしたまま歌を歌うのやめなさい(怒)」
- 美々
- 「ん……はーい(苦笑)」
- 桐子
- 「……」
- 美々
- (おぉ……イライラしてます、してます♪)
さらに時間経過……状況を楽しむ美々。
- 朝
- (ガチャ)「……ただいま」
- 美々
- 「あ、帰ってきた(笑)」
- 朝
- 「おお、学校早かったんか?」
- 美々
- 「ん、半日やってん。……それより……(苦笑)」
- 桐子
- (努めて平静を装っている)「あら、お帰りなさい……そこ
に朝君宛の封筒、来てるけど(微笑)」
- 朝
- 「……ん? 誰や?」
- 美々
- 「朝ちゃんの外妻ちゃうの?(笑)」
- 桐子
- 「美々っ!」
- 美々
- 「……怖ぁ(苦笑)」
- 朝
- 「何や?(眉をひそめる)」
- 美々
- 「家庭の危機(笑)」
- 朝
- 「何を……(聞き流して)……ああ、『郁代』からか(苦笑)」
- 美々
- 「誰なん、それ?(笑」
- 朝
- 「ん、こいつ?」
- 美々
- 「そう。 ハッキリさせとかんと……お姉ちゃん、さっき
から爆発しそうになってるで(笑)」
- 朝
- 「……何を言うてるんや?」
- 美々
- 「だから……」
- 桐子
- 「……郁代さんって、どういう人なの?」
- 朝
- 「何って……高校時代の悪友や」
- 美々
- 「悪友? つきあってたとかじゃなくて?」
- 朝
- 「何ぃ……誰とつきあうねん?(苦笑)」
- 美々
- 「その手紙の人」
- 朝
- 「え、『郁代』か?」
- 美々
- 「朝ちゃんの昔の彼女とか、 そんなんかなぁと思ったか
ら……」
- 朝
- 「……男やで、こいつ」
- 二人
- 「へ?」
- 朝
- 「紛らわしい名前してるけどな……こいつ、男や(苦笑)」
- 美々
- 「なーんや、てっきり……なぁ、お姉ちゃん?(笑)」
- 桐子
- (ホッ)
- 朝
- 「……ああ、それをさっきから……(笑)」
- 美々
- 「スキャンダルの予感やったのに(笑)」
- 朝
- 「アホ(笑)」
- 美々
- 「お姉ちゃんなんか、さっきからこーんな顔して……」
- 桐子
- 「やめなさい、もぅ(笑)」
- 美々
- 「で……中身何なん、それ?」
- 朝
- 「これか?」
- 美々
- 「うん。……なんか重いけど(笑)」
- 朝
- 「写真やろ」
- 美々
- 「写真?」
- 朝
- 「この前、某所に行くって言ってたのを、無理やりつきあ
わされたんや。で、そん時……」
- 美々
- 「某所?」
- 朝
- 「同人誌売ってるとこ」
- 美々
- 「ふーん(よく分かってない)……これ、開けていい?」
- 朝
- 「まぁ、見るほどのモンとちゃうで(笑)」
- 美々
- 「ええやん、ここまで話出てんから気になるし(笑)」
- 朝
- 「あ、こら(焦)」
- 美々
- 「焦るとこを見ると、さっきのは嘘とか……(笑)」
- 朝
- 「嘘ちゃう」
- 美々
- 「なら、ええやん(笑)」
- 美々
- 「……何をそんなに嫌がってるん?(笑)」
- 朝
- 「……写真に写るん、好きちゃうからな」
- 美々
- 「こんないい男が、写真写るの嫌やなんて贅沢言うて……
もったいないで(笑)」
- 朝
- 「ほっとけ(苦笑)」
テーブルの席に腰掛けて、封を開ける美々。
手前に座って、ぼんやりと眺める朝。
桐子は、再びワープロに向かっている。
- 美々
- (ペーパーナイフを片手に)「花柄の、趣味のいい便箋使っ
てるけど……言うのもなんやけど、字汚い人やわ(笑)」
- 朝
- 「そういうのは、本人に直接言うてくれ(苦笑)」
- 美々
- 「朝ちゃんの爪の垢、飲ませたらなあかんわ(笑)」
- 朝
- 「飲ませてよくなるんなら、一服盛るけどな(苦笑)」
- 美々
- 「で、中身は、と……あれ? 写真だけ?」
- 朝
- 「カミソリ入れんだけ、ええやろ(笑)」
- 美々
- 「そーいうの、心当たりがある時は、先言うといて(笑)」
中から、何枚かの写真が出てくる。
それらを流し見ていた、美々の手が……不意にとまった。
- 美々
- 「……(写真をジーッ)」
- 朝
- 「?」
- 美々
- 「……(朝をジーッ)」
- 朝
- 「??」
- 美々
- 「……普段、別にあたしらに何言うても構わんけど……」
- 朝
- 「ん?」
- 美々
- 「……やっぱり、嘘つくのだけはあかんわ」
- 朝
- 「何が?」
その写真を受け取ろうとする朝。美々が、すっと手を引っ込める。
- 朝
- 「おい!(苦笑)」
- 美々
- 「(無表情)……お姉ちゃん、ちょっとコレ見て……」
- 桐子
- 「え?」
朝に見せないようにして、その写真を桐子に見せる。覗き込んだ桐子の表情がわずかに曇るのを、朝は見たような気がした(笑)
- 美々
- 「さっき、朝ちゃん、男友達や言うてたんやなぁ……?」
- 朝
- 「……そうや」
- 美々
- 「で、こうやって写真見たわけやけど……どっからどう見
ても、この人『女の子』やん! しかも結構『可愛い』系の……」
- 朝
- 「え? 何を言うてん……(ゲッ!)」
- 美々
- (ピクッ)「……見たで、今の顔(無表情)」
- 朝
- 「……忘れとった……」
- 美々
- 「……何を? 郁代さんが女の人やってこと?(無表情)」
- 朝
- 「ちゃう、こいつは男や。間違いない」
- 美々
- 「ふーん、男にしては可愛いなぁ……もしかして、その手
の趣味の人なん?(無表情)」
- 朝
- 「どんな趣味や!?」
- 美々
- 「……見たままやん(無表情)」
- 朝
- 「『見たまま』って、まさか……(苦笑)」
- 美々
- 「朝ちゃんも人が悪いわ……お姉ちゃんみたいな人つかま
えといて、他にこんな趣味の人にまで手ぇ出すなんて……」
- 朝
- 「待て! ちょっと待て!」
- 美々
- 「……何?(無表情)」
- 朝
- 「お前、これについて誤解してるぞ(苦笑)」
- 美々
- 「……まぁ、あたしらも朝ちゃんのこと自体、誤解してた
みたいやけど……(無表情)」
- 朝
- 「それが誤解や!(苦笑)」
- 朝
- 「それに言うとくけどな……これは『郁代』とちゃう、『ナ
コルル』や(苦笑)」
- 桐子
- 「ナコルル?(悩)」
- 美々
- 「……あたしも詳しくは知らんけど、たしかゲームのキャ
ラクターの名前やで」
- 桐子
- 「……そうなの?」
- 美々
- 「……たぶん。 ゲーセン行く人の話に、そんな名前聞い
たことあるもん」
- 朝
- (マズいな……知らん人間に説明しても、 ほとんど説得力
無いぞ……)
- 美々
- 「……で、そのゲームの『ナコルル』さんがどうしたん?」
- 朝
- (あかん、最低最悪の状況や……)
- 美々
- 「だいたい、男がこんなラッピングで小包作るわけないや
んか! このひと、ホンマは女やろ!?」
- 朝
- 「いや、だから、違うて……(汗)」
- 美々
- 「これは腕くんでにやけてる……こっちは抱きつかれてる
……男同士でこんなんする!?」
- 朝
- 「あーいう場所は、とかく思考がおかしくなるもんや(汗)
実際、そーいう雰囲気にあふれとる」
- 美々
- 「朝ちゃん、往生際わるいわ!(ずびしっ)」
- 桐子
- 「……そのくらいにしといたら?(にこにこ)」
- 美々
- 「言うたかてお姉ちゃん。こーゆーことはハッキリさせと
かんと家庭の崩壊どころやないやん! 朝ちゃん、ホンマのところはどーなん?」
- 朝
- 「ど、どーなん言われてもやなぁ……どないこないも……」
- 桐子
- 「大丈夫よ……ねぇ朝君?(にこにこ)」
- 美々
- 「(びくっ)……朝ちゃん、ちょっと……(袖を引っ張る)」
- 朝
- 「なんや?(隣の部屋へ)」
- 桐子
- 「(写真を見ながら)ふぅん……コミケかぁ。 たのしそう
ねぇ……(にっこり)」
- 美々
- 「朝ちゃん……お姉ちゃん、怒ってるで」
- 朝
- 「お、怒るて……(汗)」
- 美々
- 「しかも、相当頭にきてるわ……(覗く)」
- 桐子
- (頭部に多数の怒りマークが!)
- 朝
- 「……ど、どないやっちゅうねんしかしぃ!?(焦)」
- 美々
- 「もー私でもフォローできんわ……あれで顔はにこやかや
しなぁ……」
つづく……のかな?
#続かなかったみたいだ。
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