エピソード137『波乱』


目次


エピソード137『波乱』

登場人物紹介

滝郁代【たき・いくよ】
朝の友人。変身することができる。
日阪朝【ひざか・はじめ】
サークルOFFICE KOBOLD会長。

某海会場にて……

「なんで、こんなとこに連れてこられやなあかんねん……」
郁代
「買い込むのに、人手がいるから(笑)」
「他には……」
郁代
「予定があったor売るほうに回ってるからな(笑)」
「俺も、暇ちゃうぞ(苦笑)」
郁代
「言うて、来てるやん(笑)」

某館某壁際スペース。そこは長蛇の列。

郁代
「げ〜ぇ、ごっつうならんでるやんか〜」
「この寒いのにようやるわ」
郁代
「って、あんたもならんでるやんか」
「誰が並ばせとるんや」
郁代
「……」
「……」
郁代
「……」
「寒いな……。はよ順番こえへんかな」
郁代
「ほんまやな……」
「あっ、見てみい! 『女性優先』やて」
郁代
「えっ、『あれ』をやれと……」
「寒からなぁ、しかし……」
郁代
「わーった。寒いのかなわんし。ほなどっか人目につかん 所はと……」

2人は周りを見渡してみる。
 しかし、どこもかしこも人人人……。

二人
「何処にあんねん、そんなとこ(真顔)」
「ちょっと、俺トイレいってくるわ。待っとって」
郁代
「うーい(ぶるぶる)」

……数分経過。

「いや〜、トイレ混どったわ。えらい時間かかったわ」
郁代
「うーまだ順番けえへんで。ひーちゃん俺もトイレ行って くるわ」
「んー」

……トイレ、そこも列が出来ている。

郁代
「げっ、男子用に女がおる」

……そう、行ったことのある人なら知っている。男子用トイレの「大」に女性が並んでいることが「まま」あるのである。

郁代
「これはチャンスやなぁ」
トイレの外
「なあ、見たぁ。さっきさぁ、ナコルルのさぁ、こすぷれ のさぁ……」
郁代
「そうか! ナコルル、 ナコルルっと……(額に指をあて て集中)」

体が縮みだし、淡い光に包まれだす。
 身体は光によって見え無くなり、光は小さくなり、服に隠れてしまう。
 と、ふたたび光が大きくなるが先程よりは大きくない。
 光が消えるにつれその外形は男のそれでなく、女である。
 し・か・も、はだかである。(お約束)

郁代
「う〜、さみ〜。はよ服着よっと」

……もそもそもそ。

郁代
「赤いバンダナで髪まとめてっと」

バタン、てってってってってっ……。

郁代
「あっ、ひ〜ちゃん、おまたせ〜!」
「あんた誰?」

後日……

美々
(ガチャ)「あろー(笑)」
桐子
「あら、今日は早いのね?(笑)」
美々
「学校、半日やってん(笑)」
桐子
「そうなの?(笑)」
美々
「んー……おやつなんかある?(笑)」
桐子
「ケーキを買ってあるけど……(笑)」
美々
「もろていい?(笑)」
桐子
「いいわよ、三人分買ってるから(笑)」
美々
「用意がいいやん(笑)」
桐子
「誰かさんが、いつ来てもいいようにね(笑)」
美々
「ふふん(幸ーせ☆)」
美々
「朝ちゃんは?」
桐子
「……学校。まだしばらく帰らないと思うけど」
美々
「ふーん」

(ガタン)

美々
「?」
桐子
「郵便じゃない?」
美々
「あ、ほんま……えーっと、朝ちゃん宛みたい」
桐子
「そう、机のうえに置いておいて……」
美々
「ん、了ー解……ん!?」
桐子
「どうしたの?」
美々
「差出人、女の人みたいやで……お姉ちゃん『滝郁代』っ て名前の人知ってる?」

封筒は「花柄」で、「ハートマーク」のシールで封をしてある。

桐子
「えーっと……覚えがないけど」
美々
「んー、なんかスキャンダルの予感がする……」
桐子
「何言ってるの、この子は(苦笑)」
美々
「中身けっこう重いで、やっぱ何か波瀾含みの……(笑)」
桐子
「もう、貸しなさい(苦笑)」
美々
「焦ってる、焦ってる(笑)」
桐子
「からかわないの! ……朝君に女の子の友達がいたって、 別におかしくないでしょ……」
美々
「別に言い訳してもらわんでも(笑)」
桐子
「(カサカサ)……あら、ほんと結構重いわね」
美々
「こりゃ、 朝ちゃん帰ってきたら『家族会議の刑』やわ
笑)」
桐子
「そうね、尋ねてみるくらい構わないわよねぇ……」

数分後……。

美々
「中、開けてみよか?(笑)」
桐子
「ダメ」
美々
「中身気になって、イライラしてくるで(笑)」
桐子
「絶対ダメ」
美々
「おお、怖ぁ(笑)」

時間経過……桐子の口数が少ない……

美々
「んー、んー〜♪」
桐子
「フォークを口にしたまま歌を歌うのやめなさい(怒)」
美々
「ん……はーい(苦笑)」
桐子
「……」
美々
(おぉ……イライラしてます、してます♪)

さらに時間経過……状況を楽しむ美々。

(ガチャ)「……ただいま」
美々
「あ、帰ってきた(笑)」
「おお、学校早かったんか?」
美々
「ん、半日やってん。……それより……(苦笑)」
桐子
(努めて平静を装っている)「あら、お帰りなさい……そこ に朝君宛の封筒、来てるけど(微笑)」
「……ん? 誰や?」
美々
「朝ちゃんの外妻ちゃうの?(笑)」
桐子
「美々っ!」
美々
「……怖ぁ(苦笑)」
「何や?(眉をひそめる)」
美々
「家庭の危機(笑)」
「何を……(聞き流して)……ああ、『郁代』からか(苦笑)」
美々
「誰なん、それ?(笑」
「ん、こいつ?」
美々
「そう。 ハッキリさせとかんと……お姉ちゃん、さっき から爆発しそうになってるで(笑)」
「……何を言うてるんや?」
美々
「だから……」
桐子
「……郁代さんって、どういう人なの?」
「何って……高校時代の悪友や」
美々
「悪友? つきあってたとかじゃなくて?」
「何ぃ……誰とつきあうねん?(苦笑)」
美々
「その手紙の人」
「え、『郁代』か?」
美々
「朝ちゃんの昔の彼女とか、 そんなんかなぁと思ったか ら……」
「……男やで、こいつ」
二人
「へ?」
「紛らわしい名前してるけどな……こいつ、男や(苦笑)」
美々
「なーんや、てっきり……なぁ、お姉ちゃん?(笑)」
桐子
(ホッ)
「……ああ、それをさっきから……(笑)」
美々
「スキャンダルの予感やったのに(笑)」
「アホ(笑)」
美々
「お姉ちゃんなんか、さっきからこーんな顔して……」
桐子
「やめなさい、もぅ(笑)」
美々
「で……中身何なん、それ?」
「これか?」
美々
「うん。……なんか重いけど(笑)」
「写真やろ」
美々
「写真?」
「この前、某所に行くって言ってたのを、無理やりつきあ わされたんや。で、そん時……」
美々
「某所?」
「同人誌売ってるとこ」
美々
「ふーん(よく分かってない)……これ、開けていい?」
「まぁ、見るほどのモンとちゃうで(笑)」
美々
「ええやん、ここまで話出てんから気になるし(笑)」
「あ、こら(焦)」
美々
「焦るとこを見ると、さっきのは嘘とか……(笑)」
「嘘ちゃう」
美々
「なら、ええやん(笑)」

封書は開かれた……

美々
「……何をそんなに嫌がってるん?(笑)」
「……写真に写るん、好きちゃうからな」
美々
「こんないい男が、写真写るの嫌やなんて贅沢言うて…… もったいないで(笑)」
「ほっとけ(苦笑)」

テーブルの席に腰掛けて、封を開ける美々。
 手前に座って、ぼんやりと眺める朝。
 桐子は、再びワープロに向かっている。

美々
(ペーパーナイフを片手に)「花柄の、趣味のいい便箋使っ てるけど……言うのもなんやけど、字汚い人やわ(笑)」
「そういうのは、本人に直接言うてくれ(苦笑)」
美々
「朝ちゃんの爪の垢、飲ませたらなあかんわ(笑)」
「飲ませてよくなるんなら、一服盛るけどな(苦笑)」
美々
「で、中身は、と……あれ? 写真だけ?」
「カミソリ入れんだけ、ええやろ(笑)」
美々
「そーいうの、心当たりがある時は、先言うといて(笑)」

中から、何枚かの写真が出てくる。
 それらを流し見ていた、美々の手が……不意にとまった。

美々
「……(写真をジーッ)」
「?」
美々
「……(朝をジーッ)」
「??」
美々
「……普段、別にあたしらに何言うても構わんけど……」
「ん?」
美々
「……やっぱり、嘘つくのだけはあかんわ」
「何が?」

その写真を受け取ろうとする朝。美々が、すっと手を引っ込める。

「おい!(苦笑)」
美々
「(無表情)……お姉ちゃん、ちょっとコレ見て……」
桐子
「え?」

朝に見せないようにして、その写真を桐子に見せる。覗き込んだ桐子の表情がわずかに曇るのを、朝は見たような気がした(笑)

美々
「さっき、朝ちゃん、男友達や言うてたんやなぁ……?」
「……そうや」
美々
「で、こうやって写真見たわけやけど……どっからどう見 ても、この人『女の子』やん! しかも結構『可愛い』系の……」
「え? 何を言うてん……(ゲッ!)」
美々
(ピクッ)「……見たで、今の顔(無表情)」
「……忘れとった……」
美々
「……何を? 郁代さんが女の人やってこと?(無表情)」
「ちゃう、こいつは男や。間違いない」
美々
「ふーん、男にしては可愛いなぁ……もしかして、その手 の趣味の人なん?(無表情)」
「どんな趣味や!?」
美々
「……見たままやん(無表情)」
「『見たまま』って、まさか……(苦笑)」
美々
「朝ちゃんも人が悪いわ……お姉ちゃんみたいな人つかま えといて、他にこんな趣味の人にまで手ぇ出すなんて……」
「待て! ちょっと待て!」
美々
「……何?(無表情)」
「お前、これについて誤解してるぞ(苦笑)」
美々
「……まぁ、あたしらも朝ちゃんのこと自体、誤解してた みたいやけど……(無表情)」
「それが誤解や!(苦笑)」
「それに言うとくけどな……これは『郁代』とちゃう、『ナ コルル』や(苦笑)」
桐子
「ナコルル?(悩)」
美々
「……あたしも詳しくは知らんけど、たしかゲームのキャ ラクターの名前やで」
桐子
「……そうなの?」
美々
「……たぶん。 ゲーセン行く人の話に、そんな名前聞い たことあるもん」
(マズいな……知らん人間に説明しても、 ほとんど説得力 無いぞ……)
美々
「……で、そのゲームの『ナコルル』さんがどうしたん?」
(あかん、最低最悪の状況や……)
美々
「だいたい、男がこんなラッピングで小包作るわけないや んか! このひと、ホンマは女やろ!?」
「いや、だから、違うて……(汗)」
美々
「これは腕くんでにやけてる……こっちは抱きつかれてる ……男同士でこんなんする!?」
「あーいう場所は、とかく思考がおかしくなるもんや(汗) 実際、そーいう雰囲気にあふれとる」
美々
「朝ちゃん、往生際わるいわ!(ずびしっ)」
桐子
「……そのくらいにしといたら?(にこにこ)」
美々
「言うたかてお姉ちゃん。こーゆーことはハッキリさせと かんと家庭の崩壊どころやないやん! 朝ちゃん、ホンマのところはどーなん?」
「ど、どーなん言われてもやなぁ……どないこないも……」
桐子
「大丈夫よ……ねぇ朝君?(にこにこ)」
美々
「(びくっ)……朝ちゃん、ちょっと……(袖を引っ張る)」
「なんや?(隣の部屋へ)」
桐子
「(写真を見ながら)ふぅん……コミケかぁ。 たのしそう ねぇ……(にっこり)」
美々
「朝ちゃん……お姉ちゃん、怒ってるで」
「お、怒るて……(汗)」
美々
「しかも、相当頭にきてるわ……(覗く)」
桐子
(頭部に多数の怒りマークが!)
「……ど、どないやっちゅうねんしかしぃ!?(焦)」
美々
「もー私でもフォローできんわ……あれで顔はにこやかや しなぁ……」
つづく……のかな? 
 #続かなかったみたいだ。



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