エピソード142『妄想落ち』


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エピソード142『妄想落ち』

登場人物

湊川観楠【みなとがわ・かなみ】
娘におぼれてるパン屋。
湊川かなみ【みなとがわ・かなみ】
観楠の娘。
伊川望【いかわ・のぞむ】
観楠の敵。でも5歳の子供。
隅田美々【すみだ・みみ】
朝の追っかけ女子高生。
日阪朝【ひざか・はじめ】
観楠をつっこむ人。

むっ娘がっ!

場所はベーカリー楠……
 観楠の様子が何かおかしい……

観楠
「かなみ、ほんとにきれいだよ……」

純白のウェディングドレスに飾られたかなみ。その姿はまさに湖面に浮かぶ白鳥のよう。そして少しはにかみつつ、憂いを含んだ瞳は観楠に向けられている。

観楠
「かなみ……。ほんとにきれいだよ……」

もうそれしかいうべき言葉が見付からないのか、ただ、観楠はかなみにその言葉を繰り返すのみである。

かなみ
「御父様、長い間ありがとうございました」

深々と頭を下げるかなみ。そして再び観楠をみる目は抑え切れないのか涙が一筋……頬をつたっている。
 それを見て観楠、同じく涙する。

望 
「さあ、かなみ。もう式の時間だ」

その二人を引き裂くかのように「望」はかなみの手を取り、連れ出そうとする。

かなみ
「御父様……」
観楠
「かなみ……。ゆるさ〜ん!!」

観楠は、 「逆切れプッツンGTRパワー(謎)」でかなみの手を握り引き戻そうとする。

観楠
「かなみは誰にもやら〜ん!! おろろーん(目の幅涙)」
美々
「なぁ、朝ちゃん?」
「んー?」
美々
「アレ……店長さん、なんか変とちゃう?」
「あいつはいつでも変や」

と、二人はカウンターに座って百面相をしている観楠を振り返る。

美々
「でれっ、とした顔したかと思うと急に涙ぽろぽろ出すし、 泣き出した、思うと今度は真っ赤な顔してなんか怒ってるし……」
朝 
「病気やろ」
美々
「えっ、病気というと……(少し考えて……)恋煩い?」

ガシャンッ!! 

郁代
「わー!! 台拭き台拭きっ!!」
素子
「えっ、あっ!! 御免なさい!!」

郁代が座っているテーブルの上は、素子が置きそこなったピッチャーが倒れて一面紅茶の海である。広がった海の一部は郁代のジーンズに注ぎ込んでいる。



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