エピソード143『高校時代』


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エピソード143『高校時代』

登場人物

滝郁代【たき・いくよ】
朝の悪友。
日阪朝【ひざか・はじめ】
学祭の委員をやってるらしい……
二都優美々【にと・ゆみみ】
郁代と同じ部に所属。ブリザード少女。

学祭

時はまだ、朝が(不)真面目な高校生だった時のお話。

郁代
「……。ひまやな」

今は放課後。夕方、というには早すぎる時間である。郁代は教室に1人所在無さげに机に腰掛けている。

郁代
「……。帰りにケーキでも食って帰るかな……。でも…… 1人でいくのもアホらしいし……。ひーちゃんでも誘おかな?」

すると、ようやく会議が終わったのか朝が教室に戻ってきた。

「なんや。まだおったんか」
郁代
「なんやとはご挨拶やな。ま、連日会議で大変やね」
「しゃーない。実行委員何かになってもうたからな」
郁代
「で、文化祭なにやるん? うちのクラスは」
「最初ゆーてた、外でたこやきちゅうのは……」
郁代
「他の所がとったか」
「そうや。で、次にゆーてたダンパは……」
郁代
「3年にとられた」
「なんでしってんねん」
郁代
「聞こえた」
「ま、隣の教室で(会議を)やってたからな」
郁代
「で、最終的には?」
「室内で喫茶店、若しくは展示・イベントやな」
郁代
「で〜! いっちゃん嫌やゆーてたやつやん」

郁代、天を仰ぎ見てそのまま机の上に寝そべる。

「しゃーない。人気のあるやつ選んでたからな」

郁代むっくと起き上がる。

郁代
「むー。ほしたら今年はクラブとバンドに燃えるとするか」
「……。お前バンドなんかやってたんか?」
郁代
「なんやその疑わしそうな目は」

ちなみに郁代は「音痴:1」である。

郁代
「レベッカのコピーでベース弾いとる」
「歌わんのやな(よかった)」
郁代
「なにほっとしとんのや」

ぱたぱたぱた……。ガラッ! 

優美々
「あー。やっぱここにおった!」
郁代
「あれ? 今日ってミーティングの日?」

朝、誰やという目で郁代を促す。

郁代
「うちのクラブの同輩。『二都優美々(にと・ゆみみ)』ちゃ ん」

郁代、親指で朝を指し示し。

郁代
「ゆみみちゃん、こいつ、朝」
優美々
「あー! あのうわさの……」

そこで優美々は「しまった」、という顔をして、

優美々
「“たきし(滝氏)”早よおいでよ」

と言うなりそそくさと出ていく。

「おい……」
郁代
「……さ、ミーティングに行くかな」
「『うわさ』ってなんや」
郁代
「あっ、おくれてまう」
「お前、まさか『あの事』いいふらしてないやろな」
郁代
「まさか〜。『あの事』は2人だけの「ひ・み・つ」やん」
「……」
郁代
「あっ、怒った? ……まあ、青春の苦い1ページやと思 えば腹も立たんやろ(火に油)」
「……死ぬか。いっぺん」
郁代
「それはいややな」

優美々が戻ってきた。
 そして、彼女の発した言葉は教室に静かな沈黙を呼んだ。
 後述するが、これは『うわさ』の事をほのめかしてしまったことに対するリカバリーのつもりだったらしい……
 ミーティングの後……。
 郁代は高校近くのケーキ屋にいた。優美々も一緒だった。

優美々
「で、あれが『うわさの“ひーちゃん”』やの?」
郁代
「そう。そやけどさっきはまずいで。本人目の前にして」
優美々
「まあ、後でフォロー入れたからええやん」
郁代
「フォローね……」

郁代は溜息一つつくとチーズタルトをつつきはじめた。

優美々のフォローとは……

ぱたぱたぱた……、ガラッッ!! 

郁代
「なんや」
優美々
「たきし! ミーティングに『早よきたし』!」

ぴきーん。

優美々
「よし、凍り付いた、っと」

優美々は郁代を教室の外に運びだし、氷結呪縛をといた。
 彼女は、「寒いギャグ」で人を凍らせることができるのだった……



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