- 滝郁代【たき・いくよ】
- 朝の悪友。
- 日阪朝【ひざか・はじめ】
- 学祭の委員をやってるらしい……
- 二都優美々【にと・ゆみみ】
- 郁代と同じ部に所属。ブリザード少女。
時はまだ、朝が(不)真面目な高校生だった時のお話。
- 郁代
- 「……。ひまやな」
今は放課後。夕方、というには早すぎる時間である。郁代は教室に1人所在無さげに机に腰掛けている。
- 郁代
- 「……。帰りにケーキでも食って帰るかな……。でも……
1人でいくのもアホらしいし……。ひーちゃんでも誘おかな?」
すると、ようやく会議が終わったのか朝が教室に戻ってきた。
- 朝
- 「なんや。まだおったんか」
- 郁代
- 「なんやとはご挨拶やな。ま、連日会議で大変やね」
- 朝
- 「しゃーない。実行委員何かになってもうたからな」
- 郁代
- 「で、文化祭なにやるん? うちのクラスは」
- 朝
- 「最初ゆーてた、外でたこやきちゅうのは……」
- 郁代
- 「他の所がとったか」
- 朝
- 「そうや。で、次にゆーてたダンパは……」
- 郁代
- 「3年にとられた」
- 朝
- 「なんでしってんねん」
- 郁代
- 「聞こえた」
- 朝
- 「ま、隣の教室で(会議を)やってたからな」
- 郁代
- 「で、最終的には?」
- 朝
- 「室内で喫茶店、若しくは展示・イベントやな」
- 郁代
- 「で〜! いっちゃん嫌やゆーてたやつやん」
郁代、天を仰ぎ見てそのまま机の上に寝そべる。
- 朝
- 「しゃーない。人気のあるやつ選んでたからな」
郁代むっくと起き上がる。
- 郁代
- 「むー。ほしたら今年はクラブとバンドに燃えるとするか」
- 朝
- 「……。お前バンドなんかやってたんか?」
- 郁代
- 「なんやその疑わしそうな目は」
ちなみに郁代は「音痴:1」である。
- 郁代
- 「レベッカのコピーでベース弾いとる」
- 朝
- 「歌わんのやな(よかった)」
- 郁代
- 「なにほっとしとんのや」
ぱたぱたぱた……。ガラッ!
- 優美々
- 「あー。やっぱここにおった!」
- 郁代
- 「あれ? 今日ってミーティングの日?」
朝、誰やという目で郁代を促す。
- 郁代
- 「うちのクラブの同輩。『二都優美々(にと・ゆみみ)』ちゃ
ん」
郁代、親指で朝を指し示し。
- 郁代
- 「ゆみみちゃん、こいつ、朝」
- 優美々
- 「あー! あのうわさの……」
そこで優美々は「しまった」、という顔をして、
- 優美々
- 「“たきし(滝氏)”早よおいでよ」
と言うなりそそくさと出ていく。
- 朝
- 「おい……」
- 郁代
- 「……さ、ミーティングに行くかな」
- 朝
- 「『うわさ』ってなんや」
- 郁代
- 「あっ、おくれてまう」
- 朝
- 「お前、まさか『あの事』いいふらしてないやろな」
- 郁代
- 「まさか〜。『あの事』は2人だけの「ひ・み・つ」やん」
- 朝
- 「……」
- 郁代
- 「あっ、怒った? ……まあ、青春の苦い1ページやと思
えば腹も立たんやろ(火に油)」
- 朝
- 「……死ぬか。いっぺん」
- 郁代
- 「それはいややな」
優美々が戻ってきた。
そして、彼女の発した言葉は教室に静かな沈黙を呼んだ。
後述するが、これは『うわさ』の事をほのめかしてしまったことに対するリカバリーのつもりだったらしい……
ミーティングの後……。
郁代は高校近くのケーキ屋にいた。優美々も一緒だった。
- 優美々
- 「で、あれが『うわさの“ひーちゃん”』やの?」
- 郁代
- 「そう。そやけどさっきはまずいで。本人目の前にして」
- 優美々
- 「まあ、後でフォロー入れたからええやん」
- 郁代
- 「フォローね……」
郁代は溜息一つつくとチーズタルトをつつきはじめた。
ぱたぱたぱた……、ガラッッ!!
- 郁代
- 「なんや」
- 優美々
- 「たきし! ミーティングに『早よきたし』!」
ぴきーん。
- 優美々
- 「よし、凍り付いた、っと」
優美々は郁代を教室の外に運びだし、氷結呪縛をといた。
彼女は、「寒いギャグ」で人を凍らせることができるのだった……
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