エピソード161『卒業まで……』


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エピソード161『卒業まで……』

ベーカリー楠にて

時刻は夕暮れ、閉店時間も間近……。

素子
「ありがとうございました。さてっと、そろそろ片付けな いとね……あんたたち、そろそろ閉店よ」
三彦
「もうそのような時間か」
涼介
「んじゃ、帰る?」
三郎
「いやいや、夜かこれからけけけけけけけけ(笑)」
慎也
「……なんつー笑いだ(汗)」
「しかしまぁ、なんだな。もう当分の間ここにこれなくな るな」
慎也
「なんで? ……あ、そか」
「どう言うことなんですか?」
三郎
「我等は4月から受験生。世俗とのつながりを断ち切って そりゃもう“そーぜつ”な生活を送ることになっているのだ(笑)」
「壮絶かどうかは知らんが。まあ各個人がそれぞれ、受験 生としての生活を送るのには間違いないと思う……程度に差はあるだろうが」
慎也
「で、顕はここに来なくなる、と」
「目標実現のために、切れるものはきっとかないとな。あ れもこれもで息が詰まると挫折するだろうし」
素子
「あたしは……なんかやだな、そういうの」
三郎
「でも仕方無い。進学希望であるならね」
涼介
「うちって、エスカレーターじゃなかったっけ?(汗)」
三郎
「成績の悪い奴を身内だからってほいほい進学させるよう な所やないわな」
三彦
「しかも部外の人間からすれば不公平なことこの上ない」
涼介
「でも、いくら何でも息抜きなしってのは……(大汗)」
「そーですよねぇ」
慎也
「でもまぁ……しゃーないな(苦笑) とりあえず一年間が んばるか」
三彦
「うむ。一億玉砕、七生報國、鬼畜米英撃ちて死止まむ」
三郎
「ほしがりません勝までは!(笑)」
「なんの話だ(笑) さて。先、帰るわ」
慎也
「んじゃ、俺も……緑ちゃんは?」
「あ、私も帰ります」
三郎
「学院組のお帰り〜(笑)」
素子
「……あんたたちも帰るんじゃないの?」
涼介
「いや、そうなんだけど」
三彦
「岩沙の奴がなにやら」
三郎
「うひうひうひ(笑)」
素子
「そーいう笑い方、やめなさいって」

カランコロン……

琢磨呂
「遅くなった!」
素子
「もォ閉店時間なんですけどっ」
竜胆
「ごめんね、モコちゃん(苦笑) だいたい、あんたがいー かげんしつこいからいけないのよっ!」
琢磨呂
「姐さんこそ、待ちプレイなんて卑怯じゃねーか!」
竜胆
「おーほほほ! 卑怯なんて言ってるようじゃまだまだ甘 いわっ」
三彦
「人をこんな所に足止めしておいて貴様、遊び回っておっ たのか?」
素子
「こんな所って、なによ!」
三郎
「まぁまぁ(笑)」
涼介
「でも、えらく遅かったね」
三彦
「申し開きはあるか?」
琢磨呂
「おう、聞いてくれってなもんだぜ! メビウスランドで ヴァーチャロンの対戦やってたんだが、姐さんと来たら初心者相手に勝ち優先な戦い方を……」
竜胆
「じょぉだんじゃないわっ! テムジンライダーとしての 常套手段じゃなぃ。だいたい、手加減抜きで頼むぜって言ったのあんたでしょ!」
琢磨呂
「男が女に手加減なんか頼めるかよっ!」
竜胆
「ほほぅ。そういうことを言うのは……この口かっ!」
琢磨呂
「ふ、ふがががががっ!」
竜胆
「この口か、この口が言ったのかぁ!(笑)」
素子
「(ぶちっ)……ぃ」
竜胆
「おーほほほほ!(笑)」
琢磨呂
「ふがーーーーっ!」
素子
「いいいいーーかげんにぃぃぃぃせんかぁぁぁぁっ!!(怒)」

素子、中にいた『客』たちをひとまとめにし、問答無用で放り出す(苦笑)

素子
「ったくもぉっ!」
観楠
「素子ちゃん……どうかした?」
素子
「あ、いえ、なんでも(汗)」
観楠
「そ。じゃ、あとやるから、あがってくれて……」
素子
「店長」
観楠
「はい?」
素子
「えっと、バイトのことなんですけど……」
観楠
「バイト? あぁそっか。素子ちゃん今度三年生だっけ。 なら、やっぱりまずいかぁ(苦笑)」
素子
「まずいって事もないと思うんですけど……」
観楠
「いやいや、やっぱり受験生だし大事な時期だしね。じゃ あとりあえず……今からだと4月中旬ってコトになるかな」
素子
「そうです、ね」
観楠
「……寂しくなるなぁ」
素子
「……」
観楠
「こればっかりは仕方ないけど(苦笑) がんばってね」
素子
「……はい」
観楠
「応援してるから。そ、それと……(赤面) こ、こないだ は、その……ごめんね」
素子
「え、あ……(赤っ)
観楠
「ホントにごめん!」
素子
「店長……」
観楠
「許してもらえないかもしれないけど、謝らせてほしい」
素子
「……」
観楠
「素子ちゃんにどう思われても仕方ないけど、あ、あのと きの言葉はホントだから……な、なに言ってるんだろうな一体(赤面)」
素子
「……(赤面)」
観楠
「だ、だから!」
素子
「は、はいっ」
観楠
「へ?」
素子
「あ?(くすっ)」

観楠と素子、なんだかおかしくて思わず吹き出してしまう。

観楠
「……ホントは今すぐ返事聞きたいんだけど」
素子
「(私は……)」
観楠
「それは……卒業まで、待ってるヨ(照)」
素子
「店長……」
観楠
「こんなコト忘れてくれてもいいから……忘れた方がいい かな? ん、この話はここまでだね。ごめんね、混乱……した?」
素子
「……店長って、結構狡いんですね」
観楠
「そ、そっかな(汗)」
素子
「私だって言いたいことたくさんあるんですけど……ちっ ともしゃべらせてくれないし」
観楠
「あ、あぁ(汗)」
素子
「……先に着替えます」
観楠
「……うん(汗)」
観楠
「……やっぱり、嫌われたかなぁ……あぁっ、ちくしょー!  気まずいなぁ……(悩)」

おまけ

源滋
「……アレから1ヶ月、噂自体は順調な広がりを見せてい るのであのテーブルの効力は薄れていない筈……」
観楠
「うわぁっ!?」
源滋
「唯一問題があるとすれば噂は2月14日と3月14日しか効 果が無いと伝えている点……」
観楠
「む……紫さんっ!?」
源滋
「即ち今日中に事を済ませないと恩恵は受けれない事に……」
観楠
「ちょ、ちょっと?」
源滋
「2月に例のテーブルで何を話していたのかは知りません が、今日を外せば困る事に……」
観楠
「もしもし、聞いてます?」
源滋
「おぉ、もうこんな時間だ。早く帰って「木曜の怪談」を 見なければ……」
観楠
「……行ってしまった……」



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