エピソード166『緑! ピンチ』


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エピソード166『緑! ピンチ』

謎の男

ぼーっとして道を歩いている緑……。

謎の男
「水島……緑さんだね?」
「(ぼーっ)」
謎の男
「あ、あの。水島緑……さん?」
「あっ、はいっ……そう……ですけど、なにか……」
謎の男
「あのですね……」
慎也
「あれ? 緑ちゃんどうしたの?」
「あ、慎也さん……あの、この人が」
謎の男
「(ちっ、邪魔が入ったか) いや、ちょっとお願い事があ りまして」
「(なんで私の名前を知ってるんでしょう)」
慎也
「はぁ? なんなんですか、あなた」
謎の男
「実は貴女に死んで貰いたいのです」
「えっ? (危険指数2……対象は刃物、又はそれ以上に 鋭利なものを所持! 自動的に戦闘モードで対処可)」
慎也
「この野郎ふざけるなっ」
謎の男に殴りかかる慎也)
謎の男
「貴女は組織にとってじゃまなのですっ」
「慎也さんだめぇぇっっ」
慎也を突き飛ばす緑同時に男にパンチを放つ)
謎の男
「(インパクトブレーカー! やるなDr.水島)ぐぐおぉぉ」
「!? この人……ロボットっ……かはっ」
一発でしとめたと油断した緑の腹部に深々とナイフが突き刺さる)
謎の男
「(このダメージではいきてはいけまい)ふふふ、やったぞ 任務完了だ」

恐るべき早さで男は走り去り同時に地面へ崩れ落ちる緑……。

慎也
「いっつつつつ。はっ、緑ちゃん!」
緑へ駆け寄り抱き起こす。と、同時に手についた血糊に驚愕する)
慎也
「緑ちゃん、しっかり。死んじゃダメだっ! 今、救急車 を呼ぶから」
「(ダメージ甚大……早急にスリープモードへの移行を希 望)だ……だめ……」
消え入りそうな声で呟く緑)
慎也
「緑ちゃん……もう、しゃべらないで」
「きゅ……救急車……だ……め。  パパに……私の…… 家……に」
慎也
「そんな、ダメだよ緑ちゃん」
「は……早く……うっ(これ以上の稼働は危険! スリー プモードへ!)」
慎也
「くそう、こうなったら緑ちゃんのパパさんに賭けるしか ないっ」

慎也、緑を抱きかかえ走り出す。

「(スリープモードへ移行……さらに外部からの入力を全て カット)」
慎也
「くそっ、死ぬな……死んじゃだめだ緑ちゃん」

そのころの水島家

孝雄
「ママ、プリンの買い置きはあったかな?」
緑ママ
「ええ、冷蔵庫の中にまだあったと思いますけど」
孝雄
「そうか、プリンプリンーっと」
緑ママ
「全く孝雄さんのプリン好きも困ったものね(くすっ)」
孝雄
「おおっ、これは焼きプリンっっっ(ぱくっ) おいちい!」
インターホン
「ピンポーン」
緑ママ
「あら、誰か来たようね」
孝雄
「む、私が出よう……おいちい!」
孝雄
「(インターホンを取って)どなたかな〜」
慎也
「あっ、片山ですっっ緑ちゃんが大変なんです」
孝雄
「なにっ、それは本当かっっっ。今開けるぞっ」

プリンをテーブルにおいたままあわただしくドアへ走っていく孝雄。

孝雄
「(緑のみに何が起こったんだ? まさか……)」
ドア
「がちゃり」
ドアを開けるとそこには血塗れの緑を抱えた慎也が立っている)
慎也
「早く緑ちゃんをっ」
孝雄
「(緑を受け取って)うむ、緊急オペが必要だな……地下ラ ボに運ぼう」
慎也
「あの、僕は……」
孝雄
「君も来なさい……あとで話すことがある」
慎也
「あっ、はいっ(話すことってなんだろう)」

走り出す孝雄にあわててついていく慎也。

10時間後……

ドア
「ガチャリ」
慎也
「あのっ、緑ちゃんは」
孝雄
「まぁ、まず座りなさい」
慎也
「(な、何を言われるんだろうか)」
孝雄
「君は……緑をどう思ってる」
慎也
「僕は……緑ちゃんが好きです。まだ、緑ちゃんには伝え てませんが」
孝雄
「そうか……それを聞いて安心した……ならば君には話し ておかねばならないな」
慎也
「なにを……ですか?」
孝雄
「緑のことをだよ。率直に言うが……緑の体は生身の体で はない」
慎也
「えっ、そ、それはどういう」
孝雄
「緑は幼いころに事故に巻き込まれてな……もう生きては 行けないと言われるぐらいの怪我を負ったのだ。緑を生存させるにはあれしかなかったのだ」
慎也
「あれってもしかして映画とかによくある……」
孝雄
「そう、私は緑をサイボーグ化したのだ……」
慎也
「それで、どのぐらい」
孝雄
「脳と脳髄をのぞく全てだ」
慎也
「そ、そんなことが」
孝雄
「今までトラブルが出たことは何度かあるが全て軽いもの だ……。
それで、サイボーグ化したための一番の問題だか……」
慎也
「なにか……あるんですか?」
孝雄
「ある……まず当時私の使った技術が戦闘用ロボット用の ものだという事だ、つまり緑は戦闘用だ……さらに会社の金を使ったので会社側が時々機能テストを要求してくることだ……これには緑も同意して要求される度に会社に赴くが……」
慎也
「嫌々行ってるわけですね」
孝雄
「そうだ、これが緑に関する全てだ、理解して貰った上で 改めて緑に対する気持ちを固めて欲しい」
慎也
「それを聞いたって僕の緑ちゃんに対する気持ちは変わり ません、それで緑ちゃんはどうなったんです?」
孝雄
「そうか、解ってくれたか、緑は今地下のベッドで眠って いる……そばにいてやってくれ」
慎也
「は、はいっ解りました」

席を立つと地下へのドアに向かう慎也。

孝雄
「入ってすぐ右の通路を突き当たったところだ」

ベッドに寝ている緑をのぞきこむ慎也。

「ZZZZZ」
慎也
「緑ちゃん……良かった……」
「ZZZZZ」
慎也
「ごめん、僕が本当は守る立場なのに……君に守られてばっ かりだね」
「(ここは……私の家……ベッドの上……あれ……慎也…… さん?)」
慎也
「僕はこんなに君が好きなのに……未だ言い出せない」
「(慎也さんが私を……す・き? うれしい)」
慎也
「緑ちゃん……僕は……あれ? 緑ちゃんおきてたの?」

いきなり首に抱きつかれびっくりする慎也。

慎也
「もうキズは大丈夫なの? 緑ちゃん。あれ? どうして 泣くの? 傷がまだ痛むの?」
「ううん、違うんです、違うんです(泣)」
慎也
「じゃ、なぜ?」
「うれしいんです、慎也さんの気持ちが聞けて(泣)」
慎也
「あ、聞いてたのか、恥ずかしいな」
「(泣)」
慎也
「もう、こんな時間だ、そろそろ家に帰らなきゃ。また明 日来るよ」
「慎也さん」

超至近距離で見つめ合ってしまう二人……その顔が徐々に近づいていく……そして自然と二人の唇が重ね合わされる。

慎也
「それじゃ」
「はい」

慎也は部屋を出、緑は眠りについた。



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