四時過ぎ。既に各部の勧誘作業も終わりはじめ、サークルなどの出店も撤収に入っている。
- 文雄
- 「さてと……帰るか」
- 勧誘員男
- 「あの、一回の方ですよね」
- 文雄
- 「(このひげを見てもそう考えるのか?)ああ、確かに一回
だ。……ただし、修士一回だがな」
- 勧誘員女
- 「あの、一回の方ですよね」
- 文雄
- 「(どうやら修士の一言がちゃんと理解できていないらし
いな)」
- 勧誘員男
- 「まだサークルとか決めていないんですよね?」
- 文雄
- 「(四時過ぎになっても校内をうろついているというのは、
行くところが決まっていれば無いだろうな)」
- 勧誘員女
- 「美術部は面白いですよ」
- 文雄
- 「四年前には面白そうなところが無かったんでどこにも入
らなかったんだがな(正確には途中でやめたんだが)」
- 勧誘員男
- 「えっと……もしかして院生の方ですか?(汗)」
- 勧誘員女
- 「どうもすみませんでしたっ(平謝りっ)」
- 文雄
- 「ま、別に良いんだが」
勧誘員達は逃げ去った。
- 文雄
- 「世のなか侮れんな(ひげをいじる)」
そして……雑踏のさくら通りを帰途に就いた。
- ナンパ男1
- 「でさ、いいとこ知ってるんだけど行かない?」
- 一回女1
- 「そうねぇ……」
- 文雄
- 「(入学そうそうナンパかね)」
- ナンパ男2
- 「駅前に良い喫茶店あるんだけど」
- 一回女2
- 「ええっ、でも……(躊躇)」
- ナンパ男2
- 「(なんだよ、サテンに誘っただけなんだぜ。たいしたお
嬢様だぜ)」
- 一回女3
- 「行ってみましょうよ、ね」
- 文雄
- 「(やれやれ)」
数歩歩くごとにナンパの会話が聞こえる。
さすがに文雄も呆れてしまったらしい。
- 文雄
- 「やれやれ、いくらさくら通りだからってこいつはやりす
ぎってもんじゃありませんかね、桜姫様。(呟くように)」
困ったような笑みを浮かべた桜姫の姿が、一瞬目に写ったような気がした。
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