エピソード183『三郎君の特殊能力』


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エピソード183『三郎君の特殊能力』

植木三郎
特殊技能「虚構構築:13」を使う。

本文

観楠
「ふわぁ〜ぁ」
三郎
「……で……が……に……の……は……」
観楠
「……三郎君、なに、言ってるの〜」
三郎
「助詞」
観楠
「女子?」
三郎
「助詞」
観楠
「助詞?」
三郎
「そう」
観楠
「なんでまた」
三郎
「ま、そういうことで」
観楠
「……?」
素子
「店長、考えてると胃にきますよ」
かなみ
「さぶちゃん、じょし、って、何?」
三彦
「む?」
三郎
「おまえちゃう、おまえと」
かなみ
「ねー、何?」
三郎
「うむ。金太一恭助編・欧文社国語辞典によると」
かなみ
「うん」
三郎
「ほかの単語の後に付き、語の作用を決定する品詞」
かなみ
「うん」
三郎
「……以上だ」
かなみ
「うん」
三郎
「……わかったの?」
かなみ
「え……何が?」
三郎
「……もーええもん。しくしく」
素子
「馬鹿者」
三郎
「けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ浅井ぃ」
素子
「何?」
三郎
「もちろん濃いコーヒー追加なのだ」
浅井
「……はいはい」
観楠
「あ、ちょっと三郎君」
三郎
「なんすか」
観楠
「あの……これでツケ五千円突破なんだけど」
三郎
「……」
観楠
「今日、たしか三郎君、お金持ってたよね……」
三郎
「……」
観楠
「……」
三郎
「ひ、ひひ、けけけけアラーとか仏とか神とかだれでもい いご加護をっ転移するぞ転移するぞけけけけけけ」

と三郎が叫ぶや神か仏かアッラーか彼は虚構ならなんでもできるとばかり瞬時にして23行先に転移したのである。

観楠
「あれ、三郎君は?」
三彦
「む? おらぬか」
観楠
「いや、その、おらぬかじゃなく」
三彦
「あれはそういう奴でしてな」
観楠
「う、うん……そういう奴、なの」
三彦
「左様」
素子
「ま、いいじゃないですか店長。この席もう2時間も占拠 してたんだし」
三彦
「全くこの大非常時に怪しからんやつだ」
素子
「あんたも、なの」
観楠
(……最近……疲れる……な)

所変わって状況変わる。

影跳
「む?」
「どうしたの?」
影跳
「何やら、不穏な気配が」
「え……」
影跳
「環、危険だ、下がってろ」
「下がるって、こんな道の真ん中じゃ下がりようが無い……」
影跳
「……! 来る!」
三郎
「う、うわ、うわ」
「あっ!」
影跳
(ワープ……して来たのか?! くそっ、先手を取られた!) 「環、俺から離れろ!」
三郎
「こ、こりゃ一体」
影跳
「どこの差し金だっ」
三郎
「お、おれか! 何を隠そうロシアの手先、記号論者菅野 香澄だだっ」
影跳
「そうか、よし、かかってきな」
三郎
「ななな何を言っとるんやお前」

影跳の手から一筋の銀の光が飛ぶ。

三郎
「うわっ、時間が突然にスローモーションになったあっ。 なななんだこれは目の前にナイフがあるではないかそうかこの野郎めが投げやがったんやな危ないもう少しで当たる避けなければうおおおよしっ回避OK。しかしこのままではいずれ殺される。そう判断した三郎は咄嗟に背を向けマッハ2.2の速度で駅方面へと転進したあ」
影跳
「……何を言ってるんだお前」
三郎
「へ? あ、こりゃまた失礼しました……およびで無い」
影跳
「俺のナイフをかわすとは……」
三郎
「……忘れとった! んなことしとったら殺される! も、 :もうええわベーカリーに戻る戻ったほうがなんぼかましや」
素子
「はい、コーヒーね」
三郎
「おおうっ、びびった……」
素子
「……何が?」
三郎
「い、いや、ま、その、な」
影跳
「くそ、逃げられたか……」
「ねえ、あいつ逃げる時、ベーカリーがどうのと言ってな かった?」
影跳
「え? ……そ、そういえば、そんな気もするなあ」
観楠
「三郎君、5230円ね」
三郎
「なな何のことやら……(汗)」
かなみ
「さぶちゃん、5230えんって何?」
三郎
「ま、まあ、これはその、ね、いわゆるその……(激汗)」
素子
「はい、店長」
三郎
「お、おいっ浅井おれの財布を」
観楠
「はいはい……5230円、ね。頂戴いたしました」
影跳
「……行ってみるか」
「観楠さんの店?」
影跳
「うん」
三郎
「むぉぉぉ……バイト代がぁぁ……本代がぁぁぁ」
素子
「大馬鹿者」



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