エピソード198『ぱぱ』


目次


エピソード198『ぱぱ』

登場人物

湊川観楠(みなとがわ・かなみ)
ベーカリー楠のマスター
岩沙琢磨呂(いわさ・たくまろ)
軍事マニアの破天荒な高校生

本編

琢磨呂は、学校の帰りにベーカリーで観楠からすでに廃刊になってしまった雑誌『プラトゥーン』のバックナンバーを借り、ついでに紅茶を一杯やっているところである。

琢磨呂
「イヤァ〜、でも店長マジ助かったよ、サンキュ! まさ かプラトゥーンのバックナンバーがあるとは思わなかった。何でも聞いて見るもんだねぇ……」
観楠
「そういや、慎也君とかは持ってなかったの?」
琢磨呂
「……なぁ、店長……シンは17歳だぜ? プラトゥーンが 廃刊になった当時はまだ小学生だってば(笑)」
観楠
「いやぁ……三彦君ぐらいだったら、当時から定期購読し てそうじゃない」

その頃三彦は家の便所で……。

三彦
「ごほごほ……不死の病……ではなく……誰かうわさして おるな?」

所変わって再びベーカリー楠。

琢磨呂
「あいつ……いまごろ『ごほごほ不死の病だ』とか言って んじゃねーのかな(笑)」
観楠
「それは三郎君でしょうに」
琢磨呂
「最近あれが流出してるから(^^;」
観楠
「そーなんだ」
琢磨呂
「でも、マジで良かったよ、身近にプラトゥーンバックナ ンバー持ってる知り合いが居てさ」
観楠
「伊達に年くってないってば」
琢磨呂
「おやぢだもんねぇ〜」
観楠
「”お兄さん”だぁぁっ!」
琢磨呂
「言い方が悪かったか……”ぱぱ”さん……」
観楠
「(急に顔がほころぶ)……あのねぇ(照れ照れ)」
琢磨呂
(何たるEASY!)
琢磨呂
「じゃ、パパさん、ツけといてねっ」
観楠
「うんうん(にこにこ)」

カランコロン……受験と言う恐怖を背負いこんだ"傷心のぢょしこーせー"こと、モトコ・アサイのいない寂しい店内にたたずむ観楠の耳には、扉をくぐった琢磨呂が与えたエネルギーによって鳴り響く鐘の音だけが聞こえていた。

琢磨呂
(上手く行ったな……今日は一文なしだったのだ(笑))



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