エピソード216『あきりん、Windows95に苦戦する』


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エピソード216『あきりん、Windows95に苦戦する』

ベーカリーにて

琢磨呂
「よう、姐さん。DESKPOWER買ったんだって? ペンチの120 は速いだろ?」
竜胆
「……それがねー。慣れてないから使いづらいことこの上 ないのよね」
琢磨呂
「そこまで言うこたねーだろ(汗)」
竜胆
「マウスちまちま動かしてるより、キーボードでさくさく やった方が解り易いわよぉ。ファンクションキーの方が機能書いてるから、解り易いしぃ」
琢磨呂
「姐さん、ショートカットって言葉知ってるか?」
竜胆
「あたしの髪型」
琢磨呂
「そーじゃなくて」
竜胆
「コーナー曲がる時にグリーンつっこんで走るやつ」
琢磨呂
「……ボケてんな(汗)」
竜胆
「やーね。知ってるわよぉ。Altキーと組み合わせていろい ろできるやつ」
琢磨呂
「それ使えばいいじゃねーか」
竜胆
「キーボードからして違うのに、一度にそんなに判る訳な いでしょ」
琢磨呂
「その割に一度にいろいろ覚えようとしてるんじゃねーか」
竜胆
「ごめんねっ!」
琢磨呂
「そもそもだな。姐さんのDOS環境って、まりまり氏が作っ たやつだろ。かなりカスタマイズされてんじゃねーのか」
竜胆
「うん。一から何まで全部更ちゃんが仕込んでった」
琢磨呂
「そんなとこから、いきなり95に移っちゃ、そりゃ混乱も するぜ。よし、今度、オレが特別指導してやるよ」
竜胆
「はぇ? 特別指導? ウチに来るの?」
琢磨呂
「そーしねーと教えようがないだろ」
竜胆
「や、やめとかない? 今、すっごく散らかってるから。 それに、当分片付かないだろうしぃ(汗)」
琢磨呂
「だから、今度って言ってるだろ」
竜胆
「……いや、ホントに、座る場所もないんだから(汗)」
観楠
「それにしても、二人ともホントに仲がいいなあ(しみじ み)」
素子
「何か言いましたか?」
観楠
「え? あ、いや、なんでもないよ、ははは(乾笑)」

りんぱわーSX!? の巻

豊秋竜胆は新型パソコンをかったは良いが、どうも操作感覚等に慣れ親しめずに困っていた。岩沙琢磨呂がこんな隙をみすみす逃すわけも無く、さっそく豊秋邱を強襲、竜胆のパソコン改造か計画を実行に移したのだった……
 ぴんぽぉ〜ん

竜胆
「あわたたた……は、はい〜?」
琢磨呂
「俺だよ、姐さん、開けてくれ」
竜胆
「ま、まだ片付けが」
琢磨呂
「(ドアの向こうで)……姐さんが片付けるまでってな、俺 を3日3晩ここで待たせるつもりか? 姐さんの部屋がきたねぇのは100も承知だ。まりまり氏と違って俺はそんなことで文句タレまくったりしねーから開けてくれよ」
竜胆
「んもう……しょーがないわね……(がちゃ)」

扉が開くと同時に、部屋の奥から香ばしいクッキーの匂いが流れ出し、琢磨呂の鼻を刺激する。

琢磨呂
「むっ! ココ、この匂いはっ!」
竜胆
「……だから嫌だっていったのに……」

台所からのクッキーの香りに引き寄せられる琢磨呂を、竜胆羽交い締め。

琢磨呂
「う、うぬっ……(うーむ、相変わらず真性Aカップか)」
竜胆
「おわったら食べさしたげるから仕事しなさい! 仕事!」
琢磨呂
「く、クソッ……俺が菓子を好きだと知っての精神誘導作 戦だな……解った。ちゃんと『ワーレンスペシャルチューニング』してやるよ」
竜胆
「いっとくけど、岩沙が使い易いようにするんじゃないん だからね。あ・た・し・が・使い易いようにするのよ」
琢磨呂
「わーったわーった! ちゃんとやるから、俺の大好きな アレ焼いといてくれ! 頼む!」
竜胆
「アレって……チョコクッキーのこと?」
琢磨呂
「そう……頼む、な!?」
竜胆
「OKっ」
琢磨呂
「ぎぶあんどていく……ってわけだ。交渉成立! 姐さん、 カバー空けるぜ」

琢磨呂、持ってきたSCSIカードを竜胆のデスクパワーに差し込み、EZドライブを繋ぐ。

竜胆
「なにそれ?」
琢磨呂
「俺様がつい最近買ったEZドライブってやつだ。持ち運び やすいんで気に入ってる、カートリッジ式のハードディスクってやつさ」
竜胆
「ふーん」
琢磨呂
「(画面を見ながら)姐さんよぉ、FDとか使いまくってた方 か?」
竜胆
「FDって……フリーソフトの?」
琢磨呂
「そう」
竜胆
「使ってたよぉー。Windows95のえくすぷろーらーとかっ てさ、FDみたいなのと全然勝手が違って、凄く使いにくいの。このまえ朝さんが”慣れれば使い易い”みたいなん言ってたけど……やっぱりあたし駄目だなァ……前のパソコン引っ張りだしてきて使おうかしら?」
琢磨呂
「姐さんよ、何のために俺が居るか、全然解ってねーだろ!」
竜胆
「だってさっきからあんまり進展が無いんだもん」
琢磨呂
「あっと驚く戦車砲……っと……これでどうだ」
竜胆
「ふみゅ? Windows95で何故にFDが?」
琢磨呂
「DOS窓ってやつだ。Windowsの中でDOSが動いてるってな感 じかな。……驚くのはこれからだ……よっと(FDからGVを立ち上げる)」
竜胆
「! こんなことできるの?」
琢磨呂
「まりまりさんバージョンではマグローダーとかが立ち上 がってたのを、Windows用にGVに変えたわけだ。
なんと、Windows95ではDOS窓から簡単にWindowsプログラムが引っ張り出せるんだぜ」
竜胆
「これが出来ればだいぶと楽になるわ……アリガト、岩沙」
琢磨呂
「礼を言うにはまだ早い! これを見よ」
竜胆
「ただの秀丸じゃない」
琢磨呂
「ほぉー……VZが良かったんじゃないのか? VZが」
竜胆
「そーだけど……WZ買うお金はないしね」
琢磨呂
(カチャカチ)「これでどうだ?」
竜胆
「へ?」
琢磨呂
「秀丸でVZをエミュレートするってことが出来るんだ。ほ ら、CTRL+右で文末までカーソルが飛ぶだろ? F100で選択して、F9でペーストできるだろ? 便利だろぉ〜?」
竜胆
「これは便利……」
琢磨呂
「さて……これでチョコクッキー30個分は働いたな」
竜胆
「あああっ! いっけない!」
琢磨呂
「(ディスクを咥えながら)ほーひら? はにはらったろか?」
竜胆
「……岩沙のチョコクッキー焼いてたの忘れてた! (台 所に走ってゆく)」
琢磨呂
(やれやれ……竜胆ちゃんSXの改造報酬は焦げクッキーか…… まぁ、バレンタインの件もあるし、責めないでおくとしよう)
竜胆
(戻ってきて)「ごめん……岩沙のクッキー、真っ黒焦げだっ た。もう一度焼くし、ね」
琢磨呂
「ああ、別に構わんぜ。あんまり無茶言うのもなんだ。今 回のは2月14日のアレで相殺にしとくよ」
竜胆
「はへ? (岩沙のやつやけに素直だなぁ〜)」
琢磨呂
「何間の抜けた顔してんだよ。失敗はしゃぁねぇだろ。そ れよか、紅茶でもいれてくれよ。喉渇いちまった」



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