- 琢磨呂
- 「よう、姐さん。DESKPOWER買ったんだって? ペンチの120
は速いだろ?」
- 竜胆
- 「……それがねー。慣れてないから使いづらいことこの上
ないのよね」
- 琢磨呂
- 「そこまで言うこたねーだろ(汗)」
- 竜胆
- 「マウスちまちま動かしてるより、キーボードでさくさく
やった方が解り易いわよぉ。ファンクションキーの方が機能書いてるから、解り易いしぃ」
- 琢磨呂
- 「姐さん、ショートカットって言葉知ってるか?」
- 竜胆
- 「あたしの髪型」
- 琢磨呂
- 「そーじゃなくて」
- 竜胆
- 「コーナー曲がる時にグリーンつっこんで走るやつ」
- 琢磨呂
- 「……ボケてんな(汗)」
- 竜胆
- 「やーね。知ってるわよぉ。Altキーと組み合わせていろい
ろできるやつ」
- 琢磨呂
- 「それ使えばいいじゃねーか」
- 竜胆
- 「キーボードからして違うのに、一度にそんなに判る訳な
いでしょ」
- 琢磨呂
- 「その割に一度にいろいろ覚えようとしてるんじゃねーか」
- 竜胆
- 「ごめんねっ!」
- 琢磨呂
- 「そもそもだな。姐さんのDOS環境って、まりまり氏が作っ
たやつだろ。かなりカスタマイズされてんじゃねーのか」
- 竜胆
- 「うん。一から何まで全部更ちゃんが仕込んでった」
- 琢磨呂
- 「そんなとこから、いきなり95に移っちゃ、そりゃ混乱も
するぜ。よし、今度、オレが特別指導してやるよ」
- 竜胆
- 「はぇ? 特別指導? ウチに来るの?」
- 琢磨呂
- 「そーしねーと教えようがないだろ」
- 竜胆
- 「や、やめとかない? 今、すっごく散らかってるから。
それに、当分片付かないだろうしぃ(汗)」
- 琢磨呂
- 「だから、今度って言ってるだろ」
- 竜胆
- 「……いや、ホントに、座る場所もないんだから(汗)」
- 観楠
- 「それにしても、二人ともホントに仲がいいなあ(しみじ
み)」
- 素子
- 「何か言いましたか?」
- 観楠
- 「え? あ、いや、なんでもないよ、ははは(乾笑)」
豊秋竜胆は新型パソコンをかったは良いが、どうも操作感覚等に慣れ親しめずに困っていた。岩沙琢磨呂がこんな隙をみすみす逃すわけも無く、さっそく豊秋邱を強襲、竜胆のパソコン改造か計画を実行に移したのだった……
ぴんぽぉ〜ん
- 竜胆
- 「あわたたた……は、はい〜?」
- 琢磨呂
- 「俺だよ、姐さん、開けてくれ」
- 竜胆
- 「ま、まだ片付けが」
- 琢磨呂
- 「(ドアの向こうで)……姐さんが片付けるまでってな、俺
を3日3晩ここで待たせるつもりか? 姐さんの部屋がきたねぇのは100も承知だ。まりまり氏と違って俺はそんなことで文句タレまくったりしねーから開けてくれよ」
- 竜胆
- 「んもう……しょーがないわね……(がちゃ)」
扉が開くと同時に、部屋の奥から香ばしいクッキーの匂いが流れ出し、琢磨呂の鼻を刺激する。
- 琢磨呂
- 「むっ! ココ、この匂いはっ!」
- 竜胆
- 「……だから嫌だっていったのに……」
台所からのクッキーの香りに引き寄せられる琢磨呂を、竜胆羽交い締め。
- 琢磨呂
- 「う、うぬっ……(うーむ、相変わらず真性Aカップか)」
- 竜胆
- 「おわったら食べさしたげるから仕事しなさい! 仕事!」
- 琢磨呂
- 「く、クソッ……俺が菓子を好きだと知っての精神誘導作
戦だな……解った。ちゃんと『ワーレンスペシャルチューニング』してやるよ」
- 竜胆
- 「いっとくけど、岩沙が使い易いようにするんじゃないん
だからね。あ・た・し・が・使い易いようにするのよ」
- 琢磨呂
- 「わーったわーった! ちゃんとやるから、俺の大好きな
アレ焼いといてくれ! 頼む!」
- 竜胆
- 「アレって……チョコクッキーのこと?」
- 琢磨呂
- 「そう……頼む、な!?」
- 竜胆
- 「OKっ」
- 琢磨呂
- 「ぎぶあんどていく……ってわけだ。交渉成立! 姐さん、
カバー空けるぜ」
琢磨呂、持ってきたSCSIカードを竜胆のデスクパワーに差し込み、EZドライブを繋ぐ。
- 竜胆
- 「なにそれ?」
- 琢磨呂
- 「俺様がつい最近買ったEZドライブってやつだ。持ち運び
やすいんで気に入ってる、カートリッジ式のハードディスクってやつさ」
- 竜胆
- 「ふーん」
- 琢磨呂
- 「(画面を見ながら)姐さんよぉ、FDとか使いまくってた方
か?」
- 竜胆
- 「FDって……フリーソフトの?」
- 琢磨呂
- 「そう」
- 竜胆
- 「使ってたよぉー。Windows95のえくすぷろーらーとかっ
てさ、FDみたいなのと全然勝手が違って、凄く使いにくいの。このまえ朝さんが”慣れれば使い易い”みたいなん言ってたけど……やっぱりあたし駄目だなァ……前のパソコン引っ張りだしてきて使おうかしら?」
- 琢磨呂
- 「姐さんよ、何のために俺が居るか、全然解ってねーだろ!」
- 竜胆
- 「だってさっきからあんまり進展が無いんだもん」
- 琢磨呂
- 「あっと驚く戦車砲……っと……これでどうだ」
- 竜胆
- 「ふみゅ? Windows95で何故にFDが?」
- 琢磨呂
- 「DOS窓ってやつだ。Windowsの中でDOSが動いてるってな感
じかな。……驚くのはこれからだ……よっと(FDからGVを立ち上げる)」
- 竜胆
- 「! こんなことできるの?」
- 琢磨呂
- 「まりまりさんバージョンではマグローダーとかが立ち上
がってたのを、Windows用にGVに変えたわけだ。
なんと、Windows95ではDOS窓から簡単にWindowsプログラムが引っ張り出せるんだぜ」
- 竜胆
- 「これが出来ればだいぶと楽になるわ……アリガト、岩沙」
- 琢磨呂
- 「礼を言うにはまだ早い! これを見よ」
- 竜胆
- 「ただの秀丸じゃない」
- 琢磨呂
- 「ほぉー……VZが良かったんじゃないのか? VZが」
- 竜胆
- 「そーだけど……WZ買うお金はないしね」
- 琢磨呂
- (カチャカチ)「これでどうだ?」
- 竜胆
- 「へ?」
- 琢磨呂
- 「秀丸でVZをエミュレートするってことが出来るんだ。ほ
ら、CTRL+右で文末までカーソルが飛ぶだろ? F100で選択して、F9でペーストできるだろ? 便利だろぉ〜?」
- 竜胆
- 「これは便利……」
- 琢磨呂
- 「さて……これでチョコクッキー30個分は働いたな」
- 竜胆
- 「あああっ! いっけない!」
- 琢磨呂
- 「(ディスクを咥えながら)ほーひら? はにはらったろか?」
- 竜胆
- 「……岩沙のチョコクッキー焼いてたの忘れてた! (台
所に走ってゆく)」
- 琢磨呂
- (やれやれ……竜胆ちゃんSXの改造報酬は焦げクッキーか……
まぁ、バレンタインの件もあるし、責めないでおくとしよう)
- 竜胆
- (戻ってきて)「ごめん……岩沙のクッキー、真っ黒焦げだっ
た。もう一度焼くし、ね」
- 琢磨呂
- 「ああ、別に構わんぜ。あんまり無茶言うのもなんだ。今
回のは2月14日のアレで相殺にしとくよ」
- 竜胆
- 「はへ? (岩沙のやつやけに素直だなぁ〜)」
- 琢磨呂
- 「何間の抜けた顔してんだよ。失敗はしゃぁねぇだろ。そ
れよか、紅茶でもいれてくれよ。喉渇いちまった」
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