エピソード231『ロングVSショート!? 両陣営首脳対決』


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エピソード231『ロングVSショート!? 両陣営首脳対決』

かの二名の戦いが今、始まる……。

 この二名とは「ロング推進対策向上委員会」委員長代理、 岩沙琢磨呂と、「女の子は元気なショートが一番だ」党党首、長瀬顕のこと。

Part0:which you like long.... or short?

み、緑ちゃんが……緑ちゃんが髪型を気にし始めた!

「慎也さんはロングとショート、どっちがすきですか?(照)」
「当然ショートだ」
琢磨呂
「ぜぇぇぇぇったいにロングで萌え萌えっ!」
慎也
「……あのさぁ……訊かれたの、俺やねんけど……」

Part1

新学期ももうすぐ夏休み。新入生も各倶楽部に入ろうかと考え始める頃合である。 そんな中、吹奏楽部常務『長瀬顕』と放送部代表取締役部長『岩沙琢磨呂』の間で、今年も熱い戦いが繰り広げられようとしていた。

琢磨呂
「あつい……」
「なんでこの時期になってまだ冬服やねん?」
琢磨呂
「マジだぜ。せめてブレザーぐらい着るか着ないか自由に してくれりゃぁいいのによ」

時は昼休み、二人は食堂の外に設置された見晴らしの良い外付けテーブルでうどんを食べていた。なぜなら、光熱費をケチっトいる男子生徒の比率の高い某吹利学院高校の食堂のメシを食うと言う事は、直射日光の当たるそとでメシを食うのとさほど変わらないほど苦痛だからだ。

琢磨呂
「ふむ……」
「あちぃ……」
琢磨呂
「(うどんをすする)」
「あづい……」
琢磨呂
「だああああああああああああああああっ! 熱い暑いと うるせェェェっ!」

たまりかねて琢磨呂が叫ぶ。 すると、その天をも揺るがさんとする巨声を聞いた女子生徒が、マジックガラス一枚隔てた食堂の中で突然琢磨呂たちの方を振り向く。

琢磨呂
「おっ? 美人!」
「……どこ見て言ってんねん?」

顕には、さんさんと降り注ぐ太陽光の反射するマジックガラスに向かって琢磨呂がが話し掛けている様にしか見えない。

琢磨呂
「……ふっ……ショート党にはロングの美女は見えんのだ」
「熱……ないか?」
琢磨呂
「馬鹿野郎! この気温だ、40度あったってフツーだぜ!」
「確かに。で、美人とやらはホントか?」
琢磨呂
「あんなぁ! マジックガラスだろうが鋼鉄の壁だろうが、 俺様と美人を結び付けるのを邪魔するモノはことごとく貫通だぜっ?(物体透過索敵技能:12)」
「あたま痛なってきた……ただでさえ熱いのに……」

琢磨呂、ちょっとむっとして立ち上がり、マジックガラスの張られた食堂と外をしきっているドアを開ける。

女生徒A(ブス)
「?」
琢磨呂
(テメーじゃねぇよ!)
女生徒B(美人)
「(めちゃくちゃ奇麗な声で)えっ?」
琢磨呂
(そら見た事か顕! と言った表情で県の方を向く)
(ま……マジかよ? って顔)
女生徒B
「あ……あの……」
琢磨呂
「吹利学院放送部です! 昼休みのMUSICセレクショ ンアンケートにご協力お願いします」
女生徒B
「……あ……はい」
琢磨呂
「現在吹利学院では昼休みのDJ付きMUSIC放送を行ってお りますが、何か希望の曲や歌手、ジャンル等ございますでしょうか?」
女生徒B
「えーっと……小室先生が、ご自分で活躍なさっていた頃 の曲とかが結構好きなのですけれども……そういった昔の曲とかでもわないのでしょうか?」
琢磨呂
「OKですよ。『天と地と』などを歌われていた頃の曲です ね、解りました。 アンケートご協力ありがとうございました(ドアを閉める)」

女生徒側からは琢磨呂たちが丸見えである事を二人ともおお忘れしていた。

琢磨呂
「ほれみィ!」
「(うぬっ)……うまいことお話しやがって……クゥ〜!  でもな」
琢磨呂
「?」
「(スープをすすりながら)あの娘、ショートだったら……」
琢磨呂
「あの子のあの顔、あの話しぶり、あの体格、あの性格で は、ショートを似合う様にコーディネイトすること自体が不可能であると言う第一前提条件に基づき、北大西洋弾道ミサイル配備条約によって当案は否決された!」
「うぬっ……」

今回は琢磨呂の口達者の勝利だった様だ……。

Part2

夏も近づいたある日の夕方、顕と琢磨呂は二人で駅に向かって学校からの道を歩んでいた……

「やっと暑さもやわらいできたなぁ……」
琢磨呂
「また明日の昼もあついと思うと……ブレザーがムカつく ぜ……まったく」
「でもブレザーがないと銃が隠し持てない……だろ?」
琢磨呂
「全くもってそのとおり(T_T)」

100m程前で、吹利学院の女子生徒がお金でも落しスのか、ふりかえってしゃがみこむと、またいそいそと前を向いて歩き始めた。

「萌え″ーーーーーーーーーーっ!」
琢磨呂
「うおおおっ! 何を突然さけぶんだっ! 狂ったかァ?」

琢磨呂は、普段発せられたことのない顕の奇声に驚いた。

「あの前を歩いてる彼女、絶対に可愛いって! ほら、あ のうなじとかもSEXEY……(興奮)」
琢磨呂
「……んなもんでコーフンすんなよ……動揺でスペル間違 ってるぞおい(笑)」
「うるさいなぁ。とにかく可愛いってば」
琢磨呂
「あんなに離れてて解るかいな!」

琢磨呂は、顕が琢磨呂以上に眼が悪いことを良く知っているのだ。

「嘘はいわへんて! マジ、見てみぃや」
琢磨呂
「んナコと言ったってよ、俺に見えない物がなんでお前の 目で見えるんだよ!」
「見えるものはしょうがない……ショートを強く引き寄せ る俺の思念が……」
琢磨呂
「アホくせ〜(ハナクソをほじる)」
「いーから見てみろって(琢磨呂をぐいぐい引っ張ってい く)」

顕と琢磨呂はその娘を追い越し、そして0.00256秒だけ振りかえる。

「な、な、な、な、な?」
琢磨呂
「……(何で見えるんだよォ!  マジで可愛いじゃんか よォ〜〜〜!)」
「ショートが似合うとは、ああいう事を言うんだ、解るか ね?」
琢磨呂
「……いや、ああいった顔つきには……やはりポニーテー ルが……南極弾道ミサイル相互配備条約に基づいてだな、ああ言った似合わない髪型は……」
「あん? 似合わない? もう一変ふりかえってみれば考 えもかわるんじゃないの?」
琢磨呂
(確かに似合っているだけに反論出来ん……くぅっ!)

今回は、顕の発見能力の勝利であった様だ。

Part3

顕と琢磨呂の友人にして後輩の女生徒に、吹利学院高校二年生A組所属の、
 『北緒麗衣子(きたお・れいこ)』と言う人物が存在する。
 岩沙琢磨呂はこれを『れいひい』と呼び、その他の人物は『レイちゃん』と呼ぶ。
 一時期は完全なるショートの女の子であったが、琢磨呂、慎也と言うロング派の露骨なまでのマインドコントロールの結果、琢磨呂よりも短かった髪の毛が、現在では世間一般にセミロングと呼ばれる長さまで成長している。

琢磨呂
「れいひい、だいぶん髪の毛伸びてきたねぇー(にやにや)」
麗衣子
「先輩〜っ、邪魔なんですよぉ〜、これ?」
琢磨呂
「そんな髪をはねのける仕草が可愛いじゃん(笑)」
麗衣子
「……外側にハネて大変だし……切ろっかなぁ〜」
琢磨呂
「だあああああああああああああああああああっ! この 一時期を我慢すれば、ロングになってだな、跳ねたりする事も少なくなる! あと3ヶ月、あと3ヶ月の辛抱だ、れいひい」
麗衣子
「切りたいな切りたいなぁ〜」
琢磨呂
「だめだーーっ! (急にマジ顔になって)……でもよ、れ いひい、マジでロングのがかーいーぜ?」
麗衣子
「そんなおだてにゃ乗りませんって」
琢磨呂
「マジで言ってんのにぃ(T_T)」

そこへタイミング悪く顕登場! 

麗衣子
「この土日で切ろおっと」
「おおおおおっ! 素晴らしいレイちゃん! やはりショー トだ、ショートが一番だ!(ばんばんと背中を叩いて力強く言う)」
琢磨呂
「(すでに崩れ落ちて机に突っ伏していじけている)けっ ……れいひいはマジでロングのが可愛いのに……ふん」
麗衣子
「……」
「(麗衣子の肩を叩いて)  いやー、やっぱショートやよ ねぇー」

土日があけて、月曜日。琢磨呂は悲しくも麗衣子のショート姿を見る事になろうと思いつつ学校へと”登校”してきた。その気分は、連合軍に”投降”するドイツ軍の気分だった。

麗衣子
「あ、いわさ先輩、おはようござ「まーす!」
琢磨呂
「あ、あれ? れいひい、散髪は?」
麗衣子
「伸ばすには、取り敢えず揃えないといけないでしょ?」

麗衣子は、なんだかんだ言いつつも髪を伸ばす為に後ろを同じ長さに揃え、伸ばすためのヘア・ケアを行っトきたのだった。

「あ……(ぬうおぅ! 期待してたのに!)」
麗衣子
「バサって切ったら、先輩、またぎゃーすか叫ぶでしょ?」
琢磨呂
「う″っ……それは……(でも嬉しいわい)」

ああ悲しき長瀬顕! まだ、まだ先はあるぞ、頑張れショート派! ロングは伸ばすのに時間がかかるが、ショートは切るのは一瞬だ(笑)

Part4

琢磨呂
「あっちぃ……うざってぇぇ……」
「ほんまに暑いな」
琢磨呂
「ブレザー脱いだろかな」
「せやけど、ブレザー脱いだら俺の場合、なんや貧素やか らなあ」
琢磨呂
「ふん……鍛えとったんちゃうんか」
「なんぼ鍛えても、うちの家は代々骨が細いんや」
琢磨呂
「その点俺は太いからな。はっはっは」
「神経も図太いのぉ」
琢磨呂
「うっせぇぃ!(笑)」

学校から最寄りの駅までの道のりに小さな公園がある。ちょうどその時、砂場で小さな女の子とその母親が砂遊びをしていた。

琢磨呂
「む、ロング!」
「おいおい、人妻や」
琢磨呂
「いんや、女の子の方もだ」
(慄然と凍り付く)
琢磨呂
「うーむ、あの顔、あの腰、あのボディライン。将来有望 だ」
「お前、何年計画立てとんねんな(笑) しかもな、小さい 時あんまり可愛い子は大きなったら普通以下やってよう言うぞ」
琢磨呂
「ふっ、ロングに間違いはない」
「あのな」

すると、女子高生、いや女子中学生、すくなくとも3年生の、輝くロングヘア美人が公園内の親子に駆け寄った。

ロング美人
「ママ、ただいま! ミッちゃんも、ただいま!」
「ほ、ほへ……」
琢磨呂
「ふっ……」

どうやら琢磨呂の詭弁が優ったようである。



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